心の力学の1つに、「心が感じているものや信じているもの、望んでいるものが現実の状況としてやってくる」というものがあります。
質問を通したコミュニケーションでも、この力学が当てはまります。
具体的な例を挙げながら、この心の力学についてご紹介したいと思います。
では、心で感じているものや信じているもの、望んでいるものが「質問」にどのような影響を及ぼしているのか?をもう少し具体的に見てみましょう。
例えば、「パートナーが欲しい」と思っている5人の人がいたとしますよね。
そして、カウンセラーや友人などに、パートナーを手に入れるための質問をするとします。
それでは、Aさん~Dさんの4人の質問をご覧ください。
Aさん:「私がパートナーを手に入れることはできますか?」
Bさん:「どうして私にはパートナーができないのでしょうか?」
Cさん:「私がパートナーを手に入れるためにやるべきことは何でしょうか?」
Dさん:「パートナーを手に入れるのに、私に足りないものは何ですか?」
「パートナーが欲しい」という部分は同じで、パートナーを求めているというのも同じなのですが、質問の仕方が異なり、その結果、手に入るものもそれぞれ違ってきます。
それは、あなたが各人の質問に答えるのを想像してみると、それはより理解しやすいでしょう。
もし友人があなたに上記のような質問をしてきたとしたら、あなたならどのように答えるでしょうか?
例えば、Aさんの質問だと、「手に入れることはできる」とか「手に入れるのは難しいだろう」といった「結果」になり、Cさんの質問だとパートナーができない「原因」や「理由」になり、Dさんだと「やるべきこと」が、Eさんだと自分の「足りないもの」が手に入ることになります。
それでは、このような質問の仕方をする人の心の中を覗いてみましょう。
Aさんの心が何を感じているかというと、「私にパートナーを持つ資格はあるのだろうか?」といった自信のなさを感じているのかもしれません。
そうすると、答える人は、その自信のなさを感じて「大丈夫かなぁ?」「できるかなぁ?」と、答える人の心も自信がない状態にない状態になり、結果的に不確かで自信のない答えが返ってくることになります。
Bさんの心は、「他の人にはパートナーがいるのに私だけいない」という、劣等感や嫉妬の感情や、比較や競争の状態があるのかもしれません。
そうすると、答える人は、「何で私だけがいないの!?」という嫉妬や攻撃のエネルギーを感じるので、「それがあるからできないんだろうな…」と感じます。
Cさんは、パートナーを手に入れるためには、無理や犠牲を伴う「義務」というものが必要だと感じているのかもしれません。
そうすると、答える人は、「○○と△△をやってみるといいと思うよ」という提案をしても、Cさんは「○○と△△をやるべきだ」と、それを義務としてやる
ことになります。
Dさんは、自分に何かが足りないという不足感や不完全さのようなものを感じているのかもしれません。
そうすると、答える人は「こんなところが足りないよ」と、足りない部分を答えるので、結果的に自分の不完全さや足りない部分を突きつけられることになります。
このように、心で信じているものや望んでいるものから質問が作られるのです。
そうして作られた質問を使うことで、本当に必要な答えから遠ざかるだけではなく、結果的に心で感じているものや信じているものを引き寄せることにもなるのです。
>>>『欲しいものを手に入れるための質問術(4)~質問を“感じて”みる~』へ続く