何かの犠牲になったと感じる時~パワーはあなたの中に~

信じていたものに裏切られてしまったと感じた時や、頑張ったのに期待通りの結果が得られなかったとき、私たちは信じるものを見失ったように感じ、無力感を感じてしまいますね。

このような体験が鬱への入り口になることもあるようです。信頼することは素晴らしいことですが、見返りを「期待」をしてしまうと、それは純粋な信頼ではなくなり、やがては自己犠牲となって、知らず知らずのうちに私たちからパワーを奪ってしまう状況に至ります。
大切なのは≪自分の外側にパワーを投影しないこと≫ではないでしょうか。

今回は「自己啓発・精神世界系の本を読んだことで、かえって自分の人生が色あせてしまった・・」というお悩みから、私たちのパワーを取り戻すため、≪権威との葛藤≫について考えていきます。

◎リクエストを頂きました◎
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「ポジティブでいれば運が良くなり、ネガティブでいると嫌なことがおこる」といったことが書いてある自己啓発・精神世界の本を読んでから、ネガティブを避けるようになりました。
しかしそれで運が良くなることはなく、むしろもやもやし、そんな自分に嫌悪感を抱くようになってしまいました。

また、しんどいと言う人に励ますどころか冷たく対応してしまったり、失恋や孤独を歌った曲が素直に楽しめなくなりました。
その類の本には「頑張らなくてもうまくいく!」と書いてあり、努力に価値を見出せなくなってしまいました。
以前の私は自分の考えや行動にそれなりの自信を持っていて、人に優しくしたり努力したりできていたのですが、何をしても無駄なんじゃないかと感じるようになりました。

目には見えない大きな力があるのではないかと、恐れているんだと思います。
どうすれば自分に自信を持てるようになるのでしょうか?
このような類の力を心理学的に説明することはできますか?
(一部編集させていただいております。)
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リクエストをありがとうございます。
全ての自己啓発・精神世界系の本がそうではないのですが、確かにポジティブ至上主義的なものが多かった時代がありましたね。

臨床例からみていくと、ポジティブになろうと無理をするよりは、ネガティブと十分に対峙し、感情を受容していくことにより、おのずとポジティブでパワフルになっていくのです。

純真な気持ちで本に書いてあることを信頼し、自分が不本意に変わってしまったのだとしたら、それは本当につらい経験ですね・・。
これは本に限った話ではないと思います。

例えば、「先生(上司、先輩など)の言うことをよく聞いたのに、かえって自分の人生がダメになってしまった気がする」とか、
「教義どおりに突っ走ってきたけど、人生、ホントにこれで、よかったのかなあ」とか。
また、あるいは、
「彼を信じてここまでやってきたのに、今は裏切られたような気分です・・。もう何もする気が起きません」
という場合もあります。

信じていたものに裏切られてしまったと感じた時や、頑張ったのに期待通りの結果が得られなかったとき、私たちは信じるものを見失ったように感じ、無力感を感じてしまいますね。
このような体験が鬱への入り口になることもあるようです。

信頼することは素晴らしいことですが、見返りを「期待」をしてしまうと、それは純粋な信頼ではなくなり、やがては自己犠牲となって、知らず知らずのうちに私たちからパワーを奪ってしまう状況に至ります。

その本が間違ったことを書いていたから悪かったのか?と思いますよね。
確かにそれらの本は、説明不足で不完全なものだったかもしれませんが・・。

自分が信じてきた対象を「悪」としたり、×をつけたりすることはしない方がいいと私は思うのです。
マインドに「悪者」を創ってしまうと、私たちはその「悪者」と共に、自分自身までも檻の中に入れて、罰してしまう傾向があります。
何かを裁く心を持つと、自分のことまで裁いてしまい、ますます人生は楽しくなくなってしまうのです・・。

まずはこの体験を承認してみましょう。
酷い感情が出てきたら、悲しみや怒りなどの感情を吐き出す場所が必要になってくると思います。
(ネガティブな感情を丁寧に扱っていくヒーリングやセラピーがありますから、利用するのもお勧めです。)

『○○を信じてやってきたのに・・結局は何かを得た感じがなく、人生が燃え尽きてしまった』
という体験は、私たちの人生のあらゆる分野で起きてきます。
一旦燃え尽きて、そして不死鳥のようにまた生まれ変わっていく意識体験が人生には必要なのです。

そう聞くと、「なんだか大変そうで、無理!」って声が聞こえてきそうですが、私たちはすでに何度も死んで生まれ変わるような体験をしてきていて、そして成功しています。

例えば、お母さんのお腹の中から生まれてくる時。子宮の中の世界しか知りませんでした。有無を言わさず母親の中が絶対的な存在だったのです。
でも私たちは無事、この世界の方に生まれてきました。これは凄い体験です。

その後も、離乳食を受け容れ、ハイハイから二足歩行へ移り・・。
そんなことを思い出し始めたら、キリがないのですが、私たちというのは細胞レベルですら、毎日が死んで、生まれ変わり・・の連続によって生きながらえることが出来る生物なのです。

≪権威との葛藤≫という言葉があります。

諸悪の根源であり、全ての問題の裏に隠れていると言われているもので、私たちと大きなパワーとの関係です。
自分のパワーを他のところへ移し「パワーがあるのはこの私ではなく、○○でしょ!」「○○がちゃんと面倒見てよ!」と思う気持ちから、自分が無力化するのです。

でも、「権威」つまり、神様や大いなる力、運命、何か凄そうな人や本、あるいは先生や上司・・等は、本来私たちと対等な存在なのです。

この対等さを忘れて、「自分の人生は○○によって動かされている」という思いがあると、
≪ダメな私≫と≪完璧であらねばならない○○≫という二元性の世界観を創ってしまうのです。

ご依頼者の方は、非常に頭の良い方で、元来とてもパワフルな方なのではないでしょうか?
でも、なんらかの罪悪感を持ってしまい、ご自身のパワーを押さえつけ、檻に入れようとして来られたのではないでしょうか・・?

リクエストを読ませていただいた時、私は喪失感を感じました。
自分らしく生きること、天真爛漫さ、喜び・・などの黄金時代を失ってしまったという感覚です。

今回のことは、「人生で失ってきたものは、小手先のテクニック程度で取り戻せるような、そんな小さいものではない!」というような体験でしたね。
幼い頃は、それだけの輝き・パワー・喜びがあったのです。
そしてそれらの宝物は、罪悪感によって矯正され、未だ隠されたままなのです・・。

ネガかポジか、正しいか間違っているか・・等の対立が止み、対等になったとき、このような二元性に囚われることがなくなってきます。
そのような意識こそ、黄金時代への扉なのです。

成長して二元性を超えようとする時期に入ると、心理的な「罠」として、落ち込みのような、闇に入るような感覚がやってくることがあります。でもそれは「罠」に過ぎません。

頑張らなくてもうまくいくというのは、ある意味、真実です。
自分を矯正地獄に入れていることに早く気づいて、そんな苦しい生き方を辞めて、自分のすべてをゆるして無邪気になることができれば、恩恵に満ちた毎日を生きられるからです。

ご依頼者の探究心は、素晴らしいと思います。
きっと失われた黄金時代へと帰る日が近いことを、信じています。
ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

対人関係、恋愛、個性、才能、感情の問題など、様々なお悩みに対応するベテランカウンセラー。 深い意識を熟知し、問題を根本解決へと導く。 世界各国で長年にわたり精神世界を学ぶ一方、大手芸能事務所の番組制作協力をワンクール担当する等、豊かな感受性を生かしてカウンセリング生活を楽しんでいる。