日常のあらゆる場面で、誰もが感じたことのある不平不満。
それを解消するには、不平不満の対象である相手が変わらなければ、この不平不満という不快な感情から解放されないように感じてしまいます。いつ来るか分からない不平不満解消の時をただ待ち続けるのは疲弊してしまい、とてもしんどいものです。
「早くこんな状況から抜け出したいけど、どうしたらいいのだろう?」と感じている方も多いのではないでしょうか?不平不満を持っているとき、私たちは問題解決や状況の変化を周りに求めてしまいがちですが、そんなときこそ抜け出すヒントは、不平不満を感じている相手ではなく、自分の中に隠れています。今回は、不平不満を作る心理状態や不平不満の中に隠れた不平不満などを見ていきながら、不平不満の気持ちから抜け出すためのヒントをご紹介します。
◎リクエストを頂きました◎
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職場で、上司に対する同僚の愚痴や、同僚同士の不平不満が多くて、それに影響されてきています。
就職したばかりの頃は「仕方ないよね」とか「そんなものだから」と思っていたのですが、だんだん周囲に巻き込まれて私も愚痴っぽくなってきています。
おそらく上司の耳にも何らかの形で入っているのではないか思いますし、こっちが不満を持っているせいもあるのでしょうが、何となく上司から嫌われてきている気もします。
以前職場をやめたりやめさせられたりした経験があり、「またやめるような事態になったり、クビにされたりとかするかもなぁ」と感じます。何とかしたいなと思っているのですが、自分嫌いでエゴが強くてすぐ諦めてしまいます。「クビになる」って、それで「自分はダメ人間」って証明して、一番納得したいのは自分自身だと分かっているのですが……。
もう何から取り組んだらいいか分からないし、出来る気もしません。どうしたらいいでしょうか?
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リクエストを頂き、ありがとうございます。
リクエストを基に、不平不満をテーマに、どんなことが起こっていくのか、どうしたら抜けやすい状況を作ることが出来るのかをご紹介していきたいと思います。
■ 不平不満を作るもの
不平不満を感じているとき、私たちは相手に「○○して欲しい」という期待と欲求(ニーズ)という相手に求めるものを持っています。
そして、その周りの人に対する期待や欲求が満たされないときに、「○○してくれない」という満たされない思いが不平不満となって、表に顔を出し始めます。
感じることの大きさの違いはあれど、皆さん、経験されたことがあると思いますが、思いが満たされない状態ですから、決して、心地よいものではありません。
何故、自分以外の周りの人に求めなければならないかというところに着目すると、そこには、目の前にある問題に対して、「自分には状況を変える力はない」という自己概念や無力感、劣等感が隠れていますから、実際に自分が解決できるとは思えないのです。
また、「自分には状況を変える力がない」という思いがあると、問題の解決や変化を相手に委ねる方法しか自分に与えることができませんから、相手が変化しないと問題が解決しないという「待ち」の姿勢を作ります。
そして、待ちの姿勢が長くなればなるほど、不平不満が募り、更に不快になる、不快を感じさせる状況が続くという現実が作られていきます。
■ 誰に対する不平不満??
不平不満は、一見周りに対する攻撃性のように見えます。
「私の期待や欲求を満たしてくれない誰か」と「状況を変える力がない私」は、状況を変えてくれないという意味では同じなので、
「私の期待や欲求を満たしてくれない誰か」=「状況を変える力がない私」
という構図が出来あがります。
ですから、私の欲求を満たしてくれない相手に対しての不平不満は、実は、自分に対する不平不満でもあるのです。
■ 不平不満が作るもの
自分に向けられた不平不満は、「状況を変える力がない自分」に対する責めていることになりますから、元々持っていた無力感や劣等感の存在を更に強めてしまいます。
そして、欲求を満たしてくれない相手に対する不平不満と状況が変えることが出来ない私に対する不平不満は、周りに投影され、不安や怖れを作っていきます。
例えば、
「私が上司に不満を持っている」状態が
「上司も私に不満を持っているのではないか」という投影や、
「状況を変える力がない(=出来ない自分、ダメな私)」を感じていると、
「周りからも、自分はダメだと思われているのではないか」という投影が、不安や怖れを作り、「会社を辞めさせられるかもしれない」というような不安や怖れや怖れを作るのです。
ここで作られた不安や怖れは、目の前の問題のハードルを更に高く感じさせるので、「自分には出来ない」などのエゴが騒ぎ出し、自分が問題を解決できるとは思えなくなってしまうこともあるのです。
■ 不平不満から脱出するには
不平不満があるときは、問題解決や状況の変化を相手に求めたり、委ねたりしている状態ですから、「相手が取り組む課題」から「私が取り組む課題」として捉えることで、問題の状況から抜け出す機会を得ることができます。
私の取り組む課題として捉えやすくするには、「自分には、状況を変える力がない」という思いから、自分の中にある「状況を変える力」を認めていくこと、受け取っていくこと、信頼することがテーマになります。
不平不満の元となっている「自分には、状況を変える力がない」という思いは、自己概念であり、事実ではありません。
とはいえ、今まで「自分には、状況を変える力がない」と思っていたものをいきなり“ある”と思うのは難しさを感じることもあるでしょう。
まずは、自己を承認していくこと、自分に価値を見ていくことにチャレンジしてみましょう。
そうすることで、自分との信頼関係を築くこと(=自信)を育てることができ、自分の中にある状況を変える力を認めること、受け取ることがしやすくなっていきます。