好きで選んだ道なのに、苦しい

相談者名
みりん
初めまして。私は美術の予備校に通う浪人生です。美大に行きたいという自分の意志が本物なのか、自信が持てず、気づけばもう数年間悩んでいます。カウンセラーさんの立場からみたアドバイスをいただきたいと思い投稿しました。よろしくお願いいたします。

私は絵を描くとき、よく嫌な感情の嵐に圧倒されます。「丁寧にやらなきゃ、神経を入れなきゃ、嫌だ、面倒くさい、やりたくない、投げ出して家に帰りたい、こんなことじゃダメだ!!」こういうかなり激しい感情の渦と、毎回必死で戦っています。この気持ちに負けないように、といつも緊張状態で、絵を描くときは手のひらやわきに異様に汗をびっしょりかき、手が震えます。必死に戦ってなんとか勝てる場合もあるのですが、少しアクシデントがあったりすると動揺をおちつけるのが精一杯で、疲れ果て、気力が底をついてしまい、動けなくなり、心が負けてしまいます。つい、予備校も休みがちになります。
また、自分のペース、やり方、気持ちに全く自信がもてず、「毎日予備校にきて元気に描けない私は合格するだけのバイタリティや意志の強さが足らないのではないか」「いや、全く予備校に通わなくても合格した人がいるのだからそのひとみたいにやった方がいいかもしれない」と、周りを見てばかりです。自分がこうしようと決めた勉強計画も、先生に怒られたり他に違う方法で成功してる人を見るとすぐ揺らぎます。「やっぱりこの人の言うとおり、自分が間違ってるんだ…」と。でも最近、これっておかしいんじゃと思うようになりました。
本心から目標に打ち込んでいれば、多少のことで揺らいだり負けたりせず、結果は伴なわなくても、充実感がえられたり、自分のやってることに自信がもてるはずです。実際何も考えず絵を描いたり、絵の勉強したりするのは好きです。でも美大合格・その後の学生生活のビジョンが全くもてません。が、美大受験をやめて別の道を選ぶという選択肢が浮かぶと、なぜかとても不安になります。何が怖いのか、なぜやりたくない気持ちに圧倒されるのか、どうしたらいきいき絵に取り組めるのか―こういった事を心理学コラムなどを読んで心と取り組んだり、他人に相談したりするのですが、核心に近づくとなぜか話が脱線してしまい解決しません。どこかに無理があるのでしょうか?

カウンセラー
深澤三津子
みりんさん、はじめまして。
カウンセラーの深沢三津子です。みりんさんのご相談文章からは、好きで選んだ道なのに、苦しいという想いが、
たくさん伝わってくるような気がします。
私も、同じような苦しみをした経験があるので、ともてよくわかりますよ。

特に、予備校に通う浪人生という地点は、感じ方や、考え方は、
人それぞれ違いますが、まるで先の見えない穴の中にいるように感じてしまう
というような話を多くお聞きします。

それぐらい、みりんさんの今いる場所は、誰にとっても心地悪い場所であり、
人生の中で、何度かこの通過地点を通った事があるという人でさえ、
先の見えないような感じは、やはり、嫌なもののようです

さて、そんなふうに感じる地点を、他の人は、どうやって抜け出しているのか、
みりんさんも、気になりますよね。
受験とは、競争を伴う世界にもなります。
みりんさん、気をつけておかないと、競争意識で自分のやり方を否定し始めると、
さらに、ネガティブに考えが回り始めるという意識構造がありますよ。
こうなると、人としての自分さえも投げ出す危険性が出てきます。
また、人のマネにもなりやすく、さらに自信をなくしてしまいます。

人のやり方を知ってみたり、理解する事は、参考にすると、
新しいやり方を知るチャンスにもなるかもしれませんね。

でも、もっといい方法があると思います。
それは、同じ道を通り抜けてきた人の話を聞いてみる事です。

みりんさんの周りに、芸術関係の方面に進まれている人はいますか?
ご家族とか、ご親族とか、先輩とか、高校時代の先生とか。
また、予備校の先生も、この分野を通っていると思います。
先生に、心理的な相談をしてみてはいかがでしょうか?
私の予測ですが、予備校の先生は、これまでにも、同じ通過地点を通りながら、
進んで行く生徒を見てきていると思うのです。
中には、そんな生徒の助けになり、サポートしてきた人もいるではないでしょうか?

