私たちは、自分のことをコントロールできているようでできていないことが多いようです。
こういう振る舞いをしたほうがいいなと分かっているのに、つい違う振る舞いをしてしまうことがあります。それは、意識していることと違う力が私たちの振る舞いに影響を与えているからのようです。
この意識していることと違う力のことを理解し、上手くつき合うことができれば、自分の振るまいにもっと責任を持て、もっとこうしていきたいなと思っていることと一致した、振る舞いを取りやすくなります。
意識していることと違う力とは、どんなものなのか?それとはどうやってつき合っていくといいのかを『私たちに働きかける心の力とは?』で4回に渡ってお送りします。
頭でこうしたほうがいいなと分かっているのに、上手くできないということってありませんか?
例えば、上司に「この仕事やっといてちょうだい」と頼まれたとします。
すると「今すぐですか?」と不機嫌な顔で返答してしまうんですが、本人も同じ返答するなら「今やりかけの仕事があるんで、後でも良いですか?」と返答したほうがいいと分かっているんですが、ついつい、そんな反応をしてしまうようなことです。
そうした方が、上司から睨まれずにいいとは分かっているし、お互い嫌な思いをせずにいいと後から思うんですが、その場では、ついついそうしてしまうんです。
ついつい、反応してしまうわけですね。
人によれば、反発という反応ではなく、萎縮という反応をしてしまい、今やっている仕事がどんなに忙しくても「わかりました、すぐにします」と、つい答えて従ってしまう人もいるでしょう。
これも、ついつい反応してしまう、たぐいのものです。
このようなものは、誰にでもあるようなことなのです。
上司との関係という形で例え話をだしましたが、親との関係、パートナーとの関係、友達との関係でも、こういうものは存在します。
親との関係でしたら、一人暮らしをしている子どもの元に母親が心配して電話をかけてきたとします。そして「ちゃんとご飯食べてるの?野菜もとってる?」と心配して母親が聞くんです。
すると「食べてるよ。わかってるからしつこく言わないでよ」と、うざったいように、ついつい言ってしまうんです。
そして後で思うんです。『あんな言い方しなくてもよかったな』って。
このように私達は、自分のふるまいや、話すことを理性でコントロールできている時と、そうはできていない時があります。
このことは、私達は全てを意識し、把握して、考えて、選択して行動しているわけではないということを表しています。
よく考えてみれば、全てを意識し、把握して、考えて、選択して行動していれば、うっかり口を滑らせたということはないでしょうし、「こうしていこう」と決めたことを、感情に流されず、誘惑にも負けずやり通せるはずです。
そうでないというところは、私たちが、自分の全てを意識し、コントロールしているわけではなく、別の力が私たちの考え方や、反応、振る舞いに影響を与えているんだということでしょう。
そうしたことを受け入れて、どんな力が自分の考え方や、振る舞いに影響を与えているんだろう?と興味を持ってみることが、より自分を理解し、振る舞いを上手くコントロールし、自分の身の回りに起こることをより良い方向に導けるのです。
次回は、私たちに影響を与えている力とは、なんなの?ということに触れていきます。
>>>『私たちに働きかける心の力とは?(2)~感情の力はすごいのです!~』へ続く