心が緊張する時

何か大切な場面を迎えると緊張してしまう私達の心。

その「緊張」の心理に迫ります。

例えば、人前で何かを発表するとき、
例えば、大好きな人に告白するとき、
例えば、大事な取引先相手にプレゼンをするとき、
例えば、大切な試験に臨むとき、
僕達は心臓がどきどき、呼吸が苦しくなって、時には頭が真っ白になってしまうようです。

僕達はそんな経験をするのが嫌ですから、その状況から逃れるために色んな手を使います。
人前で発表するときはできるだけ早く終わらせようと早口になってしまったり、そのような機会ができるだけ回ってこないように気を配ったり。
もちろん、逆に予め入念に原稿を準備して準備万端整える方もいらっしゃるでしょう。

恋愛でも同じで、好きな人の気持ちを知りたいために焦ってしまったり、また、振られることを恐れて恋愛そのものに没頭するのを避けてしまうことだってあるでしょう。

●緊張の影にあるもの~恐れと不安~

緊張感は僕達を引き締め、結果としてより良い結果を招いてくれるものですし、魅力をアップする効果もあるんですね。
でも、時に僕達は過剰に緊張してしまい、自分を見失ってしまうことがあります。
そんな僕達が緊張したり、焦ってしまう背景には、強い恐れと不安の感情があるものです。
「恐れ」+「不安」=「緊張」と言ってしまってもいいかもしれませんね。
もちろん、それは自信の無さが作り出すものでもあります。

例えば「人と話すときに酷く緊張してしまうんです」というご相談もよく頂くのですが、皆さんはそんな自分が嫌いになってしまいますよね。
そして当たり前のように自分を攻撃しています。

でも、僕から見れば、それにもきっと何らかの仕方のない要素があるんじゃないかな?と思うんです。

例えば、彼と話しをしているときに「お前、つまんねーな」といわれてあなたが傷ついてしまったとします。
そうすると、次から彼と話をするときはどうなってしまうでしょう?

きっと怖くなってしまいますよね。
「何を話したらいいんだろう?」
「どう話しをしたらいいんだろう?」
っていっぱい考えてしまうかもしれません。

また「つまんねーなー」と言われて傷つくのが怖くて、それが大切な人であればあるほど嫌われるのも怖いから、慎重に慎重に言葉を選んでしまいます。
そして、徐々に彼と話しをするときに緊張してしまうことになりますし、楽しむよりも嫌われないように嫌われないように気を使うことにエネルギーを費やしてしまうでしょう。

そうして、繊細に言葉を選ぶときってどんな気持ちでしょう?
緊張したり、不安があったり、かなり疲れてしまうと思うんですね。
そして、そんなときって彼に「お前、面白いよなあ」とか「お前、楽しい奴だな」とか言われることってあんまりないものです。
だって、緊張してるし、繊細になってしまってるからね。
むしろ、またも「つまんねー」とか言われたり、そうは言わなくても彼のちょっと冷たい態度を見て「あ、やっぱりつまんないって思ってる」とか感じてしまうようになります。
そして、あなたの心には「私はつまんない女なんだ」という観念がしっかりと根付くようになってしまうわけです。

そうすると、人と話をするときには、いつも「つまんない」と言われるんじゃないかという恐れを抱き、その分だけ緊張し、そして、そんな自分に嫌気が差してしまいます。
それが繰り返されると疲労感を感じるようになり、やがては『私は人嫌い、人とうまくやっていけないんだ、ダメな女なんだ』と思い込んで、自分を閉ざしてしまうかもしれません。

でも、これ、あなたが特別だから、そんな目に遭うんでしょうか???
いやいや、そうではないでしょう。
大好きな彼に「つまんない」って言われたら、多くの人は傷ついてしまいます。
そして、やはりあなたと同じ流れを辿って人と話しをするときに緊張するようになるでしょう。
ここでは微妙な違いこそあれ、誰でも同じなのかもしれません。

