恋のパターンを見てみよう(2)~傷ついた男コレクターな私~

「いつも気がつけば傷ついた男性ばかりを選んでしまっている」そんなパターンを持つ方は意外に多いようです。

今回はそんな女性性の強い女性が傷つくパターンを手放して、幸せになるためのプロセスを実例を交えてご紹介したいと思います。

恋愛する相手がいつも傷ついた男(女)ばかりで・・・という方によくお会いします。
そのことに気がついていらっしゃる方も少なくないですが、多くは今のパートナーとの関係を良くしたい、助けたい、そういう思いでカウンセリングに来られた際に気付かれることが多いんですね。

「過去のパートナーはどんな方だったんですか?」と話を伺っていくうちに、
根本:「何かとても傷ついた男の人ばかりですよね?」
お客さま:「(はっ)そう言われてみればそうですよね・・・」
という風に新たな一面を発見される場合が多いです。

今日はこんなパターンの裏側に迫ってみましょう。
女性向けに書かれていますが、男女をひっくり返しても成り立つところがほとんどですので、「いつも傷ついた女性ばかりを選んでしまう」という男性の方にもお楽しみいただけると思います。

●傷ついた男は放っておけない?

私達にはほとんど全員の方が「傷ついた人を助けたい」という気持ちを持っています。
もちろん、それは意識的なものではなく、自分では気付いていない無意識的な思いであることも少なくありません。
恋愛でも始めから傷ついている人を狙ったのならともかく、「そんなに傷を持っている人とは知らなかった」という場合が多いんですね。
でも、大好きな人が困っていたり、苦しんでいたら、何がなんでも助けたいと思うでしょう?

特に傷ついた男性を収集する(?)癖のある方は「傷ついている男を見ると放っておけずに、何とかしてあげたくなる」という母性(女性性)が非常に強い方が多いんですね。

傷ついている男性というのは、非常に自立的な生き方をするので、「付き合う彼はいつも自立男」という方は実はこのタイプに当てはまるかもしれません。
(自立はもう傷つかないように生きる方法なので、抱えている傷が大きい男性ほど、誰のことも当てにしない超自立男になるのです)

意識せずとも私達の無意識・潜在意識はちゃんとそのことを見抜いてパートナーに選ぶようです(例え相手からアタックされたとしても)。

だから、違う人と付き合ってるはずなのに、なぜかいつも同じパターン・・・ということが繰り返されるんです。

●助けたい症候群

そして、助けたい思いが強い人は、そのためには何でもしてしまうんですね。
お金や体を惜しげもなく与える場合もありますし、彼が少しでも楽になるように一生懸命話を聞いて癒そうとする人もいます。
また、友達や仕事を犠牲にしてまでも彼に尽くす場合もあります。
彼が心地よくなるように自分を殺して、ひたすら待ちの姿勢に徹する方も居ます。

自分がボロボロに傷ついていくんだけど、それでも「好きだから」という理由で彼を助けようとし続けるんですね。
本当に愛情に深い方なのがよく伺えるので、こちらとしても何とかしてあげたいよなあ・・・という気持ちに強くさせられます。(※その僕の気持ちこそが、彼女の彼への気持ちでもあるんでしょうね。助けたい気持ちの連鎖ですね。)

でも、彼も彼でひどく傷ついている分、超自立タイプです。
そう簡単には助けさせてはくれません。
むしろ、尽くす彼女に冷たい仕打ちをしたり、どれだけ与えても全然受け取ってくれなかったり。
やがては相談していた友達からも「そんな人やめなよ」って言われる始末。

でも、好きだし、助けたいからますます一生懸命何とかしようとします。
その時、心を占めるのは「助けたいのに助けられない」という強い無力感です。
この感情はほんとうに酷く自分を攻撃します。
「私は何て力不足なんだろう」
「きっと私は誰からも愛される資格なんて無いんだわ」
という思いが心を締め付けます。

そして、頑張りも虚しく別れてしまった後はひどく打ちひしがれるのですが、時期が過ぎれば、なぜかまた傷ついた男性を見つけてしまうのです。

●助けたい気持ちの裏にあるもの。

でも、実はそうして傷ついた男の人ばかりを(無意識に)選んでしまうことが補償行為であることも多いんです。

つまり、助けられなかった誰かの代わりに今の彼を助けようとしてしまうような感じです。(もちろん、無意識ですけどね)

初恋の人。初めて結婚を意識した人。
「そういえば皆傷ついていたなあ・・・」
そう辿っていくと、大抵そのルーツはお父さんに行き着きます。

例えば、愛情を全然示さず、お母さんをいじめてばかりいたお父さん。
すごく憎むこともできるんだけど、なぜか、その態度の影に痛みが見え隠れしていて。
あとでよく聞いてみれば、お父さんの子供時代はほんとうに酷くて、誰からも愛してもらえない状態だった・・・。
そうすると、子供はとても敏感ですから、そんなお父さんの痛みを見通してしまうんですね。
そして、助けたいと思ってしまったのかもしれません。
これはとても意外なように感じられるかもしれませんが、カウンセリングやセラピーを通じて実に多くの方から見つかった“愛”の姿なんです。

