池尾昌紀と申します。 ご相談ありがとうございます。最初にお話させていただきたいのは「子育ては大変だ」ということです。 現在の家事について、ご相談では少し触れてくださっていますが、初めてのお子さんが生まれ、二人目のお子さんが誕生された、というお話から想像するに、まずは今日までの日々が本当に大変だったのではないかと思います。 まずは、今までがんばってきたご自身をほめてあげていただけないでしょうか。 社会で仕事をするのと、家で育児家事をすることは、どちらが大変とか、価値があるという比較ができないものだと思います。 仕事とは全く質の違うものなんですよね。 仕事にはない大変さも持っているということです。 でも、今でも育児や家事は「やれて当たり前」という雰囲気があるように思います。昔はもっとその考え方が主流だから、母親の世代からしたら、そんな風に、ひかりさんも言われたりすることもあるのかもしれません。 けれど、一番は、自分がそう思っている、ということにあるように感じます。 「やれて当たり前」という思いは、仕事でいえば、営業の人がノルマの制限がない状態で仕事をやっているようなものです。 やってもやっても終わりがない。 そんな感じを感じながらやっていたら、疲れきってしまいます。 家事が仕事と一番違っているのは、「成果が目にみえない」ということです。 また、育児と家事というのは24時間体制の仕事をしているようなものです。 やっても成果も見えないし、きりがないと、「やれて当たり前の家事ができない私はダメなんだ」という思いを生みます。 でも、そもそも、育児家事はゴールがないものなんです。また、やったものでないとわからない大変さがあるものなんです。 ひかりさんは、とても真面目でがんばり屋さんなのではありませんか? もしそうなら、育児や家事をきちんとやろうと思われるでしょうし、できていないことがあればご自身を責めてしまわれるでしょう。 ご主人ががんばって仕事をされているのなら、なおさらです。 しかも、会社に出勤しているのではなく、ご自宅におられるのなら、日頃からその姿を目にされるので、こんなに夫もがんばっているんだから、私もちゃんとしなければ、とより思われるのではないでしょうか。 その思いが強い度合いだけ、ご主人が休んでいる姿を見ると、腹が立つのだと思います。 私はがんばっているあなたに釣り合うように、こんなにがんばっているのに、あなただけ休むというの?、みたいな感覚です。 もしかすると、ご主人も全く同じ感じなのかもしれません。 会社に出勤していると、夫は普段の育児家事を目にする機会がありません。 ところが、在宅勤務だと、いくら部屋に一日中いるといっても、折々に奥さんの姿を目にします。 すると、大変そうだな、がんばっているな、と思いながらも、仕事に打ち込まなければならない自分が「何もできなくて申し訳ない」という思いを生みます。 自覚がなくても、こうした思いは深層心理で積み重なっていくものです。 もしそうなら、お二人とも、実は、相手が一生懸命がんばっているのに、私はそれに比べてがんばりが足らないという思いを持っておられるのかもしれません。 繰り返しになりますが、自覚がなくても深層心理ではそう感じている、ということは少なくないものなのです。 この考え方が正しいとするならば、やはり、一番に考えなければならないのは、「私が自分のがんばりを認めてほめてあげること」そして「まず私がゆとりをもつこと」です。 ひかりさんは、どうしてこんなに家のことをがんばってやってこられたのでしょうか。 親としての義務だから?、主婦としての役割があるから?、でしょうか。 それは、夫や子どものため、ではないでしょうか。 夫や子どもがいつも笑ってくれたら幸せを感じませんか? 極端に言えば、夫や子どもがいつも笑っていてくれさえいれば、それで何もいらない、という感覚ではないでしょうか。 そうでなければ、こうした相談をわざわざお寄せくださることはないはずです。 今、苦しんでいるのは私ではありません。 夫や子どもが悲しんでいるように感じるから、それが苦しいのです。 でも、本当は、あなたがいるから、夫や子どもは幸せを感じられるのです。 そして、あなたと同じように、あなたが笑顔であれば、幸せを感じられるのです。 そんなあなたが「自分を責めて」苦しみながら家のことをやり続けていたら、家族は幸せに感じるでしょうか。 それはご主人も同じではないでしょうか。 夫が自分の価値を一番感じるのは妻の笑顔である、という言葉があります。 仕事をがんばるのは、奥さんが笑顔になってほしいからなのです。 奥さんが笑顔でない時、男は自分に価値がないと思います。 もしそうだとしたら、ご主人は、ひかりさんを笑顔にできない自分をひどく責めていることになります。 お二人は、実は、全く同じことを感じて、全く同じように悩み苦しんでおられるのではないでしょうか。 人は、実は自分のためには、なかなか力を使えないものですが、誰かのためになら力を発揮することができます。 家族のためにがんばれるのなら、家族のために、「がんばっている自分を認めてあげて」ください。そして、家族のために「自分を休ませてあげて」ください。 まずは、1日、家族に協力をお願いして、なんとか時間を作って、家を空けて、家のことはすべて忘れてリラックスする時間を作ってあげてください。 それが無理なら、一週間のうちの1時間でも2時間でもいいのです。 散歩でも、マッサージでも、なんでもいいです。 家のことはすべて忘れてリラックスする時間を作ってください。 自分のための時間を作ってあげてください。 そうすることで、心の中に少しでも余裕が生まれます。 その余裕が、いいアイディアや思いやりを作ります。 その積み重ねが、今の状態を解決していく何かを生むのです。 自分のための時間を作ってあげてください。 それくらいいいではないですか。ひかりさんは、それだけ今までがんばってきたのです。 自分のための時間を作る事は、結局は、家族のための時間になるのです。 ひかりさんは、お名前のとおり、家族の「ひかり」です。 それは今も昔も変わっていません。 いつまでも「ひかり」でいられるように、ご自身を大切にしてあげてください。 ご相談ありがとうございました。 |