私たちがどうしたいのか、どうして欲しいのかが分からないとき、欲しい状況を手に入れる為の一歩を踏むことが出来ません。
また、欲しい状況が手に入っていたとしても、心がそれを感じていなければ、欲しい状況が手に入った状況ということは出来ません。それは、美味しいケーキを食べたけど、風邪をひいて美味しいと感じることが出来なかった…というようのもの。まずい、美味しいが分かるからこそ、美味しいケーキを食べたいと求めることが出来ます。
心も同じで、感じることが出来るからこそ、それが私たちにとって欲しいものか、そうでないものかが分かります。心が何を感じているかがわかれば、次へのステップは自ずと示されていきます。今回は、感じる心を取り戻すヒントをお届けします。
◎リクエストを頂きました◎
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自分が何がしたいのか、どうしたいのかわからなくなります。
彼と一緒にいたいのか、一人で居たいのかもわからない。
そもそも、本当に好きなのかただの情なのかもわからない。
こうして欲しい、ということすら感じません。
というか、どうして欲しいのかよくわかりません。
色々なことを感じなくなってきています。
感じるのは息苦しさと辛さだけ。
でも、「辛い」とは感じるけど何が辛いのかわからないんです。
何か原因や解決のヒントがありましたら教えてください。
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リクエストありがとうございます。
今回は、リクエストを基に、私たちの感じる心を取り戻すことをテーマにお届けします。
■ 何を感じているか分からないとき
私たちの心が何を感じているかが分からないときとは、一体どんな時なのでしょうか?
心が感じることにフォーカスしていくと、どんなときなのかが明らかになっていきます。
1)心が感じる状況が出来ていないとき
心が何かを感じるためには、心が感じることができるだけの情報量と心のゆとりが必要です。
例えば、
女性であれば、男性に惹かれることはありますよね。
しかし、男性であれば誰でもいいというわけではありません。
男性という情報だけでは、私にとって、相手の方が好意を感じる人なのかどうなのかというのは、分かりません。
そういったときは、感じるだけの情報が足らないわけですから、今よりももっと相手のことを知ることや、心理的距離を縮めてみることが必要です。
そして、相手の情報や相手にふれる機会を増やしていくことで、私にとって相手がどのような存在の人なのか、相手とどのような関係を築いていきたいのかということ感じることの出来る状況を作ることができます。
逆に、婚活などしていると一気にいろんな方と会ってみたけれど、誰をパートナーにしたいのか分からないということはありませんか。
この場合、前述のように彼らを知るための情報が足りないという場合もありますが、短期間にたくさんの方に会うことで情報過多になったり、どこか心が疲れたりして、心に感じるだけの余裕を失っている場合もあります。
そんなときは、心が感じることが出来るように、立ち止まったり、休んだりすることが求められているときなのかもしれません。
共通していえることは、心で感じることにフォーカスして、心が感じやすい状況を整えてあげることが必要であるといえるでしょう。
2)感じたくない感情があるとき
私たちは、感じたくない感情があるときに、我慢をしたり、抑圧をしたりして、感情を感じないように努めます。
感じたくない感情だけ抑えることが出来れば、感じたい感情だけ感じることが出来て、都合がよいのですが、そうはいかないのが心なんです。
心は、感じるアンテナみたいなもの。
感じたくない感情を感じないように我慢したり、抑圧したりすることは、心の感じるアンテナの感度を下げることになりますから、感じたくない感情以外のものも感じなくなってしまいます。
そうすると、欲しいものや欲しい人間関係、嬉しさ、楽しさ、喜びなども感じられなくなりますから、感情が動く=感動とは離れた日常になり、どこか物足りなさやつまらなさ、徒労感などを感じるようになります。
■ 感じる心を取り戻すには
では、感じる心を取り戻す(心のアンテナの感度をあげる)には、どうしたらよいのでしょうか。
それは、“感じること”です。
何を感じているのかが分からないのに感じるの??と思った方もおられるでしょう。
確かに我慢や抑圧を続けていたりしていると、心が何を感じているのかが分からなくなってしまいます。
しかし、正座をして足がしびれた後にしばらくすると正常な感覚が取り戻せるように、心の感度も感じ続けることで取り戻すことが出来るのです。
私たちは感じていないと感じているときも、常に何かを感じているようです。
ですから、私たちカウンセラーは、「何も感じていない」というのも一つの感情として捉えて、「何も感じていないことを感じてみましょう。」という提案をさせていただくこともあります。
今までに我慢や抑圧をしてきた分だけ、自分が感じていることを捉えることに時間がかかるかもしれませんが、そこは焦らずに、感じてみようということから始めてみましょう。
そうやって徐々に心の感度をあげるということは、感じたくない感情やネガティブな感情を感じることに対しても感度があがることになりますから、リスクを伴うように感じます。
しかし、心の感度をあげて両方を感じることが出来るようになると、感じたくないものやネガティブな感情をリアルに感じることになるので、感情を抑えたり、我慢をしたりして、本当は嫌だと感じている環境に身を置くという方法ではなく、私たちの感じるものを指針に、私たちが本当に求めているものや心地の良いと感じる環境、私たちの欲しい人間関係などを選び、自分自身に対してそれらを与えることが出来るようになるのです。
(完)