でも、子供が親を助けるって、本当に難しいですから、多くの場合失敗してしまいます。
そうすると、その助けられなかった無力感や罪悪感が強く芽生えるんですね。
そして、助けられなかったお父さんの代わりに、同じように傷ついた人を好きになって助けようとするのかもしれません。
それはまるで自分を罰するために酷い男性ばかりを選んでいるように見えることだってあるんです。
でも、好きになっちゃって、助けたくてしょうがなくて・・・そういう情動の裏側にはこんな心理が隠れていることもよくあるんです。

一度、あなたの付き合った過去の男性をずらっと並べてみてはいかがでしょうか?
どんな風に傷ついていたんだろう?
そして、あなたはどんな風に彼らを助けようとしてきたんだろう?
助けられずに、どれくらい自分を責めたんだろう?って。

この無力感を癒すために誰かを助けようとする事を「助けたい症候群」と言います。
意識的、無意識的に誰かを助けたい思いがとても強いのですが、実際は助けられない人ばかりを選んでしまうことも多いのです。
まるで、自分をもっと罰するために。

●癒着の問題

助けたい気持ちが強い分、すぐに相手と癒着してしまいます。
お母さんが病気の子供を放っておけなくてずっと抱いてしまうように、傷ついた彼の痛みが癒えるように心をすり寄せ癒着してしまうんです。

癒着があるとき、相手と自分の心に境目がなくなります。
いわば接着剤でお互いをくっ付けてしまったかのように区別がなくなるのです。
その時、実は密かにお互いのことを重たく感じているのですが、くっ付いてしまってるのでなかなかすぐには切れません。

酷いことをされても自分が悪いんだからと我慢する癖がついていたり、相手と自分の感情の区別がつかなくなってしまったり、一緒にいるときは良くても離れるとすごく不安になったりする場合はこの「癒着」に陥ってる場合が少なくありません。

自立的な人は感情を抑圧してますから、そういうタイプと癒着すると彼の分まで感情を感じることになるんですね。
今までよりも急に感情的になってしまった場合には、相手の感情を吸い込んでいる場合も多いんです(感情の共鳴作用)。

でも、接着剤でくっつけてまで彼を助けようとしても、今度は近すぎて助けるに助けられなくなるんですよね。
例えば、お歯医者さんがあなたの顔に異様に近付いて治療するとしたら・・・治るものも治りませんし、非常に危ないですよね。間違いなく口の中が血だらけになるはずです。

そうして、また助けられずに無力感を積み重ねることになるのです。

●このパターンを手放す(許しと癒しのプロセス)

おかげさまで様々な角度からこの問題を扱うことができます。
お父さんからも、今の彼からも、過去の男性陣との関係からも見ていくことができます。
でも、その目的は自分を責めることではなく、自分自身が幸せになることを心から許せるようになることです。
「ああ、あたしはもう幸せになってもいいんだ」
そう心から思えたときに、このパターンから卒業できます。手放せます。
もう必要以上に自分を殺したり、犠牲したり、頑張らなくてもいいんです。

そして、それは今の彼がその相手かもしれないし、その彼を卒業した後にくるパートナーが相手かもしれません。
でも、必ずあなたが幸せになれる相手がいるんです。

その、まず一つ目のプロセスは「誰かにあなた自身を助けさせる」ということ。
簡単に言えば、今の状態の中でできるだけあなた自身が楽になることです。
自分を責めたり、我慢しすぎたり、自分を隠したりしない、ということです。
感情を吐き出す場所、安心できる場所、自分が楽になれる場所を見つけましょう。
まったく逆説的なのですが、あなたは彼を助けようと頑張ってきたあまり、だいぶボロボロになってしまってませんか?(まるで彼の心の中にいる傷ついた彼のように)

彼を助けるために、自分を助けさせる・・・。
それは言わば「彼に与えたいものをまず自分が受け取る」ということです。
あなた自身が楽になり、より自由で柔らかい解放的な笑顔で彼を見つめることができたとしたら、きっと彼はさらに安らぐことができるのではないでしょうか。

それは同時にあなたが強く持っている女性性・母性を自分に許すプロセスでもあります。
あなたに傷ついた男性を癒す才能があることは間違いないでしょう。
ただ、そのやり方が癒着だったり、犠牲だったり、あまりに自分自身に過酷なものだったからうまく行かなかったのかもしれません。
言わば女神様のような、大きく、優しく、柔らかい癒し方を学ぶこともできます。
そんな強い女性性を持つことを自分に許せると、表情が自然と変わり始めます。
何でも受け入れてくれるような、そんな慈愛が溢れてくるようです。

そして、このプロセスはあなたがさらに大人の女性として成長するチャンスを与えてくれるのです。
より大人の雰囲気、セクシーさや凛とした芯の強さを受け取る準備はありますか?

こうして成長した自分、まるで生まれ変わったような自分を彼に与えることができたとしたら・・・どんな変化が訪れるでしょうか?
きっと次は彼が成長する番になることでしょう。

この記事を書いたカウンセラー

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