子育ては楽しみ・喜び・愛など色々なものを教えてくれる反面、葛藤や不安・恐れの連続です。
その具体的な傾向と対策を。
幼少期のお子さんをお持ちの方(特にお母さん)の苦労は並大抵のものではありません。
特に初めての子育てともなると、何から何まで分からないことばかりでパニックになったり、ノイローゼにかかったりしてしまうもの。
「しっかりした子どもに育てなきゃ」と思えば思うほど神経を尖らせてしまいますし、育児書やインターネットの育児情報を繊細に繊細にチェックしてしまうでしょう。
実はほとんどのお母さん・お父さんが育児ノイローゼにかかるといっても過言ではありません。
しかも、お母さんは一日中子どもにかかりっきりでなかなか家から出ることもままなりません。
笑えなくなったり、一日中カリカリしてしまったり、自分が本当にいやな人間になってしまったような気持ちになったりするもの。
特にお子さんが反抗期を迎える3~4歳頃にもなれば、とってもかわいい半面、壁にたたきつけたくなるような衝動に駆られることも少なくないはず。
「しかも、旦那ときたら・・・私にばかり任せっきりで」と本当にむかついてしまうこともあるでしょう。
子育ての問題でカウンセリングにいらっしゃる方の多くは泣く場所を探していらっしゃるようにも感じます。
そして、心の中にたまった不安や葛藤、恐れをたくさんお話してくださいます。
それくらいいっぱいいっぱいで、行き所のない感情を抱えてらっしゃるようです。
また「どうしたらいいのか?」が分からない場合も少なくありませんが、その多くは「本当はこうしてあげたいのにできないんです」と自分を責めてることが多いようです。
今回はそんなお母さん達を応援する第一回目の講座にしたいと思います。
お父さん方は自分の奥様の奮闘・葛藤・迷いを理解するためにお読みください。
まだ子育てとは縁のない方は自分の記憶に無いところでお母さんがこれだけ苦労してきていることを思ってみてください。
子育てを卒業された方。高所大所から自分自身の子育てを振り返ってご覧下さい。
●見て見て攻撃
幼児から幼少期に入るといろいろな躾(しつけ)が始めますよね。
この躾、お母さんからすれば大人への第一歩なのですが、子どもからすれば「愛情が減った???」という感覚になります。
今までは何しても「かわいい」だったのに、ご飯をこぼしても、トイレができなくても「駄目でしょ!」となるわけですから。
また、下のお子さんが生まれたりすると上の子からすればお母さんの注目を一気に失ってしまったように感じてしまいます。
本当は生まれたばかりで手がかかるだけなんですけどね。
でも、なかなか自分がお兄さん・お姉さんであることを受け入れるのは嫌だったり、理解できない年代だとしたら、わけがわからなくてお子さん自体がパニックになってしまうことだってあるんです。
そんなときに使う手が「あたしを見て!見て!攻撃」。
お母さんからすれば『なんなんだ~この子は~~!!どうして、私を困らせることばかりするんよぉ~~!!』と切れてしまいたくもなります。
ものは倒す・壊す・散らかす。
いきなり泣き出す・暴れる・ふてくされる。
言葉が話せるようになれば、困らせることばかり言う。
例えばおもちゃ箱を倒したり散らかすとお母さんとして飛んできて片付けしたり、叱ったりしますよね。
そうすると子ども心に「おもちゃ箱を倒したらお母さんが来てくれる」と思うわけです。
だから、繰り返します。
また「おなかすいた」「散歩行く」「眠い」などと実際したいわけでも無さそうなのにそう要求することもあります。
これも「見て!見て!攻撃」のひとつと思っていいでしょう。
「おなかすいた」といえば「どうしたの?」と自分の方を振り向いてくれるんじゃないか?と期待するわけです。
そして、やがては駄々をこねて怒り出したりもします。
このときお子さんがほしいのはお母さんの注目と愛情。
甘えたいわけです。
でも、それがわかったとしても何度も繰り返されてはたまったもんじゃありません。
そしたら、ほんとにイライラ、キーっとなってしまうのも無理ありません。
子どもをベランダから放り投げたくなる瞬間ですね。
そうしてお母さんがイライラする分だけ、子どももそのイライラを吸い取るかのように暴れ出したりもします。
この「見て!見て!攻撃」(お子さんからすれば攻撃などではないんだけど)はお子さんの数だけやり方があるようです。
ちなみに変わったところでは山本の子どもは「水溜りで泳ぐ」という手を良く使っていました。
●第一次反抗期(イヤイヤ期)
何でも嫌がる時期です。
「ご飯食べようね」「イヤ!」
「お散歩行こうね」「イヤ!」
「お買い物行ってくるからね」「イヤ!」
これは自我が芽生えて「自分を主張したい欲求」が出てきた証拠です。
でも、最初はそう思って冷静に対処できてたとしても、やがてはやはりぶち切れたくなるのが人間というもの。
だんだん意地になって、むきになってきます。
泣き叫ぶ子どもを見て「あたしだって泣きたいわよ。それを我慢してるのよ!」と悲しくなることだってあるでしょう。
そうして心の中では「子どもvsママ」の構図が徐々に「子どもvsお姉ちゃん」に代わり、やがて「子どもvs子ども」に変わってきます。
そうすると子ども同士のケンカのようになります。。。
きれいなもんじゃありませんね。
でも、お母さんには大人の心ももちろん残っているわけですから、そうなってしまった自分を誰よりも激しく責め立てます。強い自己嫌悪が出てきます。
そういうときは思いきって子どもみたいに泣いてみてください。
そしたらどうなるか?
