抑圧された罪悪感が作り出す罠には様々な種類がありますが、「誰かから責められる」「誰かを責めたい気持ちになる」というものがあります。
罪悪感を抑圧することで、なぜだかわからないけど結果的に責められるようなこと出来事が起こったり、誰かを責めたい気持ちになったり、実際に責めてしまったりします。
そうして、しらずしらずのうちに罪悪感が積み増しされていきます。
●責められるような出来事が起こってしまう
抑圧された罪悪感が作り出す問題の1つに、「責められるような出来事が起こる」というものがあります。
もちろんその出来事は起こそうと思って起こしたものではないので、それで責められるととても嫌な気分になってしまいます。
日常の中でよくあるのが、「遅刻」です。
遅刻をする理由というのは様々な要因がありますが、その理由が「罪悪感を持っているから」というのは、あまり聞いたことがないかと思います。
しかしながら、癖のように遅刻を繰り返す人というのは、罪悪感を抱えている場合が少なくないのです。
遅刻というのは、約束の時間にきちんと来ている人にとっては、腹が立つことですよね。
相手も自分も気分が悪くなることですから、誰も好んで遅刻をしようとは思いません。
でも、してしまうのです。
遅刻をしてしまうと、直接的もしくは間接的に責められるか、信用を失うかして、さらには自分を責めて苦しくなるという悲しい結末を迎えることになってしまいます。
遅刻をしたことがある方なら理解していただけるかと思いますが、遅刻をしようと思ってする人はいないんですね。
目覚まし時計の電池が切れていたとか、家を出る時に鍵が見つからなかったとか、道が混んでいたとか、電車が遅れたとか、不可抗力のような事情によって遅刻をしてしまうのです。
そうした理由で遅刻をしてしまったとしたら、「私のせいじゃないのに~」と、ちょっと悔しくなるような気がしませんか?
電車が遅れてやってきたことも、その遅れた電車を定刻通りに走らせることも、残念ながらできませんよね。
それにもかかわらず、結果的に遅刻をしたことで責められることになってしまうのです。
遅刻を繰り返してしまって癖のようになってしまっている人は、言い換えると、無意識的に、癖になるほどに責められることを必要としているということができます。
もちろん意識上には全くありませんが、それだけ「お前が悪い!」と責められたいのです。
それこそが、抑圧された罪悪感があなたに遅刻をさせる目的なのです。
●誰かを責めたくなる
そしてもう1つの抑圧した罪悪感が作り出す問題が、「誰かを責めたくなる気持ちにさせる」というものです。
例えば、彼の浮気が発覚したとします。
浮気をしたのは彼であるにもかかわらず、彼は「お前のせいだ!」とあなたのことを責めます。
そうすると、あなたはどんな気持ちになるでしょうか?
「なんで私が責められなきゃいけないのよ!悪いのは浮気をしたあなたじゃないの!!」というような気持ちになりませんか?
それは、全くその通りです。
浮気という不誠実な関係を作り出したのは、あなたではなく、彼です。
その不誠実な関係を作り出したのは彼ですから、彼はとってもたくさんの罪悪感にまみれている状態といえます。
でも、彼が「自分が悪い」という罪悪感を受け止めることができない時、「俺を不満な状態にしたお前が悪い!」と、あなたのせいにして、あなたのことを責めてしまいます。
そして、あなたは、「お前が悪い!」と彼に責められることで罪悪感を刺激され、その罪悪感が受け止めきれない時に、彼を責めたい気持ちになるのです。
そうして相手を責めることで関係はどんどん悪くなり、責めるたびに罪悪感を積み増していく状況というのが、抑圧された罪悪感が作り出す罠なのです。
浮気の発覚ほどドラマチックではなくても、誰かを責めたくなることというのはあります。
例えば、あなたが会社で、机の端においてあったマグカップを引っかけて落としてしまい、割ってしまったとしますよね。
そのマグカップは、あなたの上司がとても気に入っていて大事にしているもので、その上司から怒られてしまったとします。
そんな時、「わざと引っかけたわけじゃないし、そんな端に置きっぱなしにしているのが悪いんじゃないの!?」「マグカップくらいでそんなに怒って、器が小ぃせーんだよっ!」というような気持ちになることというのは、想像がつきそうでしょうか?
罪悪感を受け止めることができたとしたら、自分の不注意を素直に認めて謝ることができるのですが、それがうまくできない時、謝る代わりに相手を責めてしまい、潜在的な罪悪感を積み増すことになってしまいます。
その「罪悪感の積み増し」が、罪悪感が問題を作り出す目的の1つなのです。
>>>『罪悪感が作り出す罠(3)~人との間に距離ができる~』へ続く