夫との問題で悩んでいる、性的虐待された過去を持つ友人を励ますには?

性的虐待を受けた過去がある友人が、夫婦の問題で悩んでいる時にどのようなサポートが有効かを考えていきます。

私たちカウンセラーも含め、誰かに相談をされた時に最初にできることは「受容」と「共感」です。
今までの経験を、否定することなく受け入れて、ただ話を聞いてあげることです。何かをしようとすることではないんですね。

また、虐待の過去を持つ方は、人を信頼すること自体がとても怖い部分があります。
ありのままの自分をさらけ出したらきっと嫌われると思ってしまう傾向が強いのです。
虐待された方とっては勇気が必要なのですが、もう一度相手を信頼しありのままの自分をさらけ出すことが重要になってきます。

そして、サポートする側としては、愛を持って言葉をかけてあげれば、まず最初にあなたのことを信頼し始め、
次第に周りの人のことも信頼できるようになっていくでしょう。

◎リクエストを頂きました◎
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性的虐待を受けた人への、周りからのサポートを心理学的な方法で教えていただきたくリクエストします。

私の女友達は、最近ずっと夫婦仲がうまくいかないと相談してくれました(元は夫同士が友人で、家族ぐるみの友人関係です)。
ここ一年くらい毎日仕事で忙しい旦那さんとは、殆ど会話できない状態で、彼女は小さい子供を一人で育てているそうです。
彼が求める性生活にもこたえる気持ちになれず、それが大きな原因を作っていることもわかっていると言っていました。
でも最近、彼が浮気をしているのでは・・・という疑いがあり、彼女は不安な気持ちが爆発しています。

そんな相談をしてくれている話の最後に、彼女が子供の頃、親戚の人にいたずらをされたこと、
20代に付き合っていた人に無理やりされそうになったことを泣きながら話してくれました。(私だけに話せたといってくれました)
そういった経験が、男の人は自分をそういう目でしか見ない・怖い・・という気持ちになり、
ずっと気の強い自分を支えに、いいよってくる男の人を避けてきたそうです。
でも、旦那さんと知り合って、彼は彼女が本当に心から安心し、沢山話せる信頼できる人で、だからこそ結婚したいと思えたそうです。

しかし、どんどん自分に対して冷たくなっていく旦那さんに対して、やっぱりこの人も、他の男の人と同じなの??
と感じるようになってしまっているというのです。

これからどのように彼女をサポートしていけばいいのか、専門家のカウンセラーのご意見をお聞かせいただければ幸いです。

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リクエストをいただきありがとうございます!
今回担当させていただくのは、長尾純子です。どうぞよろしくお願いします。

ご友人の夫婦仲がうまくいかないことに対し、心から心配し助けてあげたいという感じがとても伝わってきて
愛にあふれたとても優しい方なんだなぁと思いながら読ませていただきました。

そのお気持ちだけでも、ご友人は救われていると思います。

今回は、心理学的な視点も含めレクチャーをさせていただきますね。

(1) 最大の癒し

私たちカウンセラーが弊社母校でカウンセリングを学んでいる時に、耳にタコができるほど言われた言葉があります。
それは「受容と共感」でした。

特に弊社では「癒し」に重きを置いていますので、心理学が人を癒すのではなく「人」が人を癒すということを学んだのです。
その、「人が人を癒す」ために重要なことが、「受容と共感」なんですね。

私たちは悩んでいたり腹が立っているときに、

A :「いやぁ、それは君が○○だから、もっと○○するべきだったよね~」と言われるより

B :「そっかぁ、大変だったね~。うんうん、それで?」と自分の話を聞いてくれて「共感」してもらう方が、気持ちが落ち着きますよね。

Aの場合は、つらいという気持ちを一人で抱えている状態ですが、Bの場合は、そうだよね~と共感してもらっているだけで
つらい気持ちを相手も理解してくれて半分になったような感じです。