3,4歳で歩けるくらいのお子さんだとしたら、あなたを慰めに来てくれます。
「ママ、どうしたの?」と。
お子さんもお母さんのことが大好きなわけです。
大好きな人だから、愛して欲しいって注目を集めようとするんですよね。
そんなお母さんが困っていたら助けたいと思うのがお子さんです。
ですから、無理に母親顔を保ったり、上から見下ろす態度を取るよりも、泣きたいときにはお子さんの前で泣いてみるくらいのことをしてもいいでしょう。
お子さんによしよし慰められる気分てどのようなものかな?
きっときゅーっといとおしくて抱きしめてあげたくなるくらいになりますよ。
●赤ちゃんに戻りたい。
反抗期に入ると自我が芽生えて、一人の人間として自立し始めるわけですが、その一方で「あの頃は良かったなあ」という時代を思い出すことがあります。
それが「赤ちゃん帰り」。
自分が赤ちゃんだった頃のように食べ物をぺちゃくちゃとこぼしたり、よだれを垂らして口のまわりをびしゃびしゃにしたり、おもらしをしたり、信じられない行動を出します。
お母さんとしてはあせりますよね。「何かあったんじゃないか?」(=何か間違えたかしら?何かいけないことしたかしら?)と思ってしまいます。
でも、こんなしぐさをする時は、まさに「甘えさせて欲しい」というメッセージです。
昔何もできなくても愛してくれた時代に戻りたい欲求です。
これは大人にもありますよね。
学生時代を懐かしんだり、独身時代を懐かしんだり。
それをやめさせようとすればするほどひどくなるし、そうして欲求を抑圧させると、今度はおしっこや、うんちをもらしてしまったりエスカレートしていくこともあります。
子どもは子どもなりに、小さな心いっぱいいっぱいにして葛藤しているんですね。
甘えたら、ママや兄弟に悪いと思っているのかもしれません。
こんな時は、抱っこして、ほんの少し赤ちゃんにさせてあげるほうが効果的です。
●ご主人との関係
そんな子育ての中にあって唯一の味方と感じられるのがご主人のはず。
そんな期待をたくさん持って帰りを待つ日も多いでしょう。
しかし、なかなかそんな期待にご主人は応えてくれません。
確かに仕事で疲れていたり、仕事上の付き合いもあったりすることは理解できます。
子どもが産まれるまではそれで良かったのだけど、いざ育児本番ともなれば、仕事に頑張るご主人に対しても怒りを感じるようになります。
しかも、育児に協力的と客観的には思える場合にもこの不満は必ず出てくるようです。
(そんな場合は特に自己嫌悪がひどくなりますね)
それくらいストレスを感じているということ、少なくともそのくらいは理解してほしいですね。
甘えてくる子どもを一日あやしているとしたら、誰でも今度は自分が甘えたくなります。
優しくしてほしいって思うようになります。
「私だって甘えたい~~私だって抱っこして欲しい~」って感じにね。
でも、それが満たされなかったり、大人なんだから、母親なんだからと自分で禁止してしまったとしたら、今度はあなたがまるで自分が子どもになったかのように旦那を困らせてしまうかもしれません(それがまた自己嫌悪になります)。
心理的には「共鳴」という作用があり、お子さんがあなたに甘えてきて苦労してる分、ご主人があなたに対して同じような感情を抱くことがあります。
また、お子さんの気持ちを理解するためには、あなたのご主人への感情をヒントにしてみるのも良いでしょう。
知らず知らずのうちに我慢ばかりしていませんか?
