悪意により起こされた出来事の後遺症(薬の副作用)

 

相談者名
夢中人
5年前に製薬会社を定年退職した65歳の男性です。

25年ほど前に、悪意により起こされた出来事の後遺症(薬の副作用)で難聴になってしまい、今も苦しんでおります。
当時、風邪引き後の耳管閉塞症が改善せず、うっとおしい思いに悩まされていました。

そのような状態の私へ、「私が担当している○○中央病院の××先生はこのような症例では有名な医者だから1度相談してみたら?」と親切ごかしのアドバイスをしてきたのが同僚のTでした。
それが悪魔の囁きだともしらず、そのアドバイスに乗ってしまったのが運のつきでした。

Tとその医者の間で、すでに私を陥れるための筋書きが出来上がっていたのだということをを知ったのは、副作用の耳鳴り、難聴が発現したあとでした。

筋書きとは、大まかに言えば次のようなところです。

私に手術をすすめるー>術後の感染予防として勤務している会社の抗生物質を大量投与するー>Tは売り上げが上がるー>医者は薬購入費のリベートを受け取るー>大量投与による副作用が発生しても私は自社の薬だから裁判で訴えることができない。->副作用が発生したらTは私に勝ったことになり、自分の有能さを自分に証明できたとして自尊心を満足させることができる。

実際Tは自分のことを相当なワルと自称しており、ワルの程度が強ければ強いほど有能なのだと信じており、常日頃自分のワルぶりを吹聴しているような人でした。

当時の社会の風潮にもそのような面がありました。人が良いとか倫理観のある人間はキレイごとの建前人間で役に立たないというような風潮がありました。
平気で法律違反ができて、法律違反をやって利益を会社にもたらす人間こそサラリーマンとして有能だという風潮です。したがって自社の薬の売り上げを伸ばすのにもっとも有効な手段が医者へのリベートだったのです。
(このような風潮は私の部署だけだったかも知れませんが・・・)

もし、薬の副作用が偶発的なものであったとすれば運が悪かったと諦め、恨みをもつこともなかったと思いますが、このような悪意で貶められたことには恨みを忘れることができず、それ以来ずっと悩み続けているのです。
なんとか、Tとその医者に数倍の苦痛を味わわせることのできる復讐法はないものかと考えることもあります。
恨みの感情は自分自身にとってプラスにならないという考え方もありますが、かといって忘れ去るにはあまりに難聴や耳鳴りの苦痛を毎日毎日味わいすぎていて、そのたびに恨みの感情を反芻させられているようなものです。

この事態は自分が前世で望んで引き寄せたものであるとか、前世からの因縁によるものであるとか、神様が試練を与えるために課したものであるとか、証明できないようなスピリチュアルやオカルト的な考えではなく、現実的な苦痛の軽減法や改善するような考えかたなどあるのでしょうか。

自分自身では、悩んだすえの解決法はやはり復讐によって心のなかでバランスをとる以外ないのかな、と堂々巡りをしている状態です。

あまりに重い課題かもしれませんがどうぞよろしくお願いします。

カウンセラー
大谷常緑
夢中人さん、こんにちは。
初めまして。ご相談を担当させていただく大谷です。
よろしくお願いします。さて、25年間も難聴や耳鳴りで苦しんでおられるとのこと、不自由で、辛い毎
日をお過ごしのことと思います。
ご相談を拝見して、発病の事情が事情だけに、病気だけでなく、より大きな苦し
みを味わっておられること想像に難くありません。はらわたが煮えたぎるような
感情の波に何度も何度もさいなまれ続けておられるのではないでしょうか。

ところで、ご相談を拝見して先ず思ったことは、夢中人さんは、本当は復讐など
したくはないのだなぁということでした。
しかし、”忘れ去るにはあまりに難聴や耳鳴りの苦痛を毎日毎日味わいすぎてい
て””復讐によって心のなかでバランスをとる以外ないのかな”と思われているの
ですね。

ご相談を読ませていただいて、夢中人さんは、とてもとても気持ちの優しい、ま
じめな方で、本当に正直な生き方をされてきた人だということがよくわかりまし
た。
そんな夢中人さんですから、復讐しても心のバランスなんてとれないことを夢中
人さん自身が一番よくわかっておられるのではないかと思います。だから、逆に、
本当は復讐したくない気持ちをお持ちなのですね。そして、復讐を考える自分す
らも許せない気持ちになっておられるのではないでしょうか。

