夫の心が見えません。

相談者名
にゃごりん
妻31歳、夫33歳の結婚5年目の子なし夫婦です。
仲の良い夫婦でしたが、約1か月前、夫の私への気持ちがなくなっていると聞かされました。それまで、いつも通りに過ごしていたのに…。
私は2か月前まで仕事をしていました。フルタイムで通勤に片道1時間半かかる仕事。持ち帰り仕事も。
この職場は1年通いましたが、体力面も時間の面でも、私には限界でした。主婦としても、社会人としても、合格レベルにほど遠く、優しくしたいのに夫に当たったり。しかも、自分以上に仕事が大変な夫にも家事をお願いし…そんなジレンマから感情が爆発し、「離婚して」(本当は心にもないのですが)と言うことが何度かあったのです。
結局、心の余裕を取り戻すべく仕事を辞めましたが、彼は私が最後に離婚を切り出した時、一度心の中で“別れてやる”と思ったそうで(すぐに反省したそうですが)、それから愛情を感じなくなったと言っていました。
悲しかったですが、「でも、離婚は思いとどまってくれたのね、ありがとう」の私の言葉に、「思いとどまったのは愛情じゃなく、多分、情。経済力もないし」との返事。情けなく、悲しい気持ちです。
「でも、一緒にいるのは嫌じゃない。時間がかかると思うけど、また(心が)戻ってくる」とも言っていました。
夫を愛する私は、この言葉を信じて待つしかない状態です。
その後も何度か夫の前でやり場のない悲しい感情が爆発してしまい、困らせました(泣)
暫く前、本人に何%位気持ちが戻ってる?と聞いたところ、心は数字で表せないと言いつつ、70%と言っていました。
しかし、一昨日「本当に愛してる?」と聞いたところ、「わからない。言葉だけになっている気もする」ということでした。
つい焦って質問攻めにする私もいけないのですが、止められず…。
尤も、今の気持などを聞いてみても、わからないとの即答が多いです。
夫の愛は、あるのでしょうか?
いま、夫の心の状態はどんなものでしょう?
もし彼に愛があるとしたら、どうしたら本人がそれを感じられますか?
彼は自分の愛だけでなく、私の愛も感じられなくなっているようなのですが、何か私にできることはありますか?
因みに、体のつながりは、ずっとあります。
この頃は、心が繋がっていない気がする分、体だけでも繋がっていようとするのか、逆に頻度も増えています。
カウンセラー
池尾昌紀
にゃごりんさん、こんにちは。
池尾昌紀と申します。
ご相談ありがとうございます。

まるで袋小路に入り込んでしまったような、苦しみのスパイラルと言えばいいのでしょうか、繰り返し辛い状況がやってきて、本当に苦しみの中におられると思います。
けれども、そんな中、こうして相談くださったこと、変わりたいと強く思って行動に移されたご自身を、どうぞ褒めてあげてください。

にゃごりんさんのご相談は、ご主人の気持ちを知りたい、ということだと思うのですが、
ご本人が「わからない」と答えておられるように、実際にどういう思いなのかがわからず混乱している状態ではないかと推測します。
どうしてそんな状態になってしまっているかと言えば、心に余裕がないために、感じている気持ちを感じる余裕が生まれないからではないかと思います。
そんな時に、どういう気持ちなのかと聞いても、答えを返す事ができません。
逆に、ますます追い込まれたような気持ちになってしまうでしょう。
では、どうしたら心に余裕をもたせ、本当に感じている気持ちを感じることができるようになるのでしょうか。

その鍵は、ご主人にあるのではなく、にゃごりんさん、あなたにあると僕は思います。

心に余裕がないのは、ご主人にだけではなく、にゃごりんさん自身にも言えることではないでしょうか。
いえ、ご主人以上に、にゃごりんさんは余裕がなく、追い込まれていると感じているように思います。
辛く苦しくご自身を責めておられると思うのです。
ご主人に心の余裕が戻る方法は、まず、にゃごりんさん自身の心に余裕ができるようにすることが一番の早道であると思います。

なぜなら、ご主人の苦しみの大きな理由の一つは、あなたが苦しんでおられるからなのです。
あなたの苦しみが少なくなり、心に余裕ができてくれば、ご主人の苦しみも減っていくでしょう。
そうすれば、心の余裕がお互いに出て来て、本当の気持ちについてのやり取りができるようになると思うのです。

もしそうだとしたら、どのようにしたら、にゃごりんさんの心に少しでも余裕が生まれるのでしょうか。

まず最初の方法は、今の自分の気持ちを知る、ということです。
にゃごりんさんは、ご主人をつい責めてしまうことに苦しんでおられると思いますが、実際は、自分自身を責めておられます。
それも、かなりひどく、自分のせいで夫を追い込んでしまった、辛い思いをさせてしまった、と責めておらるのです。

