ブラコンの心理(3)~ブラコンの問題点~

恩恵もありますが、一方で、兄からの絶対的な愛情があり、かつ、年も近い関係ですから、まるで“恋人”のような感情を持つことがあります。

そうすると、ほんとうの彼氏が出来たとしても、何となく距離を感じてうまく行きません。
それは、きょうだいという横のつながりから生まれる“同志”的な意識がもたらすもので、長い付き合いから生まれる共通意識も強く、従って、心理的な優先順位を兄をトップにしてしまうのです。

ブラコンの問題点

ところが、その余裕が裏目に出ることがよくあります。
「いい年して、そろそろ結婚しなきゃいけないんですけど、何かその気にならないというか、余裕を感じちゃったりするんですよね」
そんな風に話をされる方もいました。

お兄ちゃんからの絶対的な愛情があるので、寂しさや焦りが生じ難いんですよね。
これはファザコンのケースにも当てはまることなのですが、寂しさがないと、特に恋人とも親密な関係を求めなくて済むんです。(すると相手が寂しくなるのですが)

よって、なかなか結婚できない、とか、結婚したけどすぐに離婚が頭を過ぎる、みたいな問題となって浮上してくるわけです。

その結果、異性から愛される自信もあり、余裕もありますから、望めば“男が切れない”人生になるのですが、“望まない”あるいは、“数ばかりこなす”ケースが多くなってしまいます。

そんなブラコンの女の子。ハートの真ん中に“おにいちゃん”がいるようなもの。
つまり、心の中の“恋人”の席には、既に兄がデンと座ってるようなものなんですね。
そうすると、彼氏ができたとしても、恋人の席は埋まってますから、必然的に“愛人”シートに彼氏を座らせるようになるわけです。
もちろん、無意識ですよ。

「だって、何かと困ったことがあれば、お兄ちゃんの方が分かってくれるし、的確なアドバイスもくれるから」
「彼のことは好きだけど、お兄ちゃんと話すとやっぱり楽だからね。」
「彼は買い物には付いてきてくれるだけだけど、お兄ちゃんは私に似合うものちゃんと選んでくれるし」

これも無意識のうちに心のわきあがった感情です。
知らないうちの、心の中で「彼よりも兄」を優先してしまうわけです。

でも、無理ないと思いませんか?
お兄ちゃんって、自分が生まれたときから今日までずっと付き合いのある人ですよね?
もし、あなたが今30歳だとすれば、30年の付き合いがあるわけです。
一方、彼氏とは知り合ってわずか数年。足元にも及ばないと思いません?

なお、こうした兄への強い情が無かったり、表面的にはあまり仲良しではなかったとしても、心の中に「いざと言うときは兄が頼りになる」という思いがあれば、同じ傾向を示すようです。

因みに先ほども触れましたが、これはファザコンでも同じような心理を作ります。ただ、ファザコンよりも気付き難く、問題意識を持ちにくい点で、ブラコンの方が難しいと言えるかもしれません。

さて、もしあなたが夫にコミットできない、結婚にコミットできないという問題を抱える背景には、そんな見えてるけど見えない“兄”という存在があるのかもしれません。

きょうだいというのは「横のつながり」ですね。(親子を縦のつながりと解釈するならば)

いわば一蓮托生の“同志”みたいな存在と言っていいかもしれません。

きょうだいというのは「同じ親について語れる稀有な存在」ですから、それだけ共通意識も強くなるんです。

そうすると、問題視されない「兄」という存在が、同じく横のつながりである“恋愛”や“夫婦”に影響を及ぼさないわけがありません。

むしろ、“兄”に対して、恋愛感情を持ち、結婚願望を持つことだって、変なことではないのかもしれません。

実際、カウンセリングの中で、お兄さんに“性的欲求”を抱いた経験のある方にも少なからずお会いしてきました。(実際に性的な関係になるかどうかは別です)

自分で自覚できる以上に、お兄さんを異性として捉え、異性として好きになってしまうケースは少なくないのかもしれません。

 

>>『ブラコンの心理(4)~脱・ブラコン~』につづく

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