●一歩前へ。

ですから、そこで自分を責めてしまうよりも、まずは緊張している自分、不安に思っている自分をもう少し知ってみることがお勧めです。
まずは「いったい私は何を恐れているんだろう?」と心の中に入ってみるのはいかがでしょうか。

・嫌われてしまうのが怖い。
・笑われるのが怖い。
・バカにされるのが怖い。
・うまく話せるか自信がない。
・何を話せばいいのかが分からない。
・相手にされる自信がない。
・相手を退屈させてしまうかもしれない。

色々な理由が湧き上がってくるかも知れません。

さらにもう一歩進んでみて、どうしてそう思ってしまうのかを思い巡らせてみましょう。

・昔付き合った彼が自立的で、厳しくて、何を言っても否定されてた。
・両親が厳しくて、私のことをいつも否定していた。
・中学生の頃、仲良かった友達にある日突然嫌われてしまったことがあって。
・発表している人が間違ったことを言うと、クラスみんなで茶化して笑ったから、私もそんな風になるんじゃないか?って思ってしまう。
・私と話していても、あまり楽しそうな顔をしている人って少ないから、面白くないんだろうな、と申し訳ない気持ちになってしまう。
・何かを話そうとしてもぜんぜん言葉にならなくて・・・。

何か、辛い経験や感情が沸きあがってくるみたいですね。
そして、そこでは傷ついてしまった自分に出会えるのかもしれません。

でも、ここで大人な僕達はこんな風に自分を責めてしまいます。
「そんなこと言ったって、もう大人なんだし、きちんと話しが出来ないのはおかしい」と。
「そのくらいの経験なんて、誰でもしてるじゃないか」と。
そうするとますます自分にプレッシャーをかけてしまうようになりますし、無理をしたり、強がったりしてしまうことになります。
また、逆にその自分を否定すればするほど自意識過剰気味になって、防衛的に人を攻撃してしまうことだって少なくないでしょう。

そして、その分だけ問題は先送りされ、やはり緊張したり、不安になってしまうことを繰り返してしまうのかもしれません。

●繋がりの中で。

こうして自分の心と向き合って行くことが、実は自分を変えて行く、より良い自分になっていくための基本路線だったりします。
心の中を見つめはじめると、なぜかほっとしたり、安心感が沸いてくることがあります。
それが僕達が自分の心との繋がりを感じている証拠にもなります。

こうして自分との繋がりを感じていると、一人ではないような気持ちになったり、余裕を感じることができるようになっていくものです。
相談コーナーの僕の回答などをお読みいただけたら分かるかと思うんですが、どんな場面でも、自分自身のありのままの感情に向き合うことを再優先して提案するようにしています。
それを出発点として、問題解決に向かって行くのが最も安全で確実な方法だと思うからなんです。

緊張したり、不安になってしまう理由の裏には、何らかの心の痛みがあるのかもしれません。
それにまずは気付いてあげることが大切です。
そして、それをただ感じているだけでも、不思議と痛みは解放されていきますし、自分なりに文章に表してみてもいいでしょう。
それですっと心が軽くなる経験ができる場合もありますね。

そして、出来れば・・・、そんな自分を誰かに話してみてください。
そして、その話を聴いてもらってみて下さい。
ただ、うんうんって頷いて聴いてもらうだけで、どれくらい心がほっとするかも体験していただきたいですね。
もし、そんな人は思いつかないな・・・、勇気が出ないな・・・、という場合は、僕達を使ってみてください。

そうして心が軽くなり、余裕が出来た分、きちんと人と向き合えるようになり、緊張や不安は取り除かれて行きます。

うまく話せないな・・・と感じたとき、まずは自分の心を見てあげてください。
緊張してるな・・・と感じたとき、心の中を覗き込んで見ましょう。
怖がっているのかもしれないし、自信を失ってしまっているのかもしれません。
そのことに気付けた分だけ、あなたには余裕が戻っていますから、地に足を付けて目の前のことに取り組めるようになっているでしょう。

心を大切にしようと思うこと。
それがいつも自分でいられる秘訣になり、そして、緊張感を楽しめる自分を作ってくれることになるでしょう。

この記事を書いたカウンセラー

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