子どもが欲しくなくなる心理~私が親になるということ~

子ども時代に辛い経験をすると、子どもが欲しくなくなるというお話は、カウンセリングの現場でも、よく聞かせていただきます。

それは、裏を返せば、辛い経験がなければ、子どもが欲しかったということなのかもしれません。
子どもを持つということは、私たちが親になるということ。
子どもが欲しくないというのは、辛い経験をした自分と同じ思いを子どもにさせたくない思いだけでなく、親になりたくないという思いも隠れているようです。親になりたくないという思いにも、いろいろな心理的背景があります。

今回は、子どもを欲しくなくなる心の仕組みから、親になりたくない思いを持つ心理的背景と、そこからの癒しに繋がるアプローチをご紹介したいと思います。

◎リクエストを頂きました◎
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こんにちは。
いつも、心理学講座を楽しみにしています。
実は、リクエストしたいテーマがあります。
カウンセラーさんのブログなどで、
「子供時代に辛い経験をすると、子供を欲しくなくなる」
と言うことが書かれていることがあります。

おっしゃっていることは何となく分かり、私自身も、結婚はしているものの、
もし、自分の子供が、私と同じように我慢ばかりするようになったら…
もし、自分の子供が、私と同じようにいじめられたら…
もし、自分の子供に、私と同じようなお金の苦労をさせることになってしまったら…
などと考えると、子供を作る決心がつきません。

そこで、「子供時代に辛い経験をすると、子供を欲しくなくなる」の、メカニズムを、もう少し詳しく、教えていただきたいのです。
また、どのように自分を癒していったらいいのかも、あわせて教えていただけると幸いです。
どうぞよろしくお願いします。
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リクエストありがとうございます。
今回は、リクエストを基に子どもを持ちたくない心理についてご紹介します。

傷ついた子ども時代の私=子供??

子どもの頃辛い経験があると、これから持つ子ども対して「辛い経験をした子どもの私」を投影しますから、
「自分の子供が、自分と同じように我慢ばかりするかもしれない」
「自分の子供に、自分と同じようなお金の苦労をさせることになるかもしれない」
といった怖れや不安を持つようになります。

これらの思いから、子どもを持ちたくないと感じるようになります。
そういった怖れや不安を持つということは、
「自分の子供には、我慢させたくない」
「自分の子供には、お金の苦労をさせたくない」
という気持ちの現れです。

辛い経験の子ども時代があれば、なおさら、自由で苦労知らずであることがどれだけ素晴らしいことなのかということを人一倍知っていますから、それが、その人にとって子どもに与えることができる才能ということができます。

■ 親になりたくない心理

子どもが出来るということは、私たちが親になるということになります。
表面的には、「子どもが欲しくない」という形で現れていますが、その裏には、「親になりたくない」という気持ちが隠れています。ここで、いくつかの例を紹介したいと思います。

 ○ 子供でいたい
子ども時代に充分に甘えられなかったり、寂しい思いをしたりすると、子どもの頃でさえ、甘えられなかったのに親になるともっと甘えられなくなると感じます。そうすると、その満たされていない思いが大人になりたくない、親になりたくないという思いが出てきます。

 ○ 幼少期から担ってきた、「親」という役割
・親の方が子どもで、親子の立場が逆転していた
・何らかの理由で親がいなかったため、親代わりで兄弟の面倒を見てきた…など。
何らかの形で、子どものころから「親」という役割をやってきた場合、子どもが「親」をやる訳ですから、どこか寂しい気持ちや甘えたい気持ち、助けを求めたい気持ちなどを抑えたり、横に置いてきたりせざる終えない状況で過ごします。
自分の気持ちを抑えたり、横に置いてきたりした度合いだけ、「親」という役割に「もう、やりたくない!!」と嫌気がさしたり、疲れ切ってしまったりして、実際の「親」になることに嫌悪したり、拒絶したりします。

 ○ 幼少期の親に対する怒り、完璧を求める思い
子どもは、親を完璧な存在として見てしまうものです。
幼少期に両親に対して、「分かって欲しかった」「愛してほしかった」などの欲求もあれば、「○○してくれなかった」「助けてくれなかった」という思いや痛みを持った分だけ、怒りや恨みを持ちます。
私たちが「子ども」の位置で、親に向けた怒りや恨みなどの攻撃性や完璧を求める気持ちは、私たちが「親」の位置に入るときに投影され、私たちにも向けられているように感じますから、
「親になること=攻撃されること」
「親になること=完璧を求められること」 となり、
「親」の位置になることに怖れを持つようになります。

■ 子どもを持つために

 ○ インナーチャイルド(傷ついた子供の心)を癒す
子どもの頃に満たされなかった思いを満たしていくことや傷ついた心を理解してあげることが効果的です。
私たちの中にある子どもの心の部分の声に耳を傾けてあげることや、セラピーなどで癒していくことがお勧めです。

 ○ 役割を手放す
親になる前に「親」の役割をされていた方が、子どもを持つということは、親を2人分やることになりますから、今までやっていた「親の役割」を本来の親に返して、子どもの位置に戻ることが大切です。
そうすることで、「親の役割」をこれ以上したくないという嫌悪感・拒絶感・犠牲をしてきた感じを軽減することが出来ますから、ご自身の「親」という部分を受け入れることが出来るようになっていきます。

  ○ 親を許す
先ほども述べたように、私たちが親に持った怒りや不満は、私たちが親になることへの不安や怖れを作ります。
子どもの目線でみると親のことを許せないと感じる部分はたくさんあります。
しかし、大人になった私たちが改めて、自分の親を大人同士という目線でみると、
「お母さんも、お母さんなりに私を愛してくれたんだ」とか
「大変だったんだなぁ」
といった感じで、親を理解していくことが出来るようになり、許しというプロセスに進むことができます。

○ 親・子育てのモデルを探す
私たちが子どもを欲しくないと感じるとき、子どもを持つことに関して、ネガティブな要素に着目していることがとても多いです。
そこからの脱出方法は、やはり親であることや子育てを楽しんでいるようなポジティブな要素を思わせるモデルとなる人やヴィジョンを探すことが子どもを持つためのモチベーションに繋がります。

■ 最後に

幼少期の辛い経験は、子どもを持つことに怖れや抵抗を作り、子どもが欲しくない状況を作ります。
しかし、それはこれから授かるかもしれない子どもを大切に思うからこそ、感じる親心なのかもしれません。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

人間関係の築き方・コミュニケーションのスキルアップ・個性を生かすことを得意とする。 お客さまのテーマを多角的な視点でとらえて分析することにより、新たな視点や心の気楽さを持つことが出来ると定評がある。ゆるぎない安心感の基盤を基に行うカウンセリングは、心のうちを語りやすいと評価が高い。