自分がたくさん我慢している時は、子供のわがままを禁止して、我慢を必要以上に要求してしまいます。
「あたしだって我慢してるんだから、あんただって我慢しなさいよ」という風に。
また、こんなことを許していたら、すごくわがままな子になるんじゃないかって、怖れがたくさん出てきてしまい、ついついお子さんをコントロールしてしまいます。
もちろん、怒ったり、泣いちゃったり、子育て中は本当にいろんな感情と直面します。(子供は感情のかたまりなので、こちらのボルテージもあがるわけです)
大切なのは、怒らない事でも、悩まないことでもありません。
要は、一日一回、おもいっきりお子さんを抱きしめてあげることです。
あなたが、ご主人から欲しいものも、こんな感覚ではないですか?
がんばってこれてるね、お母さんて大変だね、ってわかって欲しいんですよね。
よくやってこれてるよって、褒めて欲しい、抱きしめて欲しいんではないでしょうか。
ご主人から本当に欲しいものを、ちゃんと伝えてみませんか?
それは、承認ですか?抱っこですか?
ご主人にべーーーっだっ!って怒ってるとしたら、何に怒っているのでしょう。
でも、それができなかったら・・・。
いわゆるキッチンドランカーのようにお酒や何かに依存してしまうようになることも多いみたいです。ご主人に甘えられない分、お酒に甘えるんです。
あるいは自律神経などをいためてしまうこともあります。これも過剰な抑圧の結果と見ることができます。
また感情が爆発してヒステリックになりすぎることもあります。
ほどほどにお酒などを口にするのはお勧めです。
気分転換にビールをくいっといっぱい飲んですっきりすることは自分の心にとってとても大切なこと。
●周りのお子さんとの比較
皆さんも感じてらっしゃることが多いかと思いますが、育児書や幼児教室などに通うとこの年齢ではこういうことができて、この年齢ではこうなる、ということがこと細かく書いてあります。
ところがそれが裏目に出て、言葉を話せなきゃいけない時期にまだ話せなかったり、立ち上がる時期に立ち上がれなかったとするとそれがわずか1ヶ月、2ヶ月の遅れであっても焦ってしまいます。
しかも、具体的に周りの子とうちの子の違いを目の当たりにしてしまったとしたら、焦り、プレッシャー、不安がぐっと高まってしまいます。
他の子はおとなしく座っているのになんでうちの子は・・・と思えば、ついつい子どもに手をあげたくもなるでしょう。同時に「私の育て方が間違っているのかしら?」と感じて自己嫌悪がまた増えてしまったりします。
そんな比較は無意味と分かっていても、ついついやってしまうもの。
でも、他の子との違いをネガティブに捉えずに肯定的に見ることもできます。
それが個性であり、そこから価値を見てあげることはできます。
例えば「うちの子はじっとしていない」の価値はなんでしょうか?
「好奇心旺盛なんだなあ」「元気な子なんだ!」かもしれません。
じっとしなきゃいけない、というのは大人の論理。
子どもは自分の感じたように動きます。
ですから、そこにはその子の個性がいっぱい詰まってます。
違いを見つけたら喜んで見るくらいの気持ちでいてみてください。
そして、お子さんは宝物ですよね、本当に。
だかこそ、きちんと育ってほしいと愛情も労力も全精力を傾けられると思うんです。
ご主人がお子さんと同じ態度を取ったらどうします?
とても同じようには振舞えないと思うのです。
それはまさしくあなたの愛情。
一日に一回でいいです。
お子さんを一人ずつ抱きしめて「愛しているわ。私の大切な○○ちゃん」と言葉にしてあげてください。
それだけでお子さんは余計な愛情の要求をしなくても済みます。
そして、お母さんが満たされていないと、お子さんに余裕を与えることは出来ません。
あなたが1人の女性として満たされることがカギです。
母としてだけでなく、妻としても、女としても満たされること。
これは将来のご主人との関係にも影響していくことですから、自分のほしいもの、ご主人から欲しいものをまずはコミュニケーションしてみませんか。
その姿を見てお子さんもあなたに欲しいものを素直に表現することができるようになります。