職場でのストレスは身近な問題かと思います。
職場のメンタルヘルスというテー マで講演を行った内容の一部をご紹介します。職場でのメンタルヘルスケアーに ついてのヒントにお役立ていただければ幸いです。
理職向けに職場でのメンタルヘルスに関しての講演をさせていただく機会が
ありました。その時に扱わさせていただいた内容の一部を紹介させていただき
ます。
皆様の職場でお役に立てれば幸いです。
●メンタルヘルスは身近な時代に●
冒頭から暗い話なのですが、平成17年度の交通事故での死者数(24時間以内)
をご存じでしょうか?なんと、6871人もいるそうです。
これは1時間16分に1人お亡くなりになっているそうです。
とても、多いですね。
では、自殺者は年間で何人くらいいると思いますか?
なんと、32109人だそうです。(平成17年調査平成15年の死者数)交
通事故の4倍以上の数です。
とても多い数に驚きます。ここ近年は、30代、40代の働き盛りの方の自殺
が増えています。この数は人ごとではなく皆さんの知り合いにもでてくる可能
性が高くなってきていると、考えてもよいのではないでしょうか?
メンタルヘルスの問題は個人にも、企業にも身近な問題と言える時代になって
きたかと思います。
●誰もが持つ危険性●
カウンセリングサービスでは、毎日多くのカウンセリングの依頼を受け付けて
います。その件数は、年々、増加傾向にあり、今では月に2600件以上の依
頼を頂きます。
その中でも職場内のストレスに関するご相談は非常に増えてきました。
・仕事を辞めたい
・職場にいるとしんどい
・職場の人間関係がつらい
・職場にいきたくない・いけない
・頑張ろうと思うのに頑張れない
・自分一人で色々抱えてしまい、しんどい
このように色々な形でご相談を受けます。
「そんなの、誰でも大なり小なりあるんじゃないの?」
そう思われるかもしれませんね。
そうなんです!
だかこそ誰もが職場でのストレスにより、メンタル的にダメージを受けて、
健康を損なう危険性を持っていると言えるのです。
●メンタルヘルスケアに大切な雰囲気●
ある企業から、メンタルヘルスの社内整備に関するお話を聞きました。
その企業は、メンタルヘルスの整備を大切にしており、メンタル的なケアが
できるようにカウンセラーを配備しているそうです。
非常に優秀な整備の仕方をしており、職場の方達の健康を大切に思っておられ
る様子を感じました。
それでも、メンタル不全による休養をとる方がでているとのことで、
どうしたら、もっとメンタル的なケアができるのか?というご相談をうけま
した。
そこで僕から提案の一つとして、「悩みを持ってもいいんだ!相談してもいい
んだ!という雰囲気作りを大切にされてみてはいかがでしょうか?」というテ
ーマを提案させていただきました。
私たちは悩みを抱えて外に出せないと、メンタル的なしんどさを作ってしまい
ます。
職場の雰囲気から悩みを外に出してはいけないような感覚を持ってしまうと、
自分の内に抱え込んでしまい、どんどんしんどくなっていきます。
ですから、悩みを外に出してもいいんだ(誰かに相談してもいいんだ)と思える
雰囲気を作ることは、内に抱えない為の大きなサポートになります。
カウンセラーを導入したとしても、利用されなければ効果はでません。
もっと利用率を上げる為にも雰囲気作りは重要になりますというお話をさせて
いただきました。
●感情を禁止する傾向●
雰囲気作りが大切な訳を少し順を追って説明をせさていただきますね。
私たち社会人は一般的に感情的になるというのを禁止します。
職場で感情的になることは、特に禁止していることの一つです。
職場で感情的になりにくいと思いませんか?
職場で感情的になることを想像してもらえないでしょうか?
「あいつ、また感情的になっている・・・困ったやつだなぁ」
「未熟だなー」
「すぐに感情的になる・・・」
そんな目で見られないかなぁ?そんなことを言われないかなぁ?
そんな恐れがでてこないでしょうか?
私たちは、そんな目ではなるべく見られたくないものですし、そんなこと言わ
れるのも怖いことです。
ですから、私たち社会人は感情を外に出すことにブレーキをかけます。
●感情が本来進む方向にエネルギーを向けてあげることが心のケアになる●
嬉しい、腹が立つ!、悲しい、楽しい
私たちの感情は外に向かうエネルギーとしてわき出します。
しかし、前述のように、本来外に向かうエネルギーである感情にブレーキをかけ、
感情を出すことを禁止するわけです。
感情が本来進む方向に、ブレーキ(付加)をかけて、感情というエネルギーが本
来向かうであろう方向に、コントロールをかけて内に向けていきます。
感情を抑圧するわけです。
この感情の抑圧がストレスになります。
つまり、大なり小なり、誰もがストレスを抱えているのです。
感情が素直に進む方向をコントロールして感情を抑圧することがストレスになる
わけですから、ストレスのケアをしていくには、逆にコントロールを解いて、
感情が本来進む方向にエネルギーが流れるように、解放してあげることが大切に
なります。
誰かに自分の気持ちを表現すると言うことは、内に向けたエネルギーを、
外にだしてあげるわけですので、感情の解放になり、心は楽になっていくのです。
●雰囲気作りのリーダーシップをしよう●
悩みを持ってもいいんだ、相談しても大丈夫なんだ、感情を外にだしてもいい
んだという雰囲気を作ってあげることで、抑圧した感情を解放しやすくなります。
感情を外に出してもいいんだと思う、(感情を解放する許可をだす)サポートを
してあげられるのです。
昔、僕がある高校の生徒達のカウンセリングをする為に、高校の保健室に8ヶ月
ほど毎日通っていた時期があります。
その時の利用件数は8ヶ月で、たった5件ほどだったように思います。
一ヶ月に一件も、利用されていないのです。
それは保健室という環境が、生徒とカウンセラーだけの環境でなかったことも
あり、自分が相談した声が他の人に聞こえることはないにしろ、友人や、他の
先生の目が気になる環境だったということが原因の一つと思います。
理由は、先ほど述べたのと同じ、私たちは、感情的になることを禁止している
ので悩み持っているということを人に知られるのが気になるのです。
いかに、雰囲気作りが大切なものかということを、その時はひしひし感じまし
た。
誰かがリーダーシップをとって「悩みがあったら、私に一言かけてよ」と気軽
に言ってあげる一言が、その雰囲気を作っていくのではないでしょうか?
その一言が誰かを救うこともあると思います。
(講演は管理職向けの講演でしたので、上司が率先して雰囲気作りをしてくだ
さいと話をさせていただきました。しかし上司でなくてもいいのです。雰囲気
作りが大切ということを知っている誰かが、リーダシップを取る勇気をもつこと
が職場を変えていくのだと思います)
誰かがリーダシップをとり雰囲気作りをしようとしたことが、周りに浸透して
いき職場全体で雰囲気を作るように意識していけると、職場のメンタル面での
環境は楽になりそうですね。