誰の心の中にも「欲しいものが」存在します。
パートナーの愛情、仕事、お金etc. そしてそれが中々手に入らないとき「悩み」を抱えます。心ののどこかで それを手にすることを拒む気持ちを持っているとしたら?そんな気持ちを兄弟や 姉妹の関係で作ってしまっていたとしたら、どんな風に癒せばよいのでしょう?
私達の悩みの多くは、「欲しいものが手に入らない」という事だと思います。
恋愛、お金、仕事、成功、夢などなど。
また様々な人間関係の問題でも・・・
彼に充分に愛してもらえない。
夫の愛情がこちらに向いていない。
上司に認めてもらえない。
職場や友人との親密感を感じられないなど。
何か手に入らないものがあるわけです。
カウンセリングでは、様々な角度から「欲しいものを手にすること」を、
拒んでしまったり、受け取れない心理を探り癒して行きます。
今回は、その中で兄弟や姉妹関係で出来上がった感情を探ってみましょう。
● こどもの時代に欲しかったもの
さて現在「欲しいもの」は様々ありますが、
私達が子供の頃に「欲しかったもの」って何だったのでしょう?
安心できる家庭や裕福な家など、思い浮かぶかも知れませんが、
もう少しシンプルに、「こども時代に一番欲ったもの」を想像してみてください。
小さなこどもが、食器を片付けたり、一生懸命お手伝いすること。
お着替えやトイレトレーニングなども、必死になって取り組みます。
それは、それが出来た時の両親の一言。
「上手に出来たねえ」「お兄ちゃんになったね」
こども達は、この言葉を聴きたくで一生懸命なのです。
親に認められたり、誉められたり、かまってもらえるなど、
こども時代に一番欲しかったものは、「親の愛情」なのですね。
大人になると少し忘れてるかも知れませんが(笑)
私たちにはそんな時代があったのです。
では、そんな時代の兄弟姉妹の存在とは、どのようなものだったのでしょう?
競争相手だった時代もあっただろうし、譲り合う関係のときも、
また同士のようなときもあったかも知れませんね。
そのポジション(長男、次男、末子など)や、様々な環境の中で、
きっと私達は色んなことを感じて過していたことでしょう?
そして、現在の「欲しいものが手に入らない」状況は、
そんな心の奥に隠れた「まだ癒されてない感情」が障害になっていることもあるのです。
● 兄弟姉妹に感じていたことを思い出してみよう
歳を重ねるほど、兄弟とは何か同じ環境で育った思いが増して、
つながりを強く感じたり、また逆に距離が出来たりしてしまいますが、
小さい頃は、「両親の愛情」を挟んでどんな気持ちを抱いていたのでしょう?
例えば、長男長女はそのポジションで色々感じることがありますよね。
「僕は初めての子で、両親の期待も大きい上、いつもお兄ちゃんだからと
我慢させられることも多かった。
その点妹や弟は、気ままでいいよなあ」って感じていたり。
また下の子は下の子で、
「自分は、いつもお兄ちゃんのお下がりばかりだったし、お兄ちゃん見たいに
優遇されてなかった。お兄ちゃんはたくさんたくさんの愛情をもらって
いいよなあ」なんて感じています。
どちらも相手が「羨ましい」って感じていたりする訳ですよね(笑)
この頃の感情はそのポジションや環境などで様々ですが、
お互い相手に対して、何か感じていました。
それもひとつの感情だけではないはずです。
「羨ましい」であったり「ライバル心」があったり、
また「かわいい」だったり「憧れ」の気持ちもあったでしょう。
まずは、そんな色んな感情を少し思い出して見ましょう。
あなたの兄弟に対する感情が色々思い出せたら、
今度は、その環境の中で自分が「親の愛情」を受け取る時に、
どんな気持ちが出てくるのか見てみてください。
兄弟が多かったり、兄弟の片方が自分より愛されているなんて感じていたとしたら、
「親の愛情は、奪い取らないともらえない」と言う気持ちがあるかも知れません。
また、「何かで勝たないともらえない」と感じているかも知れませんよね。
成績の良い兄や、スポーツ万能の弟。誰からも可愛がられる妹など、
私たちは様々な兄弟、姉妹を持っています。
親に愛される事に対して「あきらめ」や「遠慮」という感情を抱いている事もあります。
少し封印されているかも知れませんが、
そこにはたくさんの感情を抱いている場合があります。
● 「痛み」
ここにある女性のお話を紹介します。
彼女は若い頃に結婚したのですが、どうしても夫婦仲がうまくいかず、
何度も何度も別居を繰り返し、最後には離婚に至ります。
