第一子は親の寵愛を一身に受け、我が世の春を謳歌していたはずが、第二子が生まれた途端、その愛情の全てがその子に注がれてしまうハートブレイクを体験します。
親にとっては第一子ははじめての子。だから、神経を注ぎ、慎重に物事を進めるので、第一子はしっかりしたいい子に育ち易くなります。
一方、第二子は親も経験済みなので、第一子とは違うことをしたがります。故に要領がいい、なんて第一子から指摘されることが多いのですが、第二子は第二子で、「お姉ちゃんの方が大切にされてる」と理不尽に感じたりもするのです。そんな二人きょうだいの心理をご紹介します。
2.二人きょうだい
さて、下の子が生まれるまで第一子は一人っ子ですよね。我が天下で、自由を謳歌してたわけです。
しかし、下の子が生まれると一気に自分の地位が失ったように感じます。
一人のことは親の寵愛を一心に受けていたわけですが、弟や妹ができた時は愛情のすべてが下の子に行ってしまった様に感じて、ものすごくハートブレイクします。
だから、もう一度、親の愛情や注目を取り戻そうとして、自分も赤ちゃんのように振舞ったり(いわゆる“赤ちゃん返り”)、お手伝いや面倒をよく見る“いい子”になったりします。
長子にしっかりしたいい子が多いのは、こうした理由が大きいと思われます。
また、第一子は親からすれば何でも初めての子ですから、特に思春期までは親からもっとも近い距離で育つことが多いんです。
ただ、過保護に育てられると大人になってもそのままずっと家にいたり、結婚してもすぐ近くに家を建てたりしやすくなりますし、自由に育てると、思春期を期に旅立ってしまい、自分で自分の人生を切り拓いていくことが多いようです。
一方、下の子は、同じ親に育てられても長子とは違う性格や考え方になることが多いんですね。長女が東に行けば、次女は西に行く、という生き方になりやすいんです。
分かり易いように「姉妹」で話を進めますね。
妹は姉を見ながら育つわけです。
そうすると、姉が失敗したポイント、苦労しているポイントは当然、避けて通ります。
いわば、姉から学んでいるわけですが、その結果、姉とは違う生き方をするようになっていきます。
姉がまっすぐだったら、妹は寄り道が好きです。姉が明るくて活発だったら、妹は内向的に、姉がインドア派だったら、妹はどんどん外へ出て行く、そんな風に。
だから、長女は次女のことを、ずるい、要領がいいと思い、逆に自分のことを一本気で融通が利かないと思いやすくなるんですね。
実は、これ、「親から愛されるために取る手法」でもあります。
「姉と同じ事をしていたのでは、私は愛されない」と感じているようで(もちろん、無意識に)、それで姉とは違う生き方になりやすいんです。
というのも、お姉ちゃんは親にとってもはじめての子です。だから、あれこれと優遇されますよね。
例えば、着る服は基本、新品。お下がりは親戚や友人からもらう場合を除けば、あり得ません。また、進学にしても、進級にしても、親の気合が違います。初めてだから親も緊張するし、慎重になりますし、あれこれと説明会や学校の行事にも比較的熱心に通ったりします。
でも、二番目ともなればどうでしょう?要領がある程度分かってるわけですから、案外、放っておかれます。
実際、「一人目はちょっとでも泣いたら心配したけど、二人目はふつうに泣いてるだけならしばらく放っておくことが多い」みたいな話をよく聞きます。
だから、妹から見れば「お姉ちゃんばかり愛されていい思いしてるし、ママもパパも一番お姉ちゃんのことが好き」という風に感じます。
いわば、きょうだいそれぞれで相手の方が親から愛されてる、と思っていたりもします。
それが「競争」という心理のベースになっていることも少なくありません。
こうした傾向は姉妹や兄弟など同性のきょうだいの場合に強く現れるようですが、異性のきょうだいでも少なからず存在します。
ただし、姉・弟の場合、歳の差にもよりますがが、姉から見れば弟はかっこうのおままごとの相手となり、そのまま大人になっても、「この子はしょうがないんだから」と、あれこれと弟の面倒を大人になっても見続けるケースも少なくありません。
兄・妹ではこれは珍しいですね。というのも兄は友だちやクラブ、社会生活など、早く外の世界に出てしまうことが多いですし、また、女の子の方が、男の子よりも精神的な成長は早いので、妹の方が先に思春期を迎えて兄を(気持ち悪い、と)遠ざけるようになるからと思われます。
だから、大人になっても仲良く過ごす兄・妹は貴重ですね。
また、兄がいても妹は、長女です。だから、母親にとっては同性である娘に心情的に近くなり、第二子でありながら、長子のような心理傾向を持つケースもあります。
また、第二子は2人きょうだいでも末っ子なので、いわゆる、末っ子的な甘え上手な面も持っていたりします。末っ子については、よりその影響が顕著な3人きょうだいのところで詳しくお話したいと思います。
また、きょうだい一般に言えることではありますが、例えば、お姉ちゃんが親の過保護に嫌気を指して、さっさと自立してしまった場合、こんどは妹が「長女的役割」を担うこともあります。
皆さんの中にも「え?お姉ちゃんがいるの?ぜったい長女だと思ってた」と言われる方、いらっしゃいません?結構このパターンに当てはまってる可能性もあります。
>>『きょうだいの心理学(4)~三人きょうだいと、それ以上~』につづく。