許したいが許せない

相談者名
外郎
同じ屋根の下、兄弟同然として育った親戚に対して抱いた幼少期の怒りに捕えられています。
一回り年上の仲の良い親戚がいます。兄弟同然として育ったので今は関係が良く、いろいろと助けてくれていますが、以前に、子ども時代につらく接したことを突然謝罪され、その時は「仲は良好ではなかったが、今良くしてもらっているので恨んでいない」という気持ちでした。実際に特に気にしていませんでしたし、家族同然と思っていますので、過去のことという認識でした。

しかし、時間がたつにつれ、その当時の激しい無力感、悔しさと怒りが冷凍解凍されたようによみがえり、癇癪を起したくなるような怒りに圧倒されることがあります。(幼少期は癇癪持ちでした。)体力も知能も発達していなく、自己弁護をできない、年が一回り離れている子をいじめるなんて卑怯だと非難したい気持ちになります。ですが、大人になってからの対応や子どもながらに「自分の居場所を守ろうとしていた」という本当の理由を告白してくれたので、本人に直接私の本心を伝えられません。この親戚には感謝していて良い関係を続けたいと思ってるので、この怒りを解消したいです。

現在でも、その親戚と同じような特徴をもった人が苦手であることに気づきました。どうしても心を自己防衛してしまうのです。分かってはいるのですが「卑怯で結局自分のことしか考えていない。自分の状況が良くなったときだけ手のひらを返したようにやさしくするおめでたい人間」と勝手に人物像をつくってしまう癖があるので直したいのです。

つきましては、この親戚の子ども時代の弱さを理解し、のちに私に謝罪をした勇気を認め、過去を許すにはどうすればいいでしょうか?
核心を申しますと、私は自分の欠点を棚に上げ、自分を傷つけた人間を許せないのです。

カウンセラー
小倉健太郎
外郎さん、はじめまして。
担当をさせて頂きます、小倉健太郎と申します。

どうぞ、よろしくお願い致します。

過去にはご親戚のつらい接し方でさんざん苦しめられてきたと言うのに、今度はそんな過去を許せない自分の気持ちに苦しめられているというのですか?

しかも、ただ自分の怒りを解消したいだけでなく、このご親戚気持ちを理解し、さらに勇気を承認したいのですね。
そんな風に考える外郎さんは、なんて心の優しい方なのでしょうと思います。

「親戚が辛い事をしてきたのは過去の事。さらに自分に対して謝ってきた。謝罪をしてきたんだから、許す。」

そんな風に感じておられるのでしょうか?
過去の過ちを許そうと、もがき、苦しむ外郎さんは、本当に勇敢でとても心の力強い方だなと思います。

では、外郎さんが、この怒りを解消し、心から許して、すっきりした気持ちになるにはどうしたらいいのか、考えていきたいと思いますね。

まずお聞きしたい事があるのですが、自分が許せないほど辛い気持ちを感じる事を、今、自分に許してあげる事はできますか?

怒りを感じたくないから解消したいとおっしゃっているのに、そんな辛い気持ちを思い出して感じさせようとするなんて、矛盾した事を言われているように感じてしまうかもしれません。

けれども、許せない気持ちがあるのに、それを感じることまで許せないとしたら、それこそ、辛い上に我慢も重なり、よけいにしんどい事ではないかなと思うのですね。

外郎さんは、ものすごく誠実で、真っ直ぐな方なんだと思います。
だから、心の中で許せない気持ちを持つだけでも、いけない事だと感じてしまったりするかもしれません。

けれども、どんな気持ちにも理由があると思います。
外郎さんが、なかなかご親戚を許せないのは、それだけ辛い経験があったという証拠なんだと思います。

なので、もしも心に余裕があればでいいのですが、今、幼少期の自分を想像してみて頂けないでしょうか?

もちろん、無理にしていただく必要はありません。
でも、可能であれば、思い浮かべてみて頂きたいのです。

その時は、どんな事が辛かったのでしょうか?
外郎さんは、どうやってその辛い経験を耐え忍んでいたのですか?

そして、その幼少期の自分自身を思い浮かべながら、幼少期の自分自身に向かって、こんな風に問いかけてみて頂けないでしょうか?

「よく頑張ったね。もう大丈夫だよ。君に辛い態度をした親戚のお兄ちゃんは、謝ってくれたし、あんな辛い日々はもう二度と来ないよ。もう安全だよ。だから、泣いてもいいし、怒ってもいいよ。どんな態度をしても、君を傷つける人はいないよ。」

こんな風に問いかけて、心の中で、まだ頑張っている自分の幼少期の気持ちを安心させてみて頂けないでしょうか?

そのご親戚が、外郎さんに辛い態度をした理由、それは、そのご親戚もまた、辛い気持ちでいっぱいで、心に余裕が無かったのではないかと思いますよ。

決して、悪い人ではないし、まして、卑怯な人だとも思いません。だからこそ、今になってでも謝罪をしてきたんだと思います。
そもそも、幸せな時と言うのは、人に辛い態度で接しようとはなかなか思えないものかなと思います。

そして、そんなご親戚の態度を、外郎さんが必死で受け止めたのかなと思います。
だから、そんな態度をされたことに対して、まずは自分に何か悪いところがあったとか、自分を責める気持ちがあったとしたら、どうかそんな風には思わないで、よく頑張ったと、褒めてあげて欲しいなと思うのですね。

それにもし、外郎さんがこのままご親戚の事を許せなないままだとしても、私は外郎さんの事を、なんら非難する事は出来ませんし、既にそのままでも十分優しくて、勇気のある方だと思っています。

また、たとえ時間がかかっても、心からすっきりして、許せる日は来ると思います。
なので、どうか許したいと言う外郎さんの願いは、あきらめないで欲しいなと思います。

それから、幼少期は癇癪持ちと書かれておられますが、それは、外郎さんが感受性が高くて、とても自由な感性をお持ちなのではないかと思いますよ。
そして、そんな感受性の高さは、外郎さんの長所のひとつではないかと思います。

なので、そういう意味でも、ご自身に自由な感情を感じる事を、許してあげて欲しいなと思いました。

幼少期は、本当に辛い経験をされましたね。
でも、今はその辛い気持ちを乗り越えられるだけ成長されたんだと思います。

そんないいタイミングでこの無料相談コーナーに悩みをお寄せ頂き、私が担当をさせて頂けた事をとても嬉しく思います。
今回は、ご相談ありがとうございました。
何かしら参考になりましたら、幸いです。

この記事を書いたカウンセラー