仕事を辞めたいけれど……

相談者名
sirorin
こんにちは。sirorinと申します。HPいつも、楽しく拝見させて頂いています。
早速ですが、私は28歳で、今メーカーで事務をしています。22歳で入社して、ずっと同じ会社で働いています。
仕事は、本当に忙しい職場で、元々、マイペースな私は、ついていくのがやっとで、ストレスも多く現在、少し不眠症気味です。
不眠症は、病院で薬を貰って、何とか寝られている状態なのですが、更にパソコンのし過ぎで、腱鞘炎も患ってしまいました。
腱鞘炎は、お医者さんにも言われるのですが、「休む事」が出来ないと、中々治らず、でも、症状も、それほど酷くないので、まだ何とか頑張れていたのですが、3月に入って、忙しさに拍車がかかって、少しずつ症状が悪くなっていき、何もしてなくても痛くなってきました。
正直、もう限界だなと感じて、会社を辞める事を考えているのですが、不況で、人がどんどん減らされていて、私が今辞めたら、会社の皆に迷惑をかけるのかも、や、忙しいのに、辞めるといって、迷惑をかけるんじゃないか…や、実は、私は元々美術が好きで、会社を辞めたら、ゆっくり休んで体を治してから、通信の美大で絵を学びたいという夢があります。
でも、そんな理由で、今突然辞めるのは、身勝手じゃないだろうか、自分の気持ちを優先させていいのだろうか、と思ったりしますが、やはり心のどこかで「今辞めないで、いつ辞めるの?いつ好きな事が出来るの?羽ばたく可能性を捨てるの?」と問いかける自分がいます。
二つの気持ちに挟まれて、身動きがとれないです。どうすればよいのか、アドバイスを頂きたいです
カウンセラー
池尾昌紀
Sirorinさん、こんにちは。
池尾昌紀と申します。
ご相談ありがとうございます。元々、大変な状況で、その上に不眠や腱鞘炎という体の不調が重なれば、誰だって嫌になりますし、苦しくて逃げ出したくなります。
なのに、それでもがんばって仕事を続けておられることは、とてもすごいことだと思います。どうか、自分自身を、まずは誉めてあげてください。

体の不調で苦しんでもおられますが、実は、目に見えないだけで、体に出るずっと以前から、心は本当に一杯一杯で、それがここにきて体にまで出てしまったのかもしれません。
こうした状況ですから、sirorinさんが書かれておられるように、「もう限界」と思われるのは自然なことだと思います。

しかしながら、それがすぐに「会社を辞める」に結びついてしまうのはどうしてなのでしょう。

sirorinさんは、会社を辞めることについて、「会社の皆に迷惑をかける」ことを書かれておられ、とても心配されておられます。
その思いは本心からのことだと思います。だからこんなに辛い状態でも仕事を続けておられるのではないでしょうか。繰り返しこの心配を表す言葉が文中に出てくるのはその証拠でしょう。文字通り身を犠牲にして尽くしておれられます。本当に優しい方だと思うのです。そうでなければ、こんなことはできません。

でも、このままの状態を我慢して、それこそ本当に倒れたり腕が動かなくなったりして、「突然」仕事に行けなくなってしまったらどうなってしまうでしょう。それこそ、本当に会社や皆に迷惑をかけることになってしまいませんか?

sirorinさんが苦しんでおられるのは、「仕事を辞めるか」それとも「自分が倒れるか」の二つの気持ちに挟まれて身動きがとれなくなっておられるように思うのです。
どちらをとっても苦しくて選ぶことができない。でも普通は、自分が倒れるほうは選ばないですよね。けれど、sirorinさんにとっては、それが究極の選択になってしまっているところが辛いところだと思うのです。

今のsirorinさんは、全く心に余裕がない状況だと思います。ですから極端な方向へ心がいってしまいがちなのも苦しんでおられる原因のひとつだと思いますが、まずは最初に書かせていただいた「自分は本当にがんばっているんだな。よくやってるね」と自分を認めてあげてください。その上で、ちょっと冷静に状況を整理して考えてみると、少しは楽に見ることができると思います。

それは、この二つの選択以外にも道はある、ということです。
例えば「仕事を休む」というものです。
これなら、仕事を辞めない、体を回復させることの両方を得ることができます。
一時は会社や仲間に迷惑をかけてしまうかもしれませんが、体が動かなくなってしまっては元も子もありません。先にも書きましたが、そのほうが迷惑をかけてしまいます。

そうは言っても、それが言えたらこんなに悩んだり苦しんだりしていないと思います。
休む、と気楽に職場に言える方ならこうした相談をお寄せくださる必要がありませんものね。