カウンセラー側もよく陥るワナなのですが、私たちは誰かから相談を受けると、「助けなくちゃ!」とつい思ってしまいます。
でも、相手にしてみれば、聞いてくれる(=共感)だけでとても楽になった、ということはよくあるものです。

「受容」という視点から見るとすれば、彼女の今までの人生のすべてを受け入れてあげる、認めてあげるということが重要になります。
性的虐待をいう辛い体験をしたゆえに、周りの人たちから気が強いと思われながらも、そうするしかなかった状況。
このすべてを、そうだよね、仕方なかったよね、と認めてあげることが、彼女にとってとても救いになると思います。

実際、私たちカウンセラーが行っているカウンセリングの半分以上は、この「受容と共感」に尽きると言っても過言ではありません。
そう考えると、今回やってこられたことは、とても立派な「カウンセリング」だったのではないでしょうか^^

(2) 夫婦間のコミュニケーション

とは言っても、何かアドバイスをしてあげたい気持ちはありますよね^^
(だからご相談を寄せて下さったのだと思いますが^^)

夫婦というのは何といっても「コミュニケーション」、そして「信頼」が大切だと思います。

あなたを信頼しているからこそ、彼女は性的虐待のお話を打ち明けてくれたのだと思いますが、
ご主人にも告白することを彼女にお勧めします。

彼女の中で辛いのは、今自分がご主人のセックスの誘いに応じることができないこと以上に、
ありのままの自分をご主人に受け入れてもらえていない状況だと思います。

「ありのままの自分」というのは、性的虐待に遭った自分、昔、傷ついた自分であり、
男性に対して不信感を持っている自分、セックスを受け入れられない自分です。

ご主人に対してに信頼がなければ話せませんし、話す相手が好きな相手であればあるほどハードルは高くなるかもしれません。

なので、「あなたを信頼しているから話すけど・・」という風に切り出してみるのです。

今の状況ではご主人の浮気が確定かどうかはわかりませんが、今のままだとご主人が「自分が嫌われているのかも・・」と思い
それが浮気を招いてしまうことは考えられると思います。また、セックスレスから浮気に走るケースもあります。

今の彼女の状況は、「世の中の男性」をご主人に投影している状態なんですね。

ご主人と「世の中の男性」を切り離してあげなけれないけません^^ その手段が信頼であり、コミュニケーションです。

ご相談から察すると、彼女とご主人はとてもお互いを信頼し、たくさん話せる相手だからこそ結婚したそうですね。
泣きながらでも、言葉になっていなくてもいいので、ご主人を信頼し、ありのままの自分を彼にゆだねることができればいいなと思います。

(3) 「そこに愛はあるのかい?」

昔流行ったドラマで、江口洋介が主演の「ひとつ屋根の下」というドラマをご存じですか?(お若い方はご存じないかもしれません!^^;汗)
江口洋介が演じるあんちゃんの決め台詞が「そこに愛はあるのかい?」だったのです。

これは、とても深いな~と思いました。

私たちが相手に発する言葉や行動、表現のすべてに、愛がこもっていれば、絶対に相手を傷つけることはないんです。
逆に、カウンセリングなどでも、愛を忘れて分析や判断をしてしまうと、相手から攻撃を受けることもあります。

あなたが彼女にどんな言葉をかけてあげたとしても、その言葉が愛から発するものであれば、彼女は救われるのではないでしょうか。

時には叱咤激励することもあるかもしれません。
それでも何でも言い合える関係は、更なる信頼関係を作りますし親密感をつくります。夫婦でも、友人関係でもです。

ある心理学本に、「愛と親密感はすべてを癒す」というフレーズがあります。
私たちは、孤独で誰ともつながりがない時に問題を作り出してしまうんですね。

彼女があなたを信頼できれば、「あ、人を信頼してもいいんだ!」と、次第にご主人や周りの人のことも信頼できるようになっていくと思います。

彼女の「信頼」を得たあなたは、大きな愛がある方だと私は思います。
どうか、ご自分のしていることに自信を持って下さいね^^

この記事を書いたカウンセラー

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