我慢はしない方が分かっていてもついつい何かに我慢している私達。
それが関係性に及ぼす影響の大きさも改めて見つめなおしてみましょう。
多くのトラブルは「我慢」という感情の抑圧が作ります。
カウンセリングでもお話を聞きながら「たくさん我慢しているでしょう?」と感じることは少なくないものです。
我慢は感情を心の中に溜め込むとマグマ化してしまいます。
それが大爆発(大喧嘩)に繋がるわけです。
我慢をしても関係を維持することで精一杯。
悪化させることはあっても良化させることはありません。
でも、多くの関係性では特に依存側に立たされると、言いたいことが言えない、したいことができないなどの我慢が増えていきます。
また、ケンカしたくない、相手の気分を害したくない、今の関係を壊したくない、という怖れが出てくれば出てくるほど、やはり我慢するほか無いように感じてしまうでしょう。
しかし、本来は相手の気持ちを気遣いながら言いたいことを伝え、行動できる関係が理想だと思いませんか?
「我慢は良くない」って頭では分かっていてもなかなか実行するのが難しいものですが、そうした関係を築くために自分を見つめ直すミニワーク形式でお届けしたいと思います。
●我慢がもたらすもの
まずは、我慢が関係性にもたらすものを見つめてみましょう。
特に自立的な方(男性に多いです)は感情をお座なりにしてしまい勝ちですから要注意ですね。
知らないうちに感情を溜め込んでしまいます。
でも、我慢して感じないようにしていても無くなったわけではありません。
心の内を見たら嫌な感情に触れてしまいますから、そこから目を逸らすように(感じないように)意識を外に向けることになります。
こうした態度はパートナー側から見ると「逃げてる」ように見えたり、「向き合ってくれない」ように見えたりするわけです。
だから、もしあなたのパートナーに対してそういう風に感じたとしたら、相手は何かを我慢している状況だと思ってみてはいかがでしょう?
(「あたしだって我慢してるわい!」と怒る前にね)
そんな我慢が積み重なると、浮気、風俗などの異性関係や、ハードワーク、ギャンブルといった依存性の強いものに逃げてしまうことになります。
一方、女性は社会的風潮もあって我慢こそ善徳と捉えてしまうことが少なくありません。
それは自分を殺し、自己犠牲することになってしまうんですね。
一定の我慢は忍耐として必要なものでも、過剰になれば、自分自身も関係性をも崩してしまいます。
夫婦関係では、経済的にご主人に依存する立場になると、自分がしている家事やパートをさておいて、ご主人に気を使い、発言権を放棄してしまうこともありますね。
逆に男性はそれを逆手にとって女性をコントロールしようとすることもあります。
自分が我慢している感情に目を向けるのは勇気が要ることですが、自分がまずは何に我慢しているのかを改めて見つめてみると良いでしょう。
「分かってる」と思っていても、改めて見つめなおすと新しい発見が出てくるものです。
●感情との付き合い方を学ぶ
そして、我慢している感情との付き合い方を学ぶことがとても大切にです。
もし、今幸せではないとしたら、あなたは何かを我慢していると思っていいくらいです。
私達はよく我慢しているものを感情に乗せて誰か、何かにぶつけてしまうことが良くあります。
ケンカはその代表的なものですが、そこでも吐き出せないとモノに当たったり、虐待やいじめなどの抵抗できない相手を攻撃する形で処理しようとします。
でも、それは同時に自分自身をも傷つける行為です。
我慢しているものを吐き出すと一時的にすっきりしますが、我慢してしまう仕組みが理解できないと、やがては再び溜め込んで爆発せざるを得なくなってしまうんですね。
まずはそんな心の仕組みを理解するために次の質問に一つ一つ答えてみてください。
我慢するくらいですから、あなたにとっては決して“良い”感情ではないはずです。
そして、我慢しなければならない理由がきっとあなたの考え方や感じ方の中にあるはずです。
◎どうして私は我慢してしまうんだろう?
◎どうして俺はついつい目を逸らしてしまうんだろう?
◎もし我慢しなかったとしたらどうなるんだろう?
◎いつ頃から我慢する“癖”がついてしまったんだろう?
◎そのきっかけがあるとしたら誰との関係性にあるんだろう?
こうした「なぜ?」という見方は私達の心を見つめる上での一歩目になります。
答えがすぐに出てこなくても構いません。
むしろ、そうした見方を取り入れてみることこそが目的なので、答えを出すことを目的にしない方が良いくらいです。
原因やきっかけは一つに限らないですし、心は何層にも感情が積み重なりますから、答えを出してしまうのは難しいものです。
●解決方法を見つける前に
こうした自分自身を振り返ってみることは、このメルマガやホームページをよくご覧下さってる方には当たり前すぎるように感じられるかもしれません。
「それは分かってるから、次はどうしたらいいの?」
と思われる方も少なくないでしょう。
でも、敢えてそのことに言及させていただいたのは「自分が我慢してる」という自覚をより強く持っていただきたいためです。
先ほども少し触れましたが、我慢するのはネガティブな感情が絡んでいることが多いわけです。
だから、そこに向き合うこと自体がとても苦痛を伴うケースが多いんですね。
カウンセリングでお会いする方に「我慢してきましたよね?」と伝えるだけで、じわーっと目頭が熱くなる方も少なくありません。
はっきりと自覚しているつもりでも、改めてそこを見つめてみることで、新たな気付きや発見が多くやってきます。
「もう我慢しない関係を創るぞ!」という強い意欲も、その苦しみを知っている上でこそ強くなります。
いわば、自分を変えるモチベーション作りのようなものですね。
そうして自分が我慢していることを知ること、感じることが、感情との付き合い方を学ぶことになるんです。
次回はこの「我慢」を生み出すルーツについて、様々なケースをご紹介したいと思います。