セックスレスの心理4(1)~自立がもたらす“男男関係”~

カウンセリングの中でもとても多いご相談テーマの一つ「セックスレス」の問題に再びフォーカスを当てます。

過去に扱った例をさらに進化させ、今回はお互いの「自立」に着目したセックスレスの論理を展開していきます。
自立した男女はお互い競争し、ライバル視、敵視してしまうようになるんです。そうすると、男女関係はまるで男男関係へと変貌してしまうのです。そうすると、パートナーはセックスの対象ではなくなってしまいます。

また、女性が自立して強くなればなるほど、男性に対して頼りなさを感じるようになっていきますから、なかなか心を許せなくもなるんですよね。
でも、そうしたセックスレスの問題から見えて来るのは、その本当の目的。何も別離を招くためにセックスレスになるのではなく、別の大きなテーマが隠されているようなのです。

以前から幾度と無く取り上げてまいりました、このテーマ。
様々な事例を通じて、また新しい傾向・見方が出てきました。

1回目はセックスレスの問題で非常によく見かける「近すぎる距離感」と「ネガティブな感情の支配」についてご紹介しました。
『21.セックスレスの心理』

2回目は「性的なものへの嫌悪感」「性がタブーになってしまう」といった感情面・心理面からの考察です。特に「セックスレスなことを除けば本当に仲がいいんです」というカップルに見られる隠れた心理を深く見つめました。
『102.セックスレスの心理2~仲はいいのになぜ?~』

そして、3回目は「セックスを本当に望んでいるんだろうか?」という“そもそも論”からの展開。セックスを「愛情表現」と捉えると、必ずしも必要ではなくなってしまう、という観点から考えてみました。
『229.セックスレスの心理3~私が本当に望んでいるものは何だろう?~』

また、『248.セックスレスの心理学~セックスレスと心の痛み~』では、心理的なブロックという観点から原がセックスレスを論じています。

他にも検索をかけてみれば非常に多くのテーマが見つかるように、セックスレスの問題は実に多く、また、深い意味を私達に投げかけてくれているようです。

そして、今回は、また違う角度からセックスレスの問題を考えていきたいと思います。

●男女関係、改め、男男関係。

「敵と寝たいですか?」と聞かれれば、スパイでもない限り、そんなことはできませんよね。
でも、「まさか自分がパートナーを“敵”として見てるなんて有り得ない・・・そりゃあ、ケンカの時には暴言吐いたりするけどさ・・・」と思うところに、意外な落とし穴があったりします。

例えば、自立した男女のカップルはお互いを尊重し、大切にしようという“与える意志”を強く持っています。
その時は、セックスに対しても、より楽しみ、与え、喜びを得られる手段であり、自分だけでなく相手を喜ばせることにも意識を向け、お互いを高めあうセックスを作ることが出来るんですね。(つまり満足度は高いわけです)

ところが「自立」という状態は、一方では“男性性”のシンボルでもあります。よって、自立が進むと、自然と考え方・価値観・行動パターンなどがいわゆる“男性的”なものに変化していくんです。

だから、男性も女性も、大人になって自立が進むと自然と男性的な価値観を獲得していくようになります。誤解を怖れずに言えば、感情的な“感じる”価値観から、理性的な“考える”価値観へと変化していきます。

それが“競争”という関係を生み出すんです。どちらが主導権を握るか?どちらが正しいか?そして、どちらが強いか?といった感覚が芽生えてくるんです。

そうすると“男女関係”は、いつしか“男男関係”のようになってしまうわけです。
とすれば、自然とパートナーに対して性欲なるものを抱かなくなるのは自然なことかもしれません。

ここではパートナーに対して「もう女(男)として見れない」といった感覚が生まれてきます。

>>>『セックスレスの心理4(2)~自立の緊張が作り出す、争い・役割・浮気の芽~』に続く

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