弟の非行と母親の痛み

相談者名
ゆき
 25歳女性、会社員です。 21歳の弟と、母のことについてご相談します。

弟は中学2年生頃から非行化が始まり、事あるごとに母親を悩ましてきました。人並みの人生を歩んで欲しいとの親心から、本人は希望しなかった高校進学をさせたものの、やはり高校2年の秋に中退という結果になってしまいました。高校へ通っている間は、毎日のように母に向かって「学校へ行ってやってる」ことを恩着せそれを盾にお金をゆすったり、また盗んだバイクを無免許で乗り回し家庭裁判所のお世話になったこともありました。
高校中退後はずっと家の仕事をしていますが、もう働き始めてだいぶ経った今でも、自分の気分で働いたり休んだりの日々です。これには、弟以外にも原因があります。

父親は今年で60歳になったのですが、若い頃からの遊び癖がまだ抜けず、抜けるどころか年々ひどくなっていく始末です。以前から家に帰らず健康ランド等に泊まる生活をしていたのですが、最近は健康ランドではなく、女性の家に泊まっていたことが判明しました。今では、家へは月に7日も帰りません。朝よそから帰ってきて、支度の済んだ弟を車に乗せ仕事場へ行く、という日がほとんでです。当然のごとく、父親が前の晩に飲みすぎて朝に弟を迎えにこない、ということも多々あるため、必然的に弟も適当な姿勢で働いている、ということになってしまっています。
前述した通り、最近になって8年も前から女性がいたことが判明し、幾度となく「子供のために、お金のために」と我慢してきた母も酒やギャンブルは許せても女は許せず、離婚を考え始めています。

そんな家庭をかえりみる父親ではないので、弟のことを母と共に相談しても、まったく取り合ってくれません。
「俺は俺の人生がある。人は人の人生。だから関係ない。」と言うのです。自分の子供のことなのに、関係ない、と言うのです。

こんないい加減な父親の元で働いているので弟もいい加減な働き方をしているですが、それでもやはり、中学高校時代と比べると大人になっており、時折頼もしい姿を母と私に見せてくれました。

しかし今日、体に複数の刺青をいれていることが分かりました。これを目にした母と私は裏切られた想いでいっぱいになり、泣き崩れてしまいました。
以前から弟は「墨を入れたい」と繰り返し、母を悩ませてきましたが、これは単なる脅しに過ぎない、と信じていたのです。まさか本当にするとは思いませんでした。私としては、正直、してもいいと思ったのです。ただ、親には絶対見せてはならない、親が死ぬまで知らなければそれでもいい、とは思ったのです。ただ先ほど、刺青をちらつかせて歩いていたため、母は喪失感でいっぱいになってしまいました。

家の仕事のために男性と同じ力仕事をし、その働いたお金を父の遊びに使われ、それでも家業と子供と生活費のためにたまに帰ってくる父親を受け入れ我慢を続けていた母ですが、この弟の最大の裏切り行為にはかなりのショックを受けました。母は、「もう生きていてもしょうがない」と…。

60歳の父親を更正させるのは無理なのは分かっています。ただ、まだ21歳の弟には、いくらもう消しようのない刺青が入っていようが、更正の道はある、と私は信じたいのです。そして、母親を楽にさせてあげたいのです。

私は母にどのようなアドバイスをすべきでしょうか?私しか、アドバイスできる人間がいないのです。
父の両親はすでに他界しており、父の兄弟は、家庭をかえりみず外で酒ギャンブル女に明け暮れる私の父が高給取りであることから、むしろ父のことを誇りに思っています(父は兄弟の借金の保証人になったり、肩代わりしたりしているからです)。

よろしくお願いします。

カウンセラー
根本裕幸(退会)
ゆきさん、こんにちわ。根本です。
ご相談ありがとうございました。とても心苦しい気持ちが伝わってきますよ。
お母さんだけでなく、ゆきさん自身も多くのご苦労を感じていらっしゃることと思います。
どんな思いで毎日を過ごしていらっしゃいますか?
家にいるとき、会社にいるとき、友達と遊ぶとき、恋人とのロマンスを味わうとき。
どこかで家族のことがちらついているのではないでしょうか。
また、お母さんもどんな気持ちで毎日を過ごされているのでしょうね。
ありきたりな表現ですが、心中察するに余りあるという感じがしてしまいます。
だから、ゆきさんの心優しさには心打たれる思いがしますよ。

長年に渡って続いている家族の問題については一筋縄では行きませんし、家族には家族の見えない絆・ルールと言ったものが存在しています。
心理学では、それぞれの個性や人格といったものが繊細に作用しあって今の家族が成り立っていると考えます。
つまりは、問題を起こしているのは弟さんやお父さんであったとしても、お母さんやゆきさん自身にも何かその問題に関する責任を有しているということです。
でも、そこに希望があります。
それは自分自身が変わることで家族みんなが変わっていくということです。
弟さんを変えようと思ったとしても、なかなか難しいと思いますし、今までお母さんなりに、ゆきさんなりに色々と手を尽くしてこられたと思います。
だから、まずはゆきさん自身、お母さん自身が変化することを大きな大きな目標としてみてください。
どんな風に変化するか?というと、今回は抽象的な表現しか出来かねるのですが、より自分らしく、がテーマですし、自分自身の幸せ、家族の幸せとは何か?を考えてみることがそこへの第一歩でもあります。