一番の苦しみは、この自分自身を責めている気持ちです。
あまりの罪悪感の大きさに、自分自身が押しつぶされてしまいそうなほど、自分を責めておられると思うのです。
まず、そこに気がついて、そして、そんな自分に気づいてあげてください。
こんなにもこんなにも自分を責めて苦しんでいるということを。
それでもなお、ご主人のことを愛そうとしておられるのは、本当に素晴らしいと思います。

さて、次の段階としては、苦しみの原因になっている、この自分を責める気持ちを減らすことです。
そのためには、その元にある思いに戻ってみる必要があります。

それは、にゃごりんさんが退職される前に「離婚して」と何度か言ってしまったこと、にあるのではないでしょうか。
にゃごりんさんは、そのことを強く悔いておられると思うのです。
もし時間を遡らせる事ができたら、あの時まで戻って、やり直したい、そんなことを思われるのではないでしょうか。

いくら後悔しても、時間は戻す事ができません。言ってしまった言葉を戻す事もできません。
けれども、それを責める気持ちを変えることはできるのです。

にゃごりんさんは、当時のことを、こう書かれておられます。
「フルタイムで通勤に片道1時間半かかる仕事。持ち帰り仕事も。」
「体力面も時間の面でも、私には限界でした。」
「主婦としても、社会人としても、合格レベルにほど遠く」

この状況をみて、「主婦としても、社会人としても」合格ではない、失格だと言う人がいるでしょうか。
誰がみても、この状況で働き、しかも主婦としての仕事もこなす事が、極めて大変なことであると思うでしょう。
そんな中でがんばっていたら、誰だって、心にゆとりがなくなります。
「優しくしたいのに夫に当たったり。」
「しかも、自分以上に仕事が大変な夫にも家事をお願いし」
と書かれておられますが、やむ得ないほど追い込まれておられたのではないでしょうか。
しかも、「優しくしたい」という気持ちがあったのです。
そう思えば思うほど、逆のことをしてしまう自分を責めてしまったでしょう。

ここで気がついていただきたいのです。
すべての苦しみは、「優しくしたい」というあなたの「優しさ」から生まれているということを。
あなたがこんなにも「優しい」心を持っているから、それができなかった自分を責めてしまうのです。
夫を責めるひどい妻、なのではありません。
全く逆です。
あなたが「優しすぎる」から苦しんでしまうのです。

今、感じていただきたいことは、「あの時のことは、本当にしかたがなかったことなんだ」と自分をいたわってあげることです。

完璧主義、という言葉があります。
ここでは、完璧にこなせる、という意味ではなく、
自分が至らないからがんばる、あるいは、自分には価値がないから努力して成果を出さないと存在価値がない。
そんな自分を否定する気持ちから、努力を重ねていくのですが、
できない自分を責める気持ちから行っているので、やってもやってもできないことをみつけては、そのギャップに苦しむということをいいます。

でも、完璧にできなかった、と思っているのは、自分だけで、周りから見たら本当に努力しているのに、どうしてそんな風に自分を責めてしまうんだろう、と思われていることが多いのです。

できない自分どころか、本当に努力して努力して、がんばりすぎている人が陥ることが多いのです。

にゃごりんさんも、こうした完璧主義に陥って、責める必要がないのに自分を責めてしまってはいないでしょうか。

もしそうであるなら、「うまくできなくてもいいんだな」と自分への要求を柔らかいものにしてみる。
完璧に出来ない自分を許してあげるんですね。
人間なんだから、完璧にできないのは当たり前なんです。
是非、そんな自分を許してみることを意識してみてください。
すぐにはできなくていいんです。
何度も繰り返し、自分の心に言ってあげてください。
その積み重ねが少しずつ自分の心に滲みていきます。

そうはいっても、なかなかできないこともあるでしょう。
そんな時には、誰かの助けを借りましょう。
友人、家族、頼りになる先輩など、誰でも結構です。
そして、その人に話をしましょう。聞いてみましょう。

「うまくできなくてもいいんだよ!」
そう言ってくれる人がいたら、どうでしょうか。
一人でがんばるよりも、楽に前に進めます。
もしかしたら、あなたが一番言ってほしい言葉は、
「がんばらなくてもいいんだよ」「うまくいかなくてもいいんだよ」
なのかもしれません。

そして、一番に言ってほしい人。それはご主人なのではないでしょうか。
そして、一番それをあなたに言いたい人もまた、ご主人なのではないかと思います。

この回答が少しでもお役に立てたら幸いです。

ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。