「自分の気持ちが表現できない」「わかってもらえない」「相手を受け入れられない」等、コミュニケーションがうまく取れないところから対人関係に問題が生じると言っても過言ではないくらい、良好な対人関係を築いていくのにコミュニケーションは必要不可欠なものです。
コミュニケーションがうまく取れなくなっている時、心の中はどのような様子になっているのか?という部分からその原因を探していき、また、どうすればコミュニケーション上手になっていけるのか?という部分をご紹介いたします。
問題が生じるプロセス
私達が問題を抱える時、その問題には様々な種類の問題がありますが、そのほとんどが対人関係から生じています。
そして、対人関係の問題の多くが、コミュニケーションに関する問題から生じた問題であると言えます。
要約すると、
【コミュニケーション不全 → 対人関係不全 → 問題発生】
となります。
そうすると、問題を解決していくには、対人関係を良好なものにする必要があり、そのためにはコミュニケーションがうまくなることが求められます。
要約すると、
【コミュニケーション上手 → 対人関係良好 → 問題解決】
となります。
コミュニケーション上手になることで、よりよい対人関係を築いていくことができるようになり、問題解決につながるのです。
恋愛や夫婦関係に関する問題や、職場での上司との関係に関する問題というのは、対人関係不全の状態が作り出した問題であるいうのはわかりやすいですよね。
それだけではなく、一見、対人関係とは関係ないような問題でも、実は対人関係不全の状態が隠れていることがあります。
例えば、「就職活動をしているんだけど、どんな会社を選んでいいのかわからない」といった悩みを抱えているとしますよね。
「『どんな会社を選んでいいのかわからないこと』の、どこに対人関係があるの?」と思われるかもしれません。
たしかに、表面上は他の人との関わりというのは見えませんよね。
でも、この人が自分の欲求が自分でわからなくなってしまった背景には、対人関係での問題や、傷ついた心の痛みが隠れていたりするのです。
この悩みを持っている人が、小さな頃に「あれが欲しい!」「これがしたい!」と、自分の気持ちをそのまま表現していたところ、「ワガママ言うんじゃありません!(怒)」とお母さんに怒られたとしますよね。
そうすると、その子は、大好きなお母さんに怒られたことで傷ついてしまいます。
そして、これ以上傷つかないように、「自分の気持ちをそのまま出してはいけないんだ」「ワガママを言わなければお母さんに怒られない」という思い込みを作り出し、そこから自分の欲求を抑圧するというパターンが作り出されます。
そうして自分の欲求を抑圧していくうちに、自分のしたいことが自分でわからなくなるという状態が作られてしまうのです。
その結果、「自分がどんな会社を選んでいいかわからない」という問題を抱えることとなります。
このように、一見すると対人関係とは全く関係ないように見える問題でも、「お母さんとの関係」という対人関係に関する問題が、その問題の根底に隠れているのです。
これはあくまでも一例に過ぎませんが、一見、対人関係とは関係のないような問題でも、その根底には、対人関係不全の状態から生じた痛みやパターンが原因となっていることがあります。
こうした対人関係不全の状態を作り出す要因として、コミュニケーション不足や、コミュニケーションでのすれ違いや誤解といったものが挙げられます。
コミュニケーション上手になることは、今ある対人関係でより良好な関係を築いていくのに役立つだけでなく、問題を解決していく重要なカギとなっているのです。