相談者名 | 冬美 |
結婚1年目の29歳です。夫の言動に振り回される自分を変えたいです。 ◎性格と背景 ・夫 性格:感情の起伏が激しく、家でも会社でも怒鳴る。仕事能力は非常に高く、他人を馬鹿にする。自分は常に正しい。友達がいない 生育歴:機能不全家庭。仕事面は優秀だが家ではDVという父を持ち、父のようにはなりたくないと思っている。経済的に豊かだが不幸だった。 ・私 性格:「No」「できません」が言えない。我慢/他人の言いなり/他人の気持ちを引き受ける姿勢が自然に身に付いている。基本的に何もかも自分のせいだという自動思考。 生育歴:機能不全家庭。両親が共働きで祖母に育てられる。祖母と父は自己愛性人格障害で、私を自慢の道具として利用した。母は私に「私は弱いけど、あなたは強い子」というレッテルを貼り、私に弱音を吐く事を許さなかった。条件付き愛情の下、嘘をつくことが自然に身についた。貧しく、お金を盾に親から支配されていた面もあり、お金=幸せと思っている。 ◎喧嘩の争点 夫は、私の生育歴を理解し手を差し伸べてくれた初めての人なので愛し信頼してますが、感情の起伏が激しく、余裕ない時の攻撃により私もすり減ってしまい辛いです。離婚等見捨てる言葉を何度も言われ、今度こそ本当に捨てられるのかと毎回受けるストレスが増え、日常生活に支障をきたしています。 | |
カウンセラー | 池尾昌紀 |
冬美さん 池尾昌紀と申します。 ご相談ありがとうございます。 ご相談の内容を伺いますと、とても辛い状況と思います。 冬美さんの状況に置かれたら、どんな人でもご主人の言動に問題がある、とか、ご主人が悪い、と思ってしまうのではないでしょうか。 けれど、ご主人に理由を求めるのではなく、自分の中に原因を求めておられるように思います。 そこに、お二人の夫婦としての絆を強く感じました。 まず、ご主人がどんな心理で冬美さんに接しているのか、というところを見てあげるといいと思います。 攻撃的な言葉を発する人の心理というのは、相手に怒っているのではなく、自分自身に怒っている、と言われます。 例えば、冬美さんのご相談で寄せられている「やると言った事が出来ていない」というお話で見てみましょう。 冬美さん自身が何かをやるとやる、と言ったことを、出来ていないことにご主人が気がつきます。 一見すると、やっていなかった冬美さんを責めている言葉ですが、その時に、ご主人の心が感じているのは、「俺が悪いから、やってくれないのだ」という気持ちなのだと思います。 この俺が悪いから、にはいろんな意味が含まれていると思います。 過去にやってしまった申し訳ない出来事を思い出し、その罪悪感を感じる。それを感じるのがあまりに辛くて、怒りの矛先を相手に向けて、この罪悪感を感じないようにする、という心理が働くことがあります。 また、「俺には、相手を幸せにしてあげる価値がない」という思いから、やってくれない奥さんにしてしまっているのは、自分なんだ。 いずれにしても、暴言をはいている時のご主人は、その大きさが大きいほど「自分を攻撃している」のだと思います。 ご主人が暴言をはいている時には、こんなにひどいことを自分自身に言っているんだな、と思ってあげてください。 ただ、攻撃されているときは、なかなかこんな風に気持ちを変換するのは難しいですよね。 そんな時には、「言葉の力」を使ってみてください。 攻撃されている時、どうして受け止める余裕がなくなるかと言えば、言われている冬美さんも自分で自分のことを責めてしまっているからです。 そこで、自分を責めないようにするのが、相手の言葉を変換する余裕を作ります。 でも、その自分を責めないようにする、ということがとても難しいのです。 そこで、「自分をいたわる言葉」をあらかじめ用意しておいて、自分の心の中で自分自身に投げかけてあげる、という方法を試してみて下さい。 余裕がある時に、どんな言葉が自分の心に響くかを考えておきます。 暴言を言われたりした時、余裕がなくなった自分の心に、用意した言葉を、ただ、自分の心に唱えてあげます。 まるでおまじないみたいな話ですが、こうした状況では、理屈よりも、こうした言葉をただ繰り返し唱えてあげる、というやり方のほうが効果がある時があります。 私が自分の体験やカウンセリングをやらせていただいてきて、一番効果があるな、と思った言葉は「私を許します」という言葉でした。 日本には「言霊」という言葉があります。 最後に思う事を書かせてください。 冬美さんは、これほど辛い思いをしながらも、ご相談の最後に「彼を支えられるようになりたい」と書かれておられますよね。 そんなことができるなんて、なんて心が優しい人なのだと思います。 こんなに誰かのために思ってあげられる人が、愛される資格がないはずはありません。 そして、こんな風に思ってみて下さい。 誰かに相談する機会を持って頂けたら、それは「私のために」相談してみよう、と思ってみてください。 その思いは、遠回りのように感じられるかもしれませんが、必ず、彼を助けます。 まずは、あなた自身のために。 ご相談ありがとうございました。 |