「私の人生、もう終わっちゃった……」
そんな思いになるとき、ありますよね。
生きているうちに何度か、そんな思いに囚われる時期があるものです。
何のために生きているのかわからず、行き詰ってしまう。そんな時期です。
私自身、40代前半はそうでした。
「子どもいないし」
「家族持ててないし」
「社員じゃないし」
「持家もないし」
周りの人たちは、結婚して子どもがいたり、マンション持ってたり、正社員で安定していたり――。
みんなが「持っている人たち」に見えていました。
それに比べて自分は……。
何もない。
周りは「持っている人」で、自分は「何も持っていない人」。
どうして差がついちゃったんだろう。
どこで、間違えたんだろう。
10代のあのとき、ああしておけばよかった。
20代のあのとき、ああしておけばよかった。
30代のあのとき、ああしておけばよかった。
どうして気づかなかったんだろう。
今さら、取り返しがつかない。時計の針は戻せないから……。
そんな思いに囚われて、身動きが取れないまま2、3年を過ごしました。
「家庭も子どもも持てていない、有意義な仕事もしていない自分」にダメ出しをしていたんですね。かなり激しく。
「なりたかった自分」と「今の自分」を比べて、「ダメじゃないか、ダメじゃないか」とひたすら自分を責めていたわけです。
でもね。
自分にダメ出しをすればするほど、どん詰まりから抜け出せなくなってしまうんです。
◆「自分にやさしくするレッスン」が人生を変える
この状態を抜け出す鍵は、「自分をいたわること」にあります。
「自分にやさしくすること」が、V字回復の鍵なのです。
私がまず、やったこと。
1日10個、自分をほめる言葉をノートに書きました。
「朝、歯を磨いた。えらい」「ちゃんと信号守った、えらい」からのスタートでした。
10日書いたあたりで、気分が変わりました。
「これまで自分を責めてきた。だけど、責めることからは何も生まれない」と、気づいたのです。
そして、気分を変えるために旅行に出ました。
「一番行きたいところに、行こう」
南米に飛びました。飛行機代、めっちゃ高かった。
でも、OKを出したんです。自分にお金を使うことに……。
そして――。
毎日10個、感謝できることを探してノートに書きました。
「こうして旅ができていることに感謝します」
「おいしくごはんが食べられることに感謝します」
「一人で暮らしていけるだけの仕事があることに感謝します」
書いているうちに、気づいたんです。
「自分には何もないって思ってた。だけど、いろいろ持っていた。一人で暮らせる部屋も、仕事も、仕事をもらえるつながりも。こんなにいろいろ持っていた……」
ここから、大きく変わり始めました。
流れが、変わり始めたんです。
◆考え方を変える――すると、未来が変わる
帰国後は、「毎日をちょっとでも楽しく過ごす」を実行。
「楽しそうかも」「行ってみようかな」と思ったことを、どんやりました。
タオルをふわふわなものに買い替えました。
シーツを気持ちのいいものに買い換えました。
メイク教室に行きました。
カメラ教室に行きました。
女性らしい服を買いました。
おいしい店にランチを食べに行きました。
そうやって、「毎日をちょっとでも楽しく過ごす」を続けるうちに、何かが変わっていきました。
「これからでも、遅くないよね」
「これから、まだできるよね」
諦めそうだった人生を、この手に取り戻し始めたのです――。
◇ ◇ ◇
「もう終わっちゃってる」と思うのも、「まだまだこれから!」と思うのも。
どちらでも、好きなほうを選ぶことができます。
今の自分が、選べばいいんです。
変えられるんです。
未来は、変えることができるのです。
今の状況は、「過去の自分」の考え方や気分、行動によって生み出されたもの。考え方、気分、行動を変えることで、未来は変わっていきます。
今この瞬間に、何を思い、どう行動するのか。
それが、未来を作っていくのです。
変わりたい。
自分の人生を、この手に取り戻したいと思うこと――。
すべてはそこから、始まるのです。