彼が何を考えているのかわからない

相談者名
コロネ
かれこれ半年以上、付き合ってるの?と言いたくなるような状況が続いています。
相手の男性は一つ上、根は優しくて几帳面なのに表現が下手で、恐らく自立型、友人の喩えを借りれば「まるで人間と接したことのない野生の犬のような人」です。
告白してくれたのに、交際1か月で放置。学校でそれなりの頻度で顔は合わせるのですが。メールは無視、電話も出ない、家を訪ねても居留守、挨拶はスルー、話しかければ不機嫌な一言返事……。もうどうやって接したらいいのかわかりません。周りには別れろと言われ、泣く泣く決断しようと思っても、話すらさせてもらえないのです。さらには拒絶されるうちに私も怖くなってしまって。
過去の似た相談事例を参考にさせて頂きましたが、彼の友人に頼むにも、本人がそういった話題を嫌うものですから中々踏み込めず、かといって、自分の好きなことをしよう、忘れよう、と例えば旅行に行っても気づくと彼のことを考えている自分がいます。ホワイトデーも誕生日も何もありませんでした。見返りが欲しいわけではないけれど、本当に彼のことが大好きで(不器用な人なので、ちょっと心配する感情にも似ています。味方でいたいというか。)、必要とされないことが、認めてもらえないことが悲しいのです。自分でも馬鹿みたいだと思います。冷められたかな、私の行動が誤解を生んでいるかな(彼にばかり全てを費やすのは勿体無いとも思ってしまい、割と男女関係なく遊びに出かけています。誤解されそうな分、彼にはたくさん言葉にして大好きだとは伝えているのですが……)、振り回されているというよりもひとりで踊っているような気分です。
何を考えているのか分からないうちに別れるのは悔しいし、せっかく出会ったのだからもっとお互いを知りたいです。
自然消滅を狙っている? 女性に不慣れで、どうしたらいいか分からなくて労力を使うのが面倒になった? 付き合うって何?
仮に話し合えても「じゃあこれから構います」で相手をしてもらうのは何か違う気もするし……。私が行動をやめたらきっと終わりだし、束縛が伝わったらよくないと思いながらも、私でなくてもよかったのではないかと疑ったり、どうしても期待してしまったり、辛いです。
全くの他人の事情で困難なお願いをしていることは承知ですが、八方塞がりで中途半端な現状から抜け出すヒントをいただければ幸いです。
カウンセラー
中山けんたろう
コロネさん、はじめまして。
ご相談を担当させていただきます、中山けんたろうです。
よろしくお願いいたします。

さて、何ヶ月もの間、「どうやって接したらいいのかわからない」という状況が続いていらっしゃるところに、まず驚きました。
彼のことが本当に大好きで、味方でいてあげたくて、せっかく出会ったのだからお互いのことをもっと知り合いたい。。。
なんていじらしくて、つつましい望みなのでしょうか。
つきあっているなら、持って当然の望みだと思います。

コロネさんがこれ以上、つらい思いをされる必要は全くないと思います。
今までは、どちらかというと「彼が何を考えているのか」というところに意識を向けられてこられたのではないかなと思うのですが、これを機に、「自分が何を考えているのか」とか、「自分がどのように感じているのか」や「自分がどうしたいのか」ということに、もっともっと意識を向けていただければと思うのです。

コロネさんは、彼の「根は優しくて几帳面」というよい面、言い換えれば「価値」をきちんと観ていらっしゃいます。
さらに、彼が「表現が下手」ということもわかっていらっしゃいます。
必要とされないことや認めてもらえないことが悲しいとも感じていらっしゃいます。
その悲しい感情をまず自分自身で大切に感じて上げて下さい。
なぜなら、恋愛は「理屈」でするのではなく、「感情」でするものだからです。

彼と一緒にいて、「うれしい」、「楽しい」、「ドキドキする」など、心が動くことで彼に対する「好き」という感情が育ちます。
そして、お互いの距離をもっともっと縮めたいと思うものですし、お互いの信頼感が深まっていくのですよね。
お互いの信頼感があるからこそ、「つらい」、「悲しい」、「腹が立つ」、「悔しい」などのいわゆるネガティブと言われる感情を乗り越えることができるのです。