例えば、お父さんが好き放題やっている分、お母さんは我慢の連続だったと思います。
そうしなければ家族が成り立たないから、と。
でも、そこで犠牲になっているのはお母さん自身の心ですね。
楽しみや喜びといった部分からどんどん縁遠くなってきているような気はしませんか?
お母さんが自分自身の人生を楽しみに変えて行くこともきっとできるはずです。
そこでは嫌かもしれないけれど、お父さんの考えを少し学んでみるのもいいかもしれません。

今回はゆきさんから頂いた限りある情報が頼りですので、抽象的かつ曖昧なお答えになってしまうところも多いかと思います。より具体的なサポートについては、お母さんやゆきさん自身の性格的なところや考え方などをお聞きしてからと思いますので、また別の機会に譲らせてください。

>  弟は中学2年生頃から非行化が始まり、事あるごとに母親を悩ましてきました。

お母さんにとっては「お父さんはもう仕方ない。でも、弟だけは・・・」という思いでいっぱいではないでしょうか。
それが度重なる裏切りで、深い悲しみばかりを感じさせられてきたのかもしれませんね。

そんなお母さんの思いをまずはたくさん聞いてあげましょう。
きっと涙なくしては・・・というところも多いかと思います。
お父さんのことでも我慢をたくさんされているでしょうし、また、怒りの感情もたくさん心の中に詰め込まれているのではないでしょうか。

ゆきさんも機会があれば、たっぷり時間を取って、そしてできれば家から離れたところで、お母さんの話をじっくり聞いてあげてください。
2人で旅行に行くのもいいでしょう。
日常から、家から離れる事で、客観的に自分自身を見つめ直すことが出来ますね。
(面談カウンセリングが効果的なのもこの要素があるからです)

>  前述した通り、最近になって8年も前から女性がいたことが判明し、幾度となく「子供のために、お金のために」と我慢してきた母も酒やギャンブルは許せても女は許せず、離婚を考え始めています。

それも一つの選択肢ですね。
(これも自分自身を変化させる一つの選択です)
でも、離婚となると後々の苦労もたくさんあるかと思います。(生活費とか)
家族で話し合って進められる事をお勧めします。

>  そんな家庭をかえりみる父親ではないので、弟のことを母と共に相談しても、まったく取り合ってくれません。

そんなお父さんをどんな風に思います?
怒りもあれば、悲しみや寂しさもあるのではないでしょうか。
お父さんの行動・言動、ゆきさん自身も心痛む経験が多かったかもしれません。

でも、どこかでそれは弟さんにしても同じことだったのではないでしょうか。
一度お母さんと小さい頃の弟さんについては話をしてみるのもいいでしょう。
「あの子はほんとに優しくていい子だった」なんて話が聞けるかもしれません。

一般論ですが、非行に走るのはいい子が多いようです。
なんであの子が・・・というタイプ。
本音は心優しい部分を持っているのに、何かのきっかけでそんな自分を捨ててしまうのが非行の現れであることが多いのです。
それは何かのメッセージ性を含んでいます。
そのメッセージを家族が受け取るまでは、どんどん行動はエスカレートしていきます。

もし、弟さんが見えないメッセージを家族に送ってきているとしたら、それは一体なんでしょうか?

これまた一般論になりますが、もっと自分を注目して欲しい、頼って欲しい、認めて欲しいといったとろこが一番多いメッセージだったりします。

>  家の仕事のために男性と同じ力仕事をし、その働いたお金を父の遊びに使われ、それでも家業と子供と生活費のためにたまに帰ってくる父親を受け入れ我慢を続けていた母ですが、この弟の最大の裏切り行為にはかなりのショックを受けました。母は、「もう生きていてもしょうがない」と…。

もう我慢の限界で、もう手はないような感じなのかもしれませんね。
それを傍で聞いているゆきさんも本当に心痛む時間だったのではないかと思います。

お母さん自身、こんな子どもに育ててしまって、という自分を責める気持ちもたくさんあると思います。私がいけなかった・・・とね。

>  60歳の父親を更正させるのは無理なのは分かっています。ただ、まだ21歳の弟には、いくらもう消しようのない刺青が入っていようが、更正の道はある、と私は信じたいのです。そして、母親を楽にさせてあげたいのです。

その気持ちは素晴らしいですね。
僕にも応援させてください。

その信念があれば、きっと弟さんも気づいてくれるときが来ます。
それは自分の家族を持ったときかもしれないし、自分で仕事をはじめた時かもしれません。
でも、いつか「母ちゃん、姉ちゃん、苦労かけてごめんな。もう大丈夫。」という言葉を聞けるときもやってくるでしょう。

諦めないで下さいね。

>  私は母にどのようなアドバイスをすべきでしょうか?私しか、アドバイスできる人間がいないのです。

アドバイスの前に、まずはお母さんの心に溜まった色々な思いをきいてあげてくださいね。
それが最初に大切な事だと思います。
そして、色んな話を2人でしてください。
その上で励ましてあげてください。
ゆきさんが思ってらっしゃる信念をお母さんと共有するためにね。

僕らの手や知恵が必要であれば、またいつでも頼ってください。
ゆきさんやお母さんだけで抱えることはありませんから。

それでは。

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