癒着がおこす問題を、子ども側の視点からご紹介をさせていただきます。
癒着が起ると自分の人生と親の人生の境目がわからなくなってしまったり、自分の問題と親の問題の境目がわからなくなってしまうことがあります。
すると自分の人生を自分で選んでいくことに罪悪感を感じてしまったり、親の問題を背負ってしまったりするという問題をもつことがあります
●干渉されたくないと親の意見が気になるという異なる思い
前回は、癒着が引き起こす問題として親側に起こる問題をみていきましたが、今回は子ども側をみていきたいと思います。
ここでの子どもというのは、親子という立場からみた子どもという意味で子どもという言葉を使わせていただきます。
ですので成人した大人であっても、ここでの子どもという言葉に当てはまると思って読んでいただければと思います。
むしろ、成人した大人のことを対象に書いている事が多いかと思います。
カウンセリングをしていると、親に人生を干渉されたくないという思いを持つ一方、親の意見が気になってしまうという二つの思いを持たれているというお話を聞かせていただくことがあります。
干渉されたくないんだけど親の意見が気になるんで心は自由ではないんです。
親との関係で癒着が起きていると、このような異なる二つの思いを同時に持ってしまうことがあります。このような気持ちを抱いている時はしんどいです。
このしんどいパターンから脱出する一つの方法として、まず癒着が起きていることに気づくことからが脱出の一歩目になると思います。
まるで心の中に常に親がいて人生を干渉してくるような感じがするから、自由な感じがしないんですね。心の中に常に親がくっついているんです。
そして親は親の人生、自分は自分の人生と別々のものであり、自分の人生は自分のものだから自分で自由に選んで良いという許しを自分に十二分すぎるほど与えあげてほしいなと思います。
具体的には、このような言葉を何回、何回も繰り返し自分になげかけていくんですね。心の中で投げかけてもいいですし、声に出すかたちでもいいです。
●親の問題を背負ってしまう
また、親の問題を自分の問題のように感じ、放っておけなかったりする話も聞かせていただくことがあります。
例えばお母さんと癒着している方がお話してくださることで、家を出たいし、結婚もしたいんだけどお父さんとお母さんの仲がよくない、でていくと二人がどうなってしまうかが心配で家をでられない。母も父とどう接していいかわからないというようなことを話している。だから、そんな母を放って家をでたり、結婚したりするのは申し訳ない気がするというような話を聞かせていただくことがあります。
この場合、お母さんのことを心配することが問題ではないんですね。むしろ心配してあげる気持ちは美しいことです。
心配するがあまり自分の人生を二の次にしたり、自分のしたいことや、幸せを優先することが申し訳ない気がしてしまっていることが問題となります。
罪悪感を抱いてしまうことが問題なんですね。
このようなケースをカウンセリングしていくと親を見捨ててしまう罪悪感さえ感じてしまう人もいるんですね。
この罪悪感から自分の生きたい人生を自由に選べなくなってしまうことが問題となります。
この例の場合だと母親が父親と接していいかわからないというのは母親(と父親)のパートナーシップの問題であって、子どもが背負う必要はないのですが、それを放ってでてくるのが申し訳なく感じてしまっているわけです。
あくまで母親(と父親)の問題であるので母親が取り組む問題であり、本来は罪悪感を抱く必要はないのですが、癒着が起きていると自分と母親と問題の区別がわからなくなってしまうので、このような誤解を起こしてしまうことがあるんですね。
癒着を起こしている当人はなかなか気付きにくいものでもあります。誰かからの指摘や、見解があったほうが(癒着が起きていて母親の問題と自分の問題の境目がわからなくなっていたことに気づきやすいもののように思います。ですんで悩み事は一人で頑張らないということが解決の近道になりやすいかと思います。
癒着が起きていて母親の問題と自分の問題の境目がわからなくなっていたことに気付けると『これは母親の問題であって自分が背負うことはないし、罪悪感も感じるなくてもいいんだ』と罪悪感を手放そうとする考えるを持つこともできます。
ですんで、気づくというのはとても大切になります。