その後も職を転々としながらも、どこにも自分の居場所を見つけられない状態で、
カウンセリングに来られました。
「居場所がない」この気持ちは良く解りますよね。
心理学を通してみると、どこに居ても何か心の中で、
感じたくない感情を抱えてしまってる状態なのです。
お話をすすめていくと、彼女がこんな生い立ち話してくれました。
私には腹違いの姉がいるのです。
私の父は、もともと私の母と婚約をしていました。
だけどどうしても好きな人がいて、その人と結婚して生まれた子が姉なのです。
しかし、その結婚した女性(姉の実の母)が病気で亡くなってしまいます。
父はその後姉を連れて、もとの婚約者(私の実の母)と再婚するのです。
そして私が生まれその下にも兄弟が生まれます。
彼女のお母様の気持ちを想像すると少し複雑ですよね。
夫は婚約していたのに、最初に他の女性への愛を選んだわけですから。
拭いきれない寂しさや選ばれてないという気持ちも感じていたでしょう。
表現できない怒りや嫉妬という気持ちもあったに違いありません。
娘である彼女自身も、母の心の奥底にある(怒り・嫉妬・寂しさなど)を、
たくさん感じていました。そんな母の思いを解るがゆえに、
「姉にはどうしても負けられない」という気持ちや、
「でもどうしても勝てない」という気持ちも拭いきれない。
姉に対して癒しきれない感情を溜め込んで、
今ではずっと疎遠になってしまっていたようでした。
その背景を考えると、彼女(妹)には当然怒りや嫉妬があるでしょうし、
またその感情の奥には、父に甘えきれない寂しさもあって当然です。
その後、今まで直視して来なかったあらゆる感情を、
どんどんどんどん感じ、解放していく作業を続けました。
彼女はとても苦しかったと思います。
今まで感じてはいけないと必死に我慢してきたのでしょう。
そんな感情に一緒に向き合って癒して行くと、
彼女は最後にこんなことを言って泣き崩れてしまいました。
「お父さんに甘えてしまったら、お姉ちゃんに 悪い・・・」
彼女の中の色んな感情に埋もれていた根底には、
お姉さんに対する罪悪感が隠されていたのです。
彼女の母は、やはり姉より私に対して愛情を注いでしまいます。
だけど姉には、実の母も兄弟もいません。
色々感じながらも姉からお父さんを取ってはいけないと感じ、
父からの愛情を受け取れずにいたのですね。
そしてこの無意識の中にある罪悪感が、
彼女が今欲しいもの。夫の愛や周りの人からの愛を、
素直に受け取れないようにしていたのです。
誰かを傷つけてしまうような気持ちになったり、
誰かから奪い取るように感じてしまっていたのです。
● 愛がないから傷つくのではなく、愛があるから痛みを感じる
私達の感情を時間をかけて癒しいくと、結局は愛に至ります。
愛する気持ちがあるから、私達は傷つくのです。
彼女は、その自分の心の底の痛みに気付いた後、
今度は父や母、そして姉の感情を感じることを試みて行きました。
今まで彼女の心の中は、痛みの方が大き過ぎて、
周りの人の気持ちまで感じる余裕が無かったのです。
自分の痛みを癒して、今まで感じれなかった感情を受け入れたとき、
彼女のお姉さんの心の中にも、私(妹)と同じ「罪悪感」を見つけたのです。
姉は姉で、妹に全てを取られるような恐れを感じながらも、
どこかで「妹に悪い」と感じていたのですね。
それからしばらくして彼女は、疎遠になっていた姉に連絡をして見たそうです。
そしたら、お姉さんも妹と同じ様な人生の境遇を繰り返されていたという事でした。
私達のこころの奥底には、
同じ環境で育った兄弟姉妹に、たくさんの感情を持っていますが、
その根底には、相手を痛いほど思いやる愛情が隠されているのですね。
● 欲しいものを拒む気持ちとは
私達のこころの中を探検していくと、
今まで見えなかった様々なこころ模様が見えてきます。
今回は、親の愛情を求める気持ちを拒んでしまう、
兄弟や姉妹の関係で出来上がった感情を見てきましたが、
他にも様々なケースがあると思います。
私達が子供の頃、一途に親に愛される事を願うことは、
本当は誰も傷つける事でもなく、至ってシンプルで自然なことではないでしょうか?
それと同じように、今あなたが欲しいと思っているもの、
そしてそれを求める気持ちは、まったく自然なことですよね。
でももし、手に入らないとしたら、
それを拒んでいる自分の感情を見つけて癒して見るのはどうでしょうか。
「本文で紹介した女性のお話は、ご本人のご承諾を得てご紹介させて頂きました。」