パートナーシップ・コミュニケーション(1)~男女の言葉の違い~

パートナーシップにおけるコミュニケーションはとても難しい要素をたくさん含んでいます。

誤解が誤解を生んで関係性を壊してしまうこともありますし、ギクシャクした関係がずっと続いてしまうことも少なくありません。そこで、お互いが繋がりや信頼や愛を感じられるコミュニケーションができるにはどうしたらいいのかを考えて行きます。

カウンセリングを通じて、すれ違いを生む大きな理由の一つに「男女の言葉の違い」があることが分かってきました。また、競争の心理から「どちらが正しいか」の争いをし、幸せを逃がしてしまうこともよくあるようです。そして、そうした問題はお互いの関係を対等にはしてくれず、よって“話し合い”が難しくなってしまいます。

そんな状況の中で、お互いの違いを理解し、幸せを選ぶことにコミットし、そして、お互いが対等であることを受け入れたとき、パートナーに対して素直になる準備が整います。
そして、自分の中にある大きな愛の層にたどり着くことができると、とても自然な愛のコミュニケーションができるようになるのです。
少し難しい概念も出てきますが、より良い関係性のために、少しでもお役に立てれば幸いです。

夫婦や恋人同士の様々な問題(離婚、浮気、セックスレス、ケンカ、価値観の違い等々)を伺っていると、改めてコミュニケーションの難しさというものを感じるんですね。
会話やメールはもちろん、表情や態度などのボディランゲージに、ケンカやセックスもコミュニケーションで、私たちは自分が意識する以上の情報をお互いにやり取りしているものです。

皆さんも「今日は何となく相手の様子がおかしいな」とか「何か今日はいいことあったのかな?」と表情や態度で窺い知ることがありますよね。
しかし、いざ、意思疎通や価値観のすり合わせ、二人がすれ違ったときには一気にコミュニケーションが難しくなります。

自分の気持ち、言いたいことが伝わらなかったり、相手の言い分がよく分からなくてヤキモキしたり、イライラしたりしませんか?

特に、恋愛初期や新婚時代の「相手を理解しよう、受け入れよう、愛そう、という意欲が旺盛なとき」はまだ、誤解を乗り越えようとできるのですが、ある程度付き合いも長くなり、我慢や犠牲も積み重なると、歩み寄りがとっても難しくなります。

今回は4回シリーズを通じて、パートナーシップにおけるコミュニケーションをどうしたらもっと上手くできるのかを考えて行きたいと思います。

●テーマ1:男女の言葉の違い

『男と女は脳の仕組みから違う』と言われます。頭で分かるんだけど・・・と思い勝ちなところがあり、現実的にはなかなか応用し難いところがありますね。

コミュニケーションの基礎として、多くの男性は「事実」を重要視します。「結果」と言ってもいいです。
しかし、女性は「感情」を大切にします。事実がどうであれ、気持ちを分かってもらいたいし、気持ちが通じないと納得できなかったりします。

浮気や離婚・別れなどの危機的状況を乗り越えようとするときに、こんな違いが顕著に出てきます。

夫:「僕はもう(浮気相手の)彼女とは会わないし、妻とやっていくつもりで、何度もそう言っているんです。でも、なかなか信じてもらえなくて。むしろ、どうしたら分かって貰えるんでしょうか」

妻:「以前に比べたらちゃんと仕事から帰る時もメールしてくれるし、携帯だって見てもいいよって言ってくれてるので大丈夫だと信じたいんですが、でも、飲み会とか出張とか言われるとどうしても不安になってしまうんです。」

夫は「別れた」という事実を大事にしますが、妻は「夫の気持ち、本音」を知りたいわけです。

それに男性が生きてる時間軸は、近い過去から未来であり、女性が生きてる世界は過去から近い未来と若干のズレがあります。そうすると、

夫:「もう彼女とは2,3ヶ月も前に別れているし、連絡も取ってないんです。だから、前向きに夫婦のことを考えていこう、って提案するのですが、まだ許してもらえてないのか、全然乗り気になってもらえなくて」

妻:「いつも彼女とのことを『もう済んだ事』にしようとするんです。私はまだ納得できてないところがたくさんあるのに。もっとちゃんと分かるように説明して欲しいんです。」

罪悪感があるからってのもありますが、男性はくよくよせずに次行こうよ、前を向こうよ、という意識を持ちます。よく言えば「サバサバしている」てことなのですが、感情や問題を先送りしてしまう傾向もあります。

一方で、女性は何があったのか真実を知りたいという欲求を強く持ちます。ちゃんと知っておきたい、理解して納得したい、という気持ちが強いんですね。
それは夫の愛情を確認したい気持ちもありますし、自分の傷ついた心を整理したい気持ちもあるでしょう。

それがお互いのペースの違いを生んでしまうんですね。

夫:「だから、もう二度とこういうことはしないって言ってるのに。信じてくれよ」
妻:「でも、やっぱり不安なのよ。どうしてしないって言い切れるの?」

多くの男性にとって“約束”というのは「期待値」であり、「目標値」です。
競馬に例えれば、予想屋が付ける「◎」や「○」「▲」みたいなものだったりします。
絶対本命馬が来る(◎)と思っているのですが、当たるかどうかは分かりません。

一方、女性にとって“約束”というのは「確定値」です。
同じく競馬に例えれば、レースが終わり、電光掲示板に着順と払い戻し額が表示された段階です。
だから、100%間違いが無い、と分かって初めて納得できるものなのです。

そうすると、こうした会話も理解できませんか?

お互いの違いをきちんと理解しておかないとすれ違いばかりが生じて、相手の言ってる意味も、自分が言ってる言葉もギクシャクばかりするのです。

それは海外に暮らしている方がよく、深い話になるとネイティブの人とは分かり合うのが大変だ、という話をされますよね?
男女もそれに近い感覚なのかもしれません。

しかし、実はこうした違いにもちゃんと意味があって、重要なことなんですね。
男性が取り逃がした契約のことをいつまでも引きずっていたら、成績が上がらずに報酬も頭打ちしてしまいます。一方、女性が期待値の約束ばかりしていたら家は安定せずに、夫婦関係もふらふらしてしまうかもしれません。

それぞれの違いに意味があるんですね
それは、“男女関係は「補完」しあう関係”だからなんです。

一般的に男性は理性的で、女性は感情的と言われますが、それもやはりバランスで、すなわち、男女関係は“補完関係”なんです。

実は私たちは「自分と違うもの」にロマンスを感じる傾向があります。
だから、「とても価値観が一緒で、感性もぴったりくる」カップルは、とても楽なんですが、友だち以上恋人未満の関係になりやすいんですね。(そうすると、男女の問題、すなわち、性とか結婚とかドキドキがないなどの問題が生まれやすくなります)

特に結婚する相手はその傾向も強く、よって夫婦は「同じもの」ではなく、「全く違う者同士がお互いを補い合う関係」なんですね。

だから、相手の価値観や考え方、感じ方をきちんと知り、受け入れることが大切なことなんですね。

「そっか、私は一緒にいることが愛情表現だと思うんだけど、彼は私たちのために一生懸命働くことが愛情表現だと思ってるのか」とね。

それは「良い」とか「悪い」、「正しい」とか「間違ってる」というものではなく、ただ、そこにあるがままであり、それを受け入れるしかできないことなのですが、つい、私たちは自分の価値観と照らし合わせてしまいます。

そうすると、次なる問題“正しさの争い”が生まれてくるのです。

 

>>>『パートナーシップ・コミュニケーション(2)~正しさの争い~』につづく

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