おつきあいを始めて1ヶ月間のお二人のつきあい方をもう少し詳しくお聞きしないと断定的なことは申し上げにくいのですが、どうやら彼は、「自分のことを知られることを怖れている」のではないかと思います。

優しくて几帳面というのは、彼にとっては、いわば周りと折り合いをつけていくために身につけた仮面のようなものなのではないでしょうか。
彼からすれば、おつきあいをしてお互いのことを知り合うということは、その仮面を剥がされていくような感覚だったのではと思います。
もし仮面が剥がされてしまったら、「嫌われてしまう」とか、「生きていけない」ぐらいに彼は感じていると思います。
ですから、仮面が剥がされないうちに、取りつくしまもないような接し方をして、必死に仮面を守っている・・・そんな状態なのだと思います。

彼のことを「自立型」と感じていらっしゃいますね。一般的に自立傾向の強い人ほど、自分のことが周りに知られることに対して怖れを抱きます。
人間は元々、周りに依存しないと生きていけない存在でした。親に世話をしてもらい、守られないと生きていけなかったわけです。
けれども、成長するにつれて周りに依存するだけでなく、自立して生きていこうという気持ちを持つようになります。
ある意味、依存的な自分を否定して、自立的な自分になっていくのです。

自立的な自分になったからといって、心の中の依存的な部分が全く無くなるかと言えばそんなことはありませんね。
やっぱり人を頼りたくなる時もあるし、弱音を吐きたくなる時もあるのです。
けれども、「そんな自分を許せない」と思って自立的になっていきますから、自立傾向の強い人ほど、自分の中の依存的な部分を他人に知られるのを怖れるということなのです。

お友達が彼のことをうまく喩えられましたね。
「まるで人間と接したことのない野生の犬のような人」・・・。
野生ですから、自立して生きていますし、他の動物に気を許すこともありませんね。
気を許したら、「殺されてしまう」と思っているわけです。

また、「私でなくてもよかったのではないか」と書いていただいていますが、決してそのようなことではなかったと思います。
彼なりに何か魅かれる部分、告白してもいいな、告白しても大丈夫だなと思える魅力をコロネさんがお持ちだったのです。
だから、野生の犬のような彼が告白をしたのです。

決してコロネさんが嫌われたわけではありません。
これほど彼のことを思っているコロネさんのことを嫌いになれるでしょうか。
普通は嫌いにはなれませんよね。

彼は、自分の気持ちをどのように扱ってよいのかがわからないだけなのです。
そして、わからなくて戸惑っている自分というものを、周りの人、特にコロネさんに知られることを怖れているのです。
なぜなら、自立的な生き方が崩れてしまい、今までの自分が保てなくなってしまうと無意識で感じてしまっているからなのです。

ですから、野生の動物は、野生に返してあげましょう。
今度は、よほどの手傷を負わない限り、人里に下りてくることはないと思います。
野生の動物を追いかけて森の中で迷子になってしまわないためにも、彼のことを心の中から手放してあげてはどうでしょうか。

彼からは、自立的な男性の一面を学べたという見方もできると思います。
コロネさんの、「相手を好きと思う」気持ち、「味方でいてあげたい」という気持ち、「お互いのことをもっと知り合いたい」と思う気持ち、それらの気持ちを大切に思ってくれる男性がこの世の中には必ずいるのです。
いま、この世のどこかにコロネさんに振り向いてもらいたいと思っているそのような男性に、コロネさんのことを愛させてあげてもらえないでしょうか。
人から愛されることを自分に許すことは、自分自身を大切にする、言い換えれば、自分を愛することにつながります。
コロネさんには、ご自分をもっともっと愛してあげて欲しいと思います。

いろいろと書かせていただきましたが、今回のご相談が、コロネさんにとって何らかのヒントになれば幸いです。
ありがとうございました。

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