緊張で涙が止まりません

相談者名
ともえ
はじめまして、看護学生3年生のともえと申します。
現在私は自習で強いストレスを感じ自殺を考え、休学中です。

バイトを週4回で入れているのですがそのバイトでも自習中と同じように
毎日家に帰っては泣いて、叫びだしたいほどの緊張と恐怖に駆られています。

家に帰ると今日した失敗を考えて涙したり、明日までには今日教えてもらったことをできるようにならなければと家で学習するなど自分の時間が消えている状態です。

そこで相談なのですが、バイトや実習に対する強い恐怖感と緊張、
涙を和らげるためには何をしたらよいでしょうか。

カウンセラー
三島桃子
ともえさん、はじめまして。今回担当させていただく三島桃子と申します。どうぞよ
ろしくお願いいたします。

ご相談の文中で「自習」となっているのは、「実習」のことかと思いますので、そう
理解してお話を進めさせていただきますね。

今、とてもつらい状況ですね。ともえさんにとって本当に役に立つアドバイスをでき
れば、と心から思います。

看護学校の実習に関しては自殺を考えるほどのストレスがあるのですね。そこまでの
ストレスがあるのであれば、休学されているというのはベストの選択かと思います。

また、アルバイトでも看護学校の実習と同じようなストレスを感じているようです。

看護学校の実習にしても、アルバイトにしても、「今まで知ってきたことの実践」と
いう点では共通点が多いかと思います。その「実践」の部分で、ともえさんにとって
は何か心理的なハードルがあるのかもしれませんね。

ともえさんは、高校までの勉強や、看護学校でも授業を受けペーパーテストで点をと
る、ということで言えば、そこそこやってきたのでないでしょうか。ともえさんより
も苦労していたお友だちはいくらでもいたのではないかと思います。

ところが、実習やアルバイトというような「実践」の場面になると、授業では苦労し
ていたクラスメイトたちの方が的確に動き、それなりにやれている、という感じかも
しれませんね。

ともえさんにとって、「知識を頭で吸収する」ということはOKなのに、「実践」の
場でこれほど苦労するとしたら、そこにはどんな心理的ハードルがあるのでしょう
か?

それは一言で言えば、「対人関係」という部分でのハードルではないかと思います。
では、対人関係のどういうところでうまくいかないのでしょうか?

対人関係でうまくいかないといえば、表面的には会話がスムーズにいかないとか、冗
談を言い合ったりできないとか、何か周りの人たちとうまくやれない感じ、ですよ
ね。けれども、この表面的な事柄の奥に隠れている心理を見ていかないと、なかなか
解決には結びつきません。

奥に隠れている心理、とは?

それは多くの場合、「自分を責める気持ち」です。ほんの少しのことで、自分を責め
てしまう心のクセのようなものです。

バイト先に着く。挨拶をする。「あっ、なんか今挨拶のタイミング悪かったかも、
私ってダメだ」

何かちょっとミスをする。「あっ、またやった、私ってダメだ」

私はダメ、ダメ、ダメ…これが積み重なってくると、ものすごい重圧になってきて、
心が苦しくて余裕がなくなり、よけいにミスが増えたり、人と落ち着いた会話ができ
なくなってきます。普通を装っていても、心の中はパニック状態です。パニック状態
で対人関係がうまくいくはずがありませんよね。

さらに、この「自分を責める気持ち」の元になっている心理があります。それは、
「私なんか大した人間ではない、私には価値なんかない」という気持ちです。これを
「無価値感」と言います。

この「無価値感」は、ものすごい威力を持っているんですよ。「こんな価値ゼロの私
は人間失格、いない方がいい、死ぬべきだ」というところまで人を追い詰める力を
持っているのです。

でも「私に価値がない」というのは本当のことではありません。本当のことのように
感じると思いますが、心のワナにはまっているだけです。心理の落とし穴に落ちてし
まい、周りが真っ暗闇で、それがすべてだと思い込んでいる状況です。穴から出るこ
とができたら、思ってもいなかった「本当のこと」が見えるようになります。

とはいえ、ワナにはまっている今の状態で、どうしていけばいいでしょう。

少し整理しますね。

何かの事情で「無価値感」を持つようになる(自分でも気付かないことが多い)

学校の授業や、人との付き合いでも聞き手にまわったり相手に合わせるなど「受け
身」でいると、「無価値感」はあまり刺激されないので、学校時代は何となく過ぎて
いくが、社会に出る段階になってきて「実践」の場に押し出されると、「受け身」で
はいられなくなる。「自分で考えて自分で動く」という実践の場では、自分のやるこ
となすこと「ダメな(価値のない)私のやることなんか全部ダメ」のように感じてし
まうし、実際にミスすると「私は最悪だ」と感じ、激しく自分を責める。

自分へのダメ出しが絶え間なく、しかも24時間続くような感じ。同時に、自分が自
分をひどく責めて嫌っていると、周りからも同じように責められ、嫌われているよう
な感覚になってくる。これはとてもつらい状況で、こうなると誰でもひどく緊張する
し、恐怖も感じる。涙も出る。

このようなことがともえさんの心の中で起こっているのではないかと思います。

では、この状況を改善していくためにはどんなことができるのでしょうか?

まず「他のみんなができていることができない自分がダメ」ということではないこと
を理解していただけたらと思います。いろいろな事情の中で、おそらくは幼少期に
持ってしまったであろう「無価値感」が根っこにあり、その結果が今の状況だと思い
ます。

ともえさんのせいではないし、他の誰かのせいでもなく、ただ、そういう心理的なワ
ナにはまって当然だといえる事情が過去にあったのです。

ですから、この「無価値感」を解消するということが、とても大切なことになりま
す。方法はいろいろあると思いますが、カウンセリングを受けることは有効な手段だ
と思います。

また、心療内科を受診することも役に立つかもしれません。

心療内科では、ここでお伝えした「無価値感」というような話は出ないかもしれませ
ん。「ストレス性の○○」など、症状に対しての医療的な呼び名を教えてくれる可能
性が高いですね。医師の診断を受けると、親御さんにも理解してもらいやすいのでは
ないかと思います。

心療内科も医師によって様々ですので、何か所か受診してご自分に合うところを見つ
けることが大切だと思います。ホームページのある病院もありますし、インターネッ
トの口コミなども活用してみるという手もあります。ただし、口コミはあくまで口コ
ミで、実際に行ってみないとわからないことも多いです。

今のともえさんの追い詰められている気持ちを思うと、本当を言えば、一旦アルバイ
トをやめて、ゆっくり休養できればと思いますが、それはそれで「バイトもできない
私」と自分を責めてしまうだろうな、それもつらいだろうな、と思ったりもします。

ともえさんの心が本当にラクになるのには少し時間がかかるかもしれませんが、ご自
分の気持ちと向かい合う作業を焦らずにコツコツやっていくと、光は少しずつ見えて
きますよ。心から応援していますね!

ご相談ありがとうございました。

三島桃子

 

この記事を書いたカウンセラー

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