出口が見つからない

相談者名
えいこ
夫と子供の3人暮らしです。穏やかな家庭を望みながら、夫とは会話をするたびイライラするので、なるべく接する時間を減らしています。子供はかわいいのに相手をするとイライラしてきて邪険にしていまい、後悔します。とにかく1人になりたい!!と願う毎日ですが、そうもいきません。
夫からは、家族がバラバラなのは私の性格のせいで、夫の家族も私の感情に振り回されて困っているから病院に行った方がいいと言われました。
私にも理由があっての行動で、それを伝えても理解してくれず苦しいです。
私の育った家庭もバラバラでした。両親が不仲で母はいつも父の愚痴をこぼし、同調しないと怒りの矛先が私に向くため、家では自分の意見や思ったことを素直に言えず、自分の本当の気持ちは抑えて生きてきました。
そのせいか、人への甘え方が分からず、我慢するクセがつきました。自分が我慢すればいいと思いながら途中で苦しくなって感情が爆発してしまうのです。
社会で感情を爆発させることはありませんが、夫には感情がそのまま出てしまいます。子供にも、母と同じようなことをしている自分に腹が立ち、でもどう接していいかわからず落ち込み、の繰り返しです。自分が疲れてしまいました。子供には自分と同じ思いをさせたくないので穏やかな環境をつくってあげたいと思うのですが、夫には愛情が全く湧かず、むしろ憎しみばかり感じるので、どうしても穏やかに温かい家庭をつくることが出来ません。
出口は見つかるのでしょうか・・・?
カウンセラー
池尾昌紀
池尾昌紀と申します。
ご相談ありがとうございます。

どんな言動には必ず理由があります。
それを理解してもらえない時、人はとても辛く悲しくなります。
その言動が、自らがわかっていながら、しかたなく行っている
ような場合にはなおさらです。

自分の言動を正しいと思っていないとすれば
その度合いだけ自分自身を責めて責めてしまいます。
矛盾が大きいだけに、その苦しみは本当に大きく辛いものだと思います。

「子どもには同じ思いをさせたくない」という言葉には
その大きな大きな苦しみが込められていると思います。
えいこさんが自ら書かれておられるとおり、本当は「穏やかに温か
い家庭」を作りたいのです。
その思いは、小さい頃に苦しんできたあなただからこそ、真に切実
な思いであると思います。

では、どうしてその切実な思いとは裏腹に、穏やかに温かい家庭を
築くことができなくなってしまっているのでしょうか

ご主人が理解してくれないから?
お子さんが協力してくれないから?

その理由は、えいこさん自身がよくわかっておられるように思います。

えいこさんは、書いておられます。
小さい頃のご両親とのことが原因ではないかということ。
自分の言いたい事を我慢して我慢して、自分をぎりぎりまで追い込
んでしまうから爆発してしまうこと。
甘えられない自分に苦しみ、甘えたいのに甘えられないこと。
そして何より、子どもにも母と同じようなことをしている自分を責
めていること。

小さな頃の子どもにとって、親は自分の世界のすべてであり愛の対
象です。
そんな親からひどいことをされたら、子どもは自分が悪いから、愛
される価値がないから親からこんな仕打ちをうけるのだ、と思って
しまいます。
状況的に親が圧倒的に悪いと思われる場合ですら、心の中では子ど
もは自らを責めているのです。
それほど子どもは親のことを愛しています。

愛される価値がないから、愛のある家族を手に入れることはできない。
その思いは、自分は幸せになってはいけないのだと心の中で決めて
しまうようなものです。
すると心の奥底のこうした思いは成人しても残ってしまい、実際の
状況をそのとおりにしてしまいます。
穏やかな温かい家庭をわざわざ壊してしまおうという正反対の行動
にかりたててしまったりするのです。

もしそうだとしたら、どうしたらいいのでしょうか。
それは、この思いが誤解であると気づくことがスタートになります。

子が親を愛しているように、親も子どものことを同じように愛して
います。
子どもを愛していない親はいません。
なのに子どもに対してひどいことをしてしまったのだとしたら、そ
れは、何か本当に仕方のない事情があったかもしれないのです。

本当は愛されていたのだ、と気づいた時、それは、「自分には、本
当は愛される価値がある」ことに気がつく始まりになります。

今のえいこさんなら、このことがわかるのではないでしょうか。

それは、まさに、今のあなたがおかれた状況そのものだからです。
あなたはお子さんを愛してらっしゃいます。
でも、お母さんと同じように子どもにあたってしまったりしている
ことで、自分を責めておられますよね。そのことで疲れきってしま
うほどに。
もし、えいこさんが小さい時の、ご両親も全く同じだったとしたら。
ご両親はあなたのことを本当に愛していたことになりませんか?
あなたがお子さんをこれほどまでに愛しているように。

今の苦しみを解決こと、それは、「両親にも何か事情があったので
はないか。今のわたしが家族に感じていることと同じように」と思
いをはせてみることなのです。

えいこさんは、「出口はない」のでしょうか、と問われておられます。
僕は「出口はある」と思います。
そしてすでに、えいこさんはその出口に向かって歩き始めておられ
ています。
このことに気づいた時から。

確かに、出口まではまだ時間がかかるかもしれません。でもそこに
向かって歩き始めているという事は覚えておいていただきたいのです。

この相談を寄せていただいたということは、自分を変えようという
強い意志と願いの現れです。
その願いが問題を切り開く力になると僕は思います。

機会があれば、お話させていただければ、とてもうれしく思います。
えいこさんの幸せのお手伝いが少しでもさせていただけたら、こん
なに幸せなことはありません。

ありがとうございました。

 

この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。