離婚を突然切り出されたら、多くの方は目の前が真っ白になってどうしていいのか分からなくなってしまうでしょう。
その日を境に不安で眠れなくなったり、食事が喉を通らなくなったり、体調に異変を生じることも多いと思うのです。そうした中、まずは安心感を持ち、長期戦に備え体と心を労わるところからカウンセリングが始まります。そして、一度、結婚という形から自由になり、ハッピーな結末を求めるため、一旦手放すことを提案するのです。
●結婚を一度、手放す
パートナーから別れを切り出されたとき、さて、どんな気持ちになるでしょう?
一瞬頭が真っ白になり、「え?何?え?一体、言ってるの?冗談でしょ?」と現実を受け止められないことも多いでしょう。
パニックになってしまうこともあれば、逆に、固まってしまうこともあると思います。
また、心のどこかで「ああ、やっぱり・・・」とつぶやく自分に出会うこともあります。意識はしていなかったけれど、なんとなく気付いていたんですよね。
でも、ショックはショック。その日を境に眠れなくもなり、また、食事も喉を通らなくなることもあると思います。
「眠りはどうでしょうか?ちゃんと寝れてます?食事はどうでしょうか?」
とカウンセリングなのに体のことを気にして質問させてもらうことも多いですね。
眠りと食事はとても大切なもの。
長期戦になることも多いですから、まずは、何よりも眠れること、食べれることを私は最優先にしたいと思っています。
カウンセリングを通じて、安心感が得られたり、希望が見えたり、心が軽くなることでお腹が空いたり、眠たくなったりします。
実際、カウンセリングを終えた後に「久々にご飯の味がしました」とか「帰りの電車の中で爆睡してしまいました」という話をよく伺います。
心と体は繋がっていますから、体がある程度元気になってこそ、心の問題にも向き合える部分があるんですよね。
さて、そうした緊張状態の中で藁をも掴む思いでカウンセリングにいらっしゃった方に、できれだけ地に足を着けて、落ち着いて物事を見ていただくためにいろいろなお話をさせて頂きます。
「不安も多いだろうと思います。絶望もあると思います。でも、離婚て意外と難しいんですよね。一度専門の弁護士さんに相談してみるといいと思うのですが、一般に思う以上に、なかなか成立しないものみたいですよ」
法律には「離婚要件」というものがあるようで、それを満たさないケースでは、協議離婚という形を取るそうです。
そのため、調停をするにしても、話し合いを重ねるにしても、ある程度の期間が必要となり、逆に言えば、それが“離婚を切り出されたけど、離婚を望まない”奥さん・ご主人にとっては猶予期間となるのです。
その間に、自分自身を成長させて、新たな関係性の扉を開くのもカウンセリングの目的のひとつと言えます。
とはいえ、そう言われて少しは安心するものの、自分のケースは当てはまらないんじゃないか?と思ったり、不安な顔つきは変わりません。
無理はないですよね。冷たい夫、挨拶しても無視する夫。切れて暴言を吐く夫。今にも家を出て行こうとする夫。そんな姿を目の当たりにしていたとしたら、希望はおろか、今日一日を過ごすことすら困難に感じることだってあるでしょう。
でも、それでも敢えて「焦らなくても大丈夫ですよ」と私はお伝えするんです。
今まで数多くの実例がそれを教えてくれましたから。
本当にご自身で感じるよりも多くの時間が私たちには与えられています。
また、同時に私はとても大切なことを伝えるようにしています。
「離婚するかどうかが本当の問題ではないと思うんです。あなたが幸せになってこそ、初めて問題解決と言えると思うのです。そのとき隣に今のご主人がいらっしゃるのか、あるいは、別のいい男がいるのかは分かりませんが、でも、どちらにせよ、あなたが幸せにならなきゃ意味がないですよね。だから、そこを目指していきましょう。」
前回もお話した、ハッピーな結末、を目指しましょう、というわけです。
でも、これは“一旦結婚を手放すこと”に他なりません。
もちろん、「離婚」を勧めているわけではありません。
「結婚」に対する執着を手放して、「自分の幸せ」「二人の幸せ」「家族の幸せ」を目標としましょう、という提案です。
極論を言えば「一緒にいて悲しいくらいならば、別れてハッピーになるほうがいいんじゃない?」という考え方でもあります。
また、「もし一緒に続けるにしても、今までとは別のまったく新しい関係を築いて幸せになりましょうね!」という提案でもあります。
そういう意味では、「元に戻る」「やり直す」という表現は本当は捨てて欲しいんですね。
「新たに始める」という気持ちで向き合っていかないと過去にばかり意識が向き、執着が生まれ、なかなか前に進めないものなのです。
だから、「もう一度、ご主人と出会い、もう一度恋に落ち、もう一度結婚を選ぶ、というプロセスを進めましょう」とお伝えしています。
そして、その上で、そもそも、なぜ、こんな問題が起きてしまったのか?を深く掘り下げていくのです。
いわば、離婚問題が生まれるきっかけ、原因を探っていきます。
ここはカウンセリングのひとつの真骨頂でもありますね。これは次週お伝えしたいと思います。