残念ながら、先生とは、気軽に聞けるほど、
そこまで関係性が作られていないと思うならば、
それとなく、先生の学生時代のストーリーを伺ってみるのも、一つの方法かもしれませんね。

芸術関係という表現は、特に、自分の人生の生き様や、そこから生まれる哲学が
作品に反映されるとも思われます。

だから、みりんさんが心の中で感じたり、生活の中で思うことの全てが、
作品によって、表現されていくのだと思うのです。

ただ、芸術が仕事、いわゆる経済的に反映されるかどうか、
という話になると、これは、また違う側面を捉え、受け入れる必要が出てくる事もあります。

「数年前に、好きなことを仕事にしよう!」という思想が流行った頃があります。
ところが、そうして仕事を選んだ多くの人が、
「好きなことは、趣味で止めておくのがいい」
と言いながら、今いる自分の地点を模索し始めるご相談も、よく伺います。

そこで、私は、思うのです。

こんな類によって、悩むのも、迷うのも、自分を戒めるのも、
抜け出した自分を感じて満足感を得るのも、すべてぜーんぶ、
生きている財産だなーってね。

芸術とは、今の自分の全てが表現される一つの手段。
時々、美術家さんの個展を伺う事があります。
個展の見せ方は色々でしょうが、私は、一人の画家さんが、
書かれた作品を年代別に並べたり、あるポイントに、
幼少時代の作品を飾ったりしているのを眺めるのが大好きです。

なんだか、その時、その画家さんが、何を思い、どんな人生を生きていたのかが
伝わってきて、人生の生き様の美しさを感じさせてもらっているような気がするからです。

みりんさん、今のみりんさんには、美大に合格する事が、
一つの過程の階段を上がる事なのかもしれませんね。
この過程を通過する事が、今までのビジョンだったのではありませんか?
未来のビジョンが見えなくなる時、それは、今まで向かってきたビジョンが、
達成できないと感じているような時に訪れます。
人によっては、もしかすると、諦めたり、一時的に手放す必要が出てくる人もいます。

でも、ビジョンとは、向かう方向を指し示してくれる指針であり、
達成した時に、その先のビジョンを見る事が出来るものです。
人によっては、達成した地点に、待っている事さえあるのですよ。

ぜひ、みりんさん、もっともっと、この道の専門家に、相談したり、
自分の生き様を、もっと違った角度から、眺めてみるというのはいかがですか?

それからね、これもよく言うのですが、おもいっきり手放してみる事も
大切かもしれません。
思い悩む内に、知らず知らずに、楽しい事や面白い事、自分を喜ばせる事と、
疎遠になったりしていませんか?
浪人生だから、無駄使いしちゃいけないしとかね。
ここには、協力者も必要となりますね。

でもね、この地点を通り抜けるには、
みりんさんに、元気な良いエネルギーを取り込む事に意識を向ける事も
お勧めします。
不思議な事に、良い気分の時って、好きなことを自然としたくなるものです。
それでも、作品を表現しなければ、期日までに仕上げなきゃっていう想いが出てくると、
何故か、追い詰められた感じもして、自分の全てを表現できない感じがしたり、
自分を苦しめて追い詰めて仕上げているような感じがしまうんですよね。

生みの苦しみです・・・
だからこそ、この表現性の世界は、魅力なのかもしれませんね。

みりんさん、あなたが好きだから、あなたの作品が好きだから、
あなたの道をサポーターとして、一緒に歩みたい人がいるから、
そのためには、できる事の全てをしてあげたいって気持ちがあるから、
そんな気持ちを大切に思う、みりんさんの気持ちもわかります。
でもね、あなたが苦しむ事は望んでいません。
あなたの道を、ただただ応援したいだけです。

結果を恐れないでください。
そこに、あなたの進む道が見えてきますから。

みりんさん、あなたのビジョンを応援しています!!

この記事を書いたカウンセラー

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