仕事がうまくいかない

 

相談者名
はるはる
 自分の希望ものに近い職種に転職し、仕事をしているのですが、なかなか思うように頑張れず、とても気持ちがとても不安定です。
私は1年前に再就職し、今の職場についているのですが、専門的な分野ということもあり、ついていけていません。周りには年下で仕事のできる人たちがいて、自分のできなさに自信をなくしてしまいました。頑張ろうとするのですが、空回りしています。

また、まわりの人に自分の噂なり悪口を言われていたり、できないことを攻められて笑われているような気がして、仕事に集中できないこともあります。

精神的にいつも追い詰められて、職を転々としてきたという経緯もあり、また年齢を考えると、この職場で頑張らねばという気持ちもあります。

つい、すみませんという言葉を口にしています。褒められたとしても素直に受け取られず、逆に悪く言われたほうがほっとしてしまします。

自分のこうありたいという気持ちと、自分はだめだという気持ちが強く、とても辛くなります。なかなか心のバランスがとれません。

カウンセラー
大谷常緑
はるはるさん、こんにちは。
ご相談を担当させていただく大谷です。
よろしくお願いします。ご相談を拝見して、はるはるさんのとっても辛い、不安な気持ちを感じました。
この状況、早く抜け出せるといいですね。

さて、はるはるさんが抱えておられる問題は、自分がこうありたいと思い、そう
でない自分を責めることが基本にあるのではないかと思います。
こんな自分になりたい、自分はこうありたいと思うのは決して悪い事ではありま
せん。何が問題かというと、出来ていない私を責めている事なのですね。

自分が自分を責めているから、”また、まわりの人に自分の噂なり悪口を言われ
ていたり、できないことを攻められて笑われているような気がして”という感じ
にもなってしまいます。
これは、投影と呼ばれる心の働きなのですが、自分が感じている事を周りの人も
そう思っているのではないか、というものです。
例えば、自分が太っている事を気にしてそれを責めているとしたら、周りの人も
自分の事を「太っている」と思っているに違いないと思い、いつかそれを言われ
るのではないかとびくびくして生きていく事になります。
この投影の話は、このホームページの心理学講座にも詳しく解説されていますの
で、「投影」をキーワードとして検索してみてください。

さて、話を元に戻しましょう。
では、はるはるさんは、もし、私が思うような私でなかったとしたら、どんな事
が起こると考えておられるのでしょうか?
誰かから怒られると感じているのでしょうか?
私の存在価値が証明できないと感じておられるのでしょうか?
誰も相手にしてくれないと感じておられるのでしょうか?
いずれにしても、そのベースは「怖い」という感覚なのですね。
そうなってしまったら○○になる、その○○になる事がとても怖いのです。
だから、そうならないように必死で頑張っておられるし、もっと頑張らなきゃと
自分を鞭打っている感じですね。
まるで、崖から落ちないように崖っぷちで必死に足を踏ん張っている感じです。
これって、本当に怖いし辛いですよね。

でも、はるはるさんが怖れている事は、本当に起こる事なのでしょうか?
怖れや不安を抱いているときに、人はなかなか冷静になれなくて「だってそうな
る」と思いがちになり、そして結果的にそうなるように状況を作ってしまうので
す。

ここで逆説的なのですがそのような状況を作ってしまう例をお話しします。
目の前に、綺麗な花瓶があったとします。
誰かから
「これ、10m先の花瓶台の上に置いてきて」
と頼まれたとします。
別にどうということなく、運ぶ事が出来ますね。
しかし、同じシュチュエーションで
「これ、1000万円する花瓶。10m先の花瓶台に置いてきて」
と頼まれたとします。
さて、先ほどと同じように運ぶ事が出来るでしょうか?
運ぼうと思うと「落としたらあかん」「落としたらあかん」という囁き声が聞こ
え、花瓶を持った瞬間に手は震え、足はガタガタ。
「落としたらあかん」と思う度合いだけ手がますます震えだし、やがて、ガシャ
ーンと花瓶を落としてしまう状態になってしまいますね。
花瓶を運ぶという状況は同じでも、「落としたらあかん」と思う度合いだけ、結
果的に落としてしまうという事になります。
そこには、落とすであろう自分を信じている気持ちが働いています。
良きにつけ、悪しきにつけ、状況は自分が信頼を置いた方向に動くのです。

では、このような状況からどうしたら抜け出せるのかというと、
先ず第1には、失敗を怖れない事です。
人は失敗して経験を積んで初めてうまく何かを成し遂げる事が出来ます。
はるはるさんも、生まれたときから上手くは歩けなかったはずですね。転んでは
立ち上がり、転んでは立ち上がりして、失敗を通して歩き方を学んできたはずで
す。
だから、失敗、即ちご自分の出来無さ加減を責めない事です。
失敗は成功の元と言いますが、上手くできるようになるためのプロセスなのだな
ぁと捉え、自分を責める事を止める事ですね。
自分を責めてもそこから何も生まれません。

第2番目は、ご自身がご自分の価値を受け取る事です。
人間誰しも60~70点は取れているのですが、100点を取れないと駄目だと
思い込み、取れていない点数、例えば30点とか、40点の方に目を向けがちに
なります。
そうすると、出来ていない部分のみがクローズアップされて、自分は駄目だと思
い込み、私には価値がないと思ってしまいます。でも、100点って永遠に取れ
ないのですね。だから、いつも私は駄目だと思ってしまいます。
今私ができている所、今私が持っている良い所を見つめる事によって、自信が持
てるようになり、ひいては自分を責めていたエネルギーをよりよい自分になるた
めに向ける事が出来るようになります。
この練習として、自分の良いところを少なくとも20個書いてください。
どんな所でもOKです。
例えば、誠実である、熱心である、思慮深いなどでもいいですし、髪が綺麗、体
力があるといった事でも構いません。案外、自分では当たり前の感覚となってい
る部分が、自分では当たり前故にいいところと気付かない場合も多いですから、
そんなところもチェックしてくださいね。
次に、これを毎日鏡に向かって自分の目を見ながら、声に出して言ってください。
声に出すのがポイントです。
これを暫く続けると、少しずつかもしれませんが、自信がついてきます。

以上、回答がお役に立てば幸甚です。
ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。