怒りが爆発して収まらない時。
そんな時はどんな心理になっていて、それをどう収めていったらいいのでしょうか。
まずは、怒っている自分を許してあげること。怒りには必ず怒るだけの理由があります。
そして、その理由を見つけていくこと。
さらに、本当に怒っているのは相手ではなく、自分であること。つまり自己攻撃していることに気づくこと。
自分を責めることをやめるというアプローチが相手への怒りを収めていきます。
第二回は、さらに具体的な事例から、怒りの心理について見ていきます。
例えば、こんなご相談。
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結婚して15年。子どもも大きくなり手がかからなくなった。
夫とは、まあまあ、うまくやっていると思う。
最近、急に、実家への怒りが出てきて、それが収まらない。
今までずっと優等生タイプで、実家の父母にも文句を言ってこなかった。
逆に、結婚した後も、実家の心配やら世話を焼いていたくらい。
でも、昔のことが思い出されて、しょうがない。
父母は共働きで忙しく、母が帰宅するまでは、結構小さい時から私が家事を手伝ってきた。
大きくなってからは、私が家事をメインでやっていたくらい。
当時は当たり前と思っていたし、喜んでもらえることが嬉しかったと思っていたけれど、
今になって、私ばかりが苦労させられた、犠牲させられたという思いが噴き出してきて、
怒りが止まらない。
ついには、それを直接、実家の父母にぶつけてしまうようになってしまった。
父母は二人とも定年をむかえていて、年老いて弱っていて、謝るばかり。
こんな風に怒る自分に本当に嫌気がさす。
なんとか怒りを収める方法はないだろうか。
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このケースは、私の創作ですが、事例を元に具体的に怒りの心理を見ていきたいと思います。
まずは、怒りの原因が何かに思いをはせてみます。
誰も好きこのんで「怒る」わけではないのです。
必ず「怒る」理由があるのです。
ですから、まずは「怒っている自分」を許してあげよう、認めてあげよう、と思ってみるところから始めていきます。
次に、どうして怒っているのかの理由を探していきます。
優等生でしたから、我慢することがいいこと、と思っていたので、寂しい思いや、がんばっている思いをわかってほしかったけれど、それを言えなかった思いが残っています。
怒りには、隠された思いがあると言われます。
それは、「わかってほしい」「助けてほしい」「愛してほしい」という思い。
この三つを言えないまま、満たされないまま、ここまで来てしまった。
だから、今、ようやくそれを両親に伝えることができた、わけです。
頭では、両親も仕方がなかったとわかっているかもしれない。
でも、それを直接伝えたい、その思いが噴き出しているんですね。
まずは、このことを理解して、小さい頃からがんばってきたんだから、そうした思いが心の中に残っているのも無理はないよ、と自分自身に言ってあげます。
そして、一番の苦しみは、両親に怒っていることではなく、「怒っている自分を責めていること」に気づくこと。
「自己攻撃」しているんですね。
一番怒っているのは自分に対して。
「こんな自分なんてダメだ」と思い、自分への怒りを感じて、それをどうすることもできず、その怒りの矛先を両親に向けていることに気づくことなんです。
そして「そんな風に自分を責める必要はないよ」と何度も自分自身に言い聞かせてあげます。
「私は悪くない」「私のせいじゃない」「怒るのには理由がある」「そりゃ怒っても仕方ないよね」
などの言葉を自分自身に繰り返し伝えてあげます。
中には、こうしたことを自分に言うことに強い抵抗を感じられる方もいます。
それは「自分は悪くない」と自分に言うことで「わがまま」「自己中心的」になってしまうのではないか、という思いが強く出てくるからです。
こう思われる方、本当に多いんですね。
でも、それこそが優しい心を持っている証拠、自分に厳しすぎる証拠。
そうでなければ、こうした悩みは持ちませんから。
ですから、例えば3ヶ月だけやってみる、などの期間限定で思ってみることをお話ししていきます。
ところで、この4回シリーズのテーマは「夫婦における怒りの心理学」です。
でも、今回のテーマは両親への怒り、でしたよね。
このお話の核心は次回に続きます。実は、両親への怒りの後ろには夫婦問題が隠れていたのです。
>>>「夫婦における怒りの心理学(3)~本当に怒っていることは他にある~」に続く