Bombさん、初めまして。今回担当させていただく三島桃子と申します。どうぞよろし くお願いいたします。Bombさんは中年以上の男性から何度も嫌な目に合わされた経験がおありなんですね。 そのような経験をすれば、強い怒りや嫌悪感を感じてしまいますよね。とはいえ、強 い怒りを抱え続けて生きることは苦しいですから、心が穏やかになるために、また、 今後嫌な体験をしないようになるためにできることを見つけたいですね。 Bombさんは、「怒りの下にある感情」として、いくつかのことを挙げてくださってい ますが、これらは「怒りの下にある感情」というよりは、「怒りの理由」だと思われ ます。 「怒りの下にある感情」というのがどういうものなのか簡単に説明しますね。 例えば、自分を可愛がってくれなかったお母さんなんか大嫌い!と、お母さんへの怒 りを強く感じている人がいるとします。この人のお母さんへの怒りの下にある感情は どんなものでしょう? それは実は、「寂しさ」や「悲しみ」であったりします。でも、その寂しさや悲しみ をリアルに感じ続けるのはつらすぎるので、「怒り」というふたをその上にかぶせる ということを、私たちはよくやるのです。 またさらに、「寂しさ」や「悲しみ」の下にも隠れている感情があります。それは 「お母さんへの愛」かもしれません。感情を下へ下へと探っていくと、最終的には、 その人の持つ純粋で美しい思いに辿り着きます。そこまで辿り着けた時、人は大きな 感覚の変化を体験し、それが癒しとなりますし、今後の出来事が変わっていくことに もなります。 さてでは、Bombさんの場合は、強い怒りの下に、どのような感情が隠れているので しょうか?ポイントは2つあると思います。 ○自己価値が低くないだろうか? 人から嫌な目に合わされることがどうも多い、という人は、実は自分の価値を低く見 積もっていることがよくあります。自己価値や自尊心が低いんですね。「私にはたい した価値はない」という感覚を知らず知らず持っている。Bombさんはそのようなこと はないでしょうか? 「あっ、そうだ、私は自分に価値がないと思っているな」とすぐピンとくる人と、そ んなつもりはないけどなあと感じるけども実はそう思っている、という人がいますの で、ちょっと注意が必要です。 こうした「無価値観」を持っているということは、「私は大切にされるべき人間では ありません」と書かれたプラカードを首から下げて歩いてるようなものです。目には 見えませんが、周りの人は感覚的にそれがわかります。 また、世の中には、自分の中にフラストレーションを抱えている人っていますよね。 そういう人は、自分のイライラをぶつけられる相手を無意識に探していることがあり ます。そうすると、「私は大切にされるべき人間ではありません」という目に見えな いプラカードにパッと反応し、「じゃあ大切にしなくていいんだな」と言わんばかり のことをしてきたりするのです。 相手も頭で考えているというよりは、感覚的な反応です。 何だか嫌な話だと思いますが、このプラカードを「私は大切にされるべき人間です」 と書き換えることができたら、嫌な扱いを受けることは格段に減るのです。ですか ら、もし無価値感を持っているのであれば、そこを癒していく、自尊心を取り戻すと いうことが、今後の人生を変えていくと言っても過言ではありません。 ○父親など身近な男性との関係 もうひとつのポイントは身近な男性との関係です。相手が中年男性ばかりだというこ とですので、問題の根っこは、自分に身近でかなり年上の男性、つまりお父さんや、 おじいさん、あるいは叔父(伯父)さんなどのことで、何かあるのかもしれないな、 と思います。 圧倒的によくあるのはお父さんですので、ここではお父さんを例にとって話を進めま すね。 お父さんが何か問題を抱えていて、いつも荒れていたり苦しそうだったり、あるいは 表に出さないけども苦しい思いを持っていたりすると、子どもはそれに無意識に反応 します。小さい頃は頭で理解するわけではないのですが、感覚的に「お父さんつらそ うだな」と感じるのです。 酒乱で暴れるなどということがあると、「怖い」や「腹が立つ」などの感情が先に 立って、自分が「お父さんはつらそうでかわいそうだ」と感じていることが全くわか らない場合がありますが、子どもというものは、我が親が苦しんでいれば、心の底で は「つらそうな親をできることなら助けてあげたい」と思うものです。どんな子ども もそうなんです。 一人の女の子が、「苦しんでいるお父さんを助けたい」と思ったとします。でも、子 どもは具体的に親を助けてあげることはできません。本当は、その子の存在そのもの が親にとっては大きな助けなのですが、子ども自身にはそのことはわかりません。そ して、「自分はお父さんを助けられない、無力で、価値のない存在だ」と感じてしま うことも往々にしてよくあるのです。 そう、最初のポイントとして触れた、「無価値観」ともつながっているのですね。 この感覚は、「お父さんを助けたい、助けられない、助けなくちゃ」というものか ら、「苦しんでいる男の人を助けなくちゃ」に転化していきます。 「私は大切にされるべき存在ではない」「私は男の人を助けたい」という2つのプラ カードを首から下げていれば、フラストレーションを抱える男性をひきつけることに なり、セクハラを受けやすくなったりします。すべてのセクハラがこういったことか ら起こるとは言えませんが、「何で自分はこんなにセクハラ的な目に合うのだろ う?」と思うのであれば、こういったことにも目を向けてみると何か気付くことがあ るかもしれません。 Bombさんの根強い怒りの下にあるのは、お父さんのような身近な男性を助けたかっ た、というような、一人の少女の本当に優しい思いかもしれません。そこが見えてく ると、根強い怒りをあまり感じなくて済むようなコンディションになってくる可能性 が高いと思います。 どうでしょうか?突然このようなことを言われてもピンとこなかったり、わけがわか らないような気持ちになるかもしれませんが、よかったらゆっくりとご自分と向き 合ってみてください。「どうかな?私の心にそういうものがあるのかな?」という感 じで自分に問いかけてみて、はっきりわからなくても何か感じるものがあれば、一度 カウンセリングでご自分のことをじっくり話してみることをお勧めします。 私もまた、Bombさんとは内容が違うものの、質的には同じような経験がありました。 最初はわけがわかりませんでしたが、少しずつ自分の気持ちと向き合い、自分の心の 中にあったいろいろなものが何だったのかがわかり、嫌な思いをすることはかなり減 りました。また、あったとしても、自分を守る対応をできるようになってきました。 参考になりましたら幸いです。 ご相談いただきありがとうございました。 三島桃子 |