このご相談はとてもよい機会になっていると思うのです。
これをはずみに、まずは、職場で一番いい安い人からで結構です、自分が不眠で腱鞘炎で苦しんでいるということを話て相談に乗ってもらって下さい。

休むと言えない方が、それを一人でやろうとすると、とても大変で、またハードルが高くなって結局できずに終わってしまいがちです。
まずは、自分を助けてくれそうな人、応援してくれる人をみつけて、手伝ってもらうことからはじめることをお薦めします。

どうしても、今、休むことが難しいのであれば、それをもう少し先に設定してもいいと思います。ただ、自分の体のことがあります。どうかそれを念頭において大切に進めていただきたいと思います。それも含めて相談してみましょう。職場にいなければ周囲の友人、家族でも結構です。
大切なのは、「一人でやらない」ことです。
今までこれだけがんばってきたのです。
もう一人でがんばらなくてもいいのです。
そして、今ならそれができます。
こうしてご相談をお寄せくださったのですから。自分だけでは無理だと思えるようになったのです。そして、それほどご自身が追い詰められているのだと、どうかお考えください。

ところで、sirorinさんがこのように身を犠牲にして取り組んでしまうのは、仕事に限ってのことでしょうか。
もしかしたら、今までも同じようなことがあったのではありませんか?
そうだとしたら、これは、仕事の問題だけではありません。
ある意味、今の状況は仕事を辞めれば解決するでしょう。
今は仕事に表れているだけで、それが別の環境や違う種類のことで同じことが起こらないとは限りません。

sirorinさんには「自分のことは後回しにして回りの人を気にしてしまう」というパターンがあるように思います。
それが何故なのか、そのルーツは何なのか、ということを自分の心の中に聞いてみる、そしてそれが思い当たったら、それを変えてみようと思ってみる。
こうしたアプローチは今までにない自分を発見し、自分を変えていくヒントになります。

「自分を数に入れる」という言葉があります。
例えば、今、あなたはとてもお腹をすかしていて、ちょうど手元に大きなパンを持っているとしましょう。ところが、自分の周りにはお腹のすかせた子ども達が何人かいます。
そこで、あなたはその子達に自分の持っているパンを割って食べさせてあげます。自分の分は取らないで。
sirorinさんの生き方は、例えてみればこうしたことをやっているようなものなのです。
それでは、周りの人には与えらえても、自分には何も与えることができません。
このやり方ではどんなに良いことをしていても力尽きてしまいます。
そして、このやり方は一見、自分だけが苦しむように思えますが、与えられた周りの人にも苦しみを与えることになります。
パンの例えで言えば、もし子ども達にパンをあげたあと、あなたが倒れてしまったら、それを食べた子ども達はどう思うと思いますか?
きっと自分がパンを食べたせいで、あなたが倒れたと自分を責めるでしょう。

なぜ自分を数に入れない生き方をしてしまうのでしょうか。
それは、自分には価値がないという心の底に隠れている思いがあるからだ、と言われます。
だから、自分を犠牲にしても誰かのために与えてしまう生き方になってしまうのです。
それは何故なんでしょう。
あなたには幸せになる価値があります。
それだけのことをしてきているではありませんか。
自分のことは後回しにしても会社に尽くしている。先にも書きましたが、それは単なる犠牲の精神だけでやっているわけでないと思います。
それはあなたが本来、優しい方だからです。
周りの人であなたに感謝している人はたくさんいるでしょう。
もしいないと思われるなら、それはあなたが気がついていないだけかもしれません。
あなたは本来あなたが持っているその優しさを認めて受け取って、それを使っていける人なのです。そのためには今までのやり方ではなく、新しいやり方が必要なのです。

今、あなたがやらなければならないのは、こうした生き方を辞めて「自分も幸せの数に入れる」生き方をするということなのです。
お腹がすいていたら、あなたの分も含めて割って、みんなで食べればいいのです。
そうすれば、あなたもみんなもパンを食べられてみんな幸せな気持ちになれます。

こうした生き方をすることが、sirorinさんがご相談してくださったもう一つの問いである美術を学ぶという夢を叶えることにもつながります。

自分を大切にできないのに、夢を叶える道を選ぶことはできません。
「自分を数に入れる」というのは、自分を大切にできている人ができることです。

けれど、逆に言えば、自分を大切にでるようになれば、夢を叶えてもいいと自分に許可を与えることができます。

sirorinさん。
あなたは本当にがんばってきたのです。
そして、今とても苦しんでおられます。
けれど、それをやめる時がやってきたのです。

どうか、このご相談をきっかけに、本当のご自身の人生を生きる方向へ歩いていくことを選択してください。

ご相談をくださったことが、その第一歩になっているのです。

sirorinさんの幸せを心から祈っています。

ご相談ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。