人間の感情の感じ方は、人により様々です。
例えば、同じスリリングなことをしても、怖がる人もいれば、そのスリルを楽し
む人もいます。同じシチュエーションですら、感じ方は異なります。
ということは、人の感情は、外から与えられたことを感じるのではなくて、内側
にある何かを感じることになりますね。
一般に、人間は、「人から何かされたから、こう感じる」と思いがちですが、実
はそうではないのです。
きっかけは、確かにそうかもわかりません。しかし、そう感じるのは自分の感情
ですから、自分の内側にあるものなのです。
もし、不快に感じる事があるとすれば、それは自分の何らかの部分を責めている
感情が自分自身の中にあるからです。
例えば、年を取ったことを気にしている人がいたとしましょう。その人に「年と
ったなぁ」と言ったとします。そうすると・・・その人は怒りますよね。なぜな
らば、自分自身で「年を取った」と意識して、その部分をネガティブに捉えてい
るからです。その部分を自分自身で責めているからです。

では、夢中人さんの場合、一体ご自身で何を責めておられるのでしょうか?
ご相談の中から感じたことは、まじめな自分、だまされる自分、損をする自分な
どではないでしょうか。
この感情の下側には、気づいておられるかどうかは別として、おそらく、小さい
頃からまじめに頑張ってこられた夢中人さんの不満が鬱積しているのではないか
と思います。
人間は、自分が悪いと感じたくないときに、誰かのせいにします。
例えば、廊下に椅子が置いてあったとします。何気なく歩いていて、その椅子に
突き当たってひどく痛い目に遭ったとします。そんなとき、気分がすぐれない場
合、「誰だ、こんなところに椅子を置いて!」と怒鳴りながら椅子を蹴ったりし
ます。椅子に突き当たったのは自分ですから自分がもちろん悪いのですが、それ
を感じないために、椅子を置いた人のせいにしたり、あるいは椅子に八つ当たり
したりします。
夢中人さんの場合は直接的ではないにせよ、先ほど書いたように、まじめな自分、
だまされる自分、損をする自分などを感じないように、それを感じる原因を作っ
た同僚のTさんと病院の先生に向けられているわけです。
ここで、僕は、この事がいいとか、悪いとかを言っているわけではありません。
ただ単にそのような心の動きが夢中人さんを苦しめている、ということを言いた
いのです。
心の動きを理解することは、夢中人さんが辛さから解放される一つの手助けにな
るからです。

さて、ではどのようにすればご自分を責める気持ちから解放されるかというと、
ご提案するのは、先ずは電話カウンセリングをお受けいただく方法です。
夢中人さんは、言いたいことが沢山あるように思います。心の中に一杯、一杯溜
まっている感情があります。これを先ずは吐きだしてください。吐き出すことで、
少し気持ちが楽になると思います。

次に、夢中人さんがお持ちになっている観念を手放してみましょう。
観念とは、自分自身を縛っている考え方です。人間は、知らず知らずのうちに、
何万もの観念を持っています。例えば、「朝起きたら歯を磨かなければいけない」
「外を歩くときは靴を履かなければならない」「人間はこうあるべきだ」「男は
こうでなければならない」など、枚挙にいとまがありません。
これらの観念は、親から教わったもの、学校の先生や友達から教わったもの、会
社の先輩から教わったもの、あるいは今までの人生の中で身につけたものなど様
々で、今まで生きてこられる中で必要だったものも多く含まれます。
しかし、この観念があると、自分自身を縛ってしまいます。考え方にフレキシビ
リティーが無くなってしまいます。この考え方の硬直化が、一つは夢中人さんを
今の苦しい状況に追い詰めています。
では、実際にどうすればいいかというと、先ずはご自分がお持ちの観念を500
個、素直な気持ちで紙に書き出してみてください。先ほど書きましたように、人
間には様々なレベルの観念が何万とありますから、500個の観念は書けるはず
です。
そして、それを必要なものと不要なものにより分けていって、ただ1つだけ残し
てください。その残った観念が、夢中人さんが唯一守りたい観念です。
それがもし、夢中人さんにとって不要であれば、それも不要に分類してください。
どんな観念であれ、できれば不要にしてください。
そして、それら不要な観念を、全て破り捨てて「私には、このような観念はいり
ません」と声に出して宣言してみてください。
これらの過程で、夢中人さんが本当に大切にしたいものの傾向や、不要だけれど
もこだわっていた観念がおわかりいただけると思います。
夢中人さんが、観念を手放されると、また辛い気分が少し楽になろうかと思いま
す。

そして、最後ですが、仮に夢中人さんにこの世の中に生まれてきた目的があった
としたら、それは何かを考えてみてください。夢中人さんが本当に欲しいご自分
の人生とはどんなものなのでしょうか?どんな気持ちのする人生なのでしょうか?
そして、今、誰かを恨んだり、復讐するという行為がそれに合致しているかどう
か、(考えるのではなく)感じてみてください。

回答がお役に立てれば幸甚です。
ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。