家族の「特待生」へのこだわり

相談者名
ジュピター
こんにちは。
私はこの春から大学生になった者(男:自宅通学)です。

私は入試の成績の順位が(相対的に見て)上位だった、ということで今年度の学費(授業料)一部免除となる「特待生」になりました。(来年度どうなるのかは分かりません)
しかし、それゆえに両親の「特待生へのこだわり」とでもいいましょうか、執着とでもいいましょうか、それがものすごいのです。

「(大学で、苦手な授業の話をすると)随分とレベルの低い特待生だな」
「バイト?お前なんかどこも雇ってくれないし、第一そんなことしたら勉強がおろそかになって、成績が下がって特待生が取り消されるわ!」

特待生のために、バイトしたいという話をすると渋い顔をされる。これでは「特待生」を理由になにもかにも自分の好きなことが出来なくなってしまいます。一番前で座って講義を聴いて、先生に質問したりするなど自分でも授業や教学環境は活用しているつもりですから、「勉強したくない」わけではありません。(実をいうと、私語がひどいから前に座っているだけです。熱心なわけではありません。余計ながら)しかし、それ以外にも様々なことをしてみたいです。小規模ながらサークルにも所属していますし、アルバイトだってしてみたい。

もう1つ、そんなに特待、特待って何か月も騒ぐことでもないと思うんです。決まったときはそれは嬉しいですが、いろんな人に言いふらしたり(特に祖母がそうなんですが)、何か月も引っ張るような話でもない。
決まったとき喜んで、ありがたく受け取って、大学生活を送るだけのこと。
もう数か月経ったんですから、かすかに記憶に留めておくだけでいいじゃないですか。

定期代や校納金を払うのは親だから、親の言い分がわかるとおっしゃるかもしれません。でも私は、遊んでいる人もいる中でしっかり授業を聴いて勉強しているつもりです。時間とお金を無駄にしないよう、私だって当たり前のことを当たり前にやって、それに応えているつもりです。

でも、やはり冒頭のようなセリフを言われるのは辛いし、大学生なのだからいろいろやってみたい。どうしたらよいでしょうか。
よろしくお願いいたします。

カウンセラー
小倉健太郎
ジュピターさん、はじめまして。
担当をさせて頂きます、小倉健太郎と申します。

どうぞよろしくお願い致します。

文章を読ませていただきますと、ジュピターさんは本当によく出来た方だなと思いました。
それは、大学で特待生になられた事もそうですが、特待生と言う身分におごりたかぶる訳でもなく、いいかげんに考えるでもなく、真摯にありがたく受け止め、さらに前へ向いていこうという姿勢を感じ、それがまた素晴らしいと思いました。

ご両親の言葉自体は、表面的にはあまりいい言い方ではないかもしれませんが、内面的にはそれだけジュピターさんの事を誇りに思い、家族の中のヒーローのように感じておられるのだろうと思います。

また、「アルバイトもするな。」と言うのは、言い換えれば、「特待生を維持してくれるなら、アルバイトしなくても、お金は親が負担しますよ。」と、特待生のジュピターさんに敬意を表しているようにも思えます。

けれども、現状として、ご家族から皮肉のような事を言われたり、ご祖母様がいろんな人に言いふらしたり、アルバイトするのにも躊躇してしまうような窮屈な状態になってしまうのでは、「じゃあいっそ特待生になんてならないほうが良かったのかな?」なんて思ったりもしてしまうかもしれませんね。

実際、大学に入れたことも、特待生になれたこともとても素晴らしい事だと思いますから、そんな素晴らしい状況が、逆にジュピターさんの首を絞めるような事になってしまうのは、もったいない事だと思うのです。

また、ジュピターさんはとてもしっかりした考えをお持ちの方のようですから、もう十分自分の意思で物事を決めても大丈夫なのではないのかなと思いました。

何より、ジュピターさんの人生は、ジュピターさんのものですし、せっかくの大学生活なのですから、後悔の無いよう、思い切り楽しんでみたいですよね。

しかし、ご両親やご祖母様の言葉や態度がそれだけ気になってしまうのは、ジュピターさんがそれだけ家族想いな方だからだとも思います。

そんな、勉強も良く出来て、家族想いなジュピターさんが、この葛藤を乗り越え、これからは自分の意思で自由に物事を進めていき、さらにご家族からは、皮肉ではなく背中を後押しするような応援をされるようになるにはどうしたらいいのかを考えたいなと思いました。

それではどうぞよろしくお願い致します。

まず最初に考えて頂きたい事があるのですが、ジュピターさんのご両親、ご祖母様は、ジュピターさんに何を望み、何を心配しているのかなと言うことです。

一般的には、親と言うのは子供に対して、「自分達が無くて困ったもの。」もしくは、「それがあればもっとよかった。」と思うものを子供に持たせたいと思うと言われています。

そう考えると、ジュピターさんのご両親は、今ジュピターさんが手にしておられる、学歴、もしくは頭の良さというものがとても大切だと考えておられるように思います。

しかし、もっと突き詰めて考えると、「そうすれば息子は幸せな人生が送れる。」「困ったことにはならない。」と考えている、つまり、「息子に幸せになって欲しい。」という気持ちが強いという事なのだと思います。

ここでもう一つ質問をさせて頂きたいのですが、ジュピターさんは、何かのファンになった事はありますか?

私の友人で熱烈なサッカーファン、それも名古屋グランパスエイトのファンと言う人がいます。彼がグランパスエイトの試合を見る姿は、選手の好プレーや得点に大いに喜ぶだけでなく、ミスや失点には選手以上にがっかりしたり、野次や罵声を飛ばしたりしています。

ジュピターさんのご両親も同じような気分なのでは無いかなと思うのですね。

しかし、サッカーではリーグ優勝であったり、ワールドカップ出場など、選手とファン(サポーター)の目標が一致しているので、このような野次や罵声も、選手にとっての励みになるのかなと思うのですが、今の現状としましては、ジュピターさんがご両親の思う「こうなって欲しい。」「これを目指して欲しい。」が分らなかったり、ジュピターさんの考える「こうなりたい。」と食い違っているので、せっかくの叱咤激励も、自分を邪魔する言葉に聞こえてしまうのだと思います。

そこで大事なのは、ジュピターさんがご両親の望みが何かを知り、その期待に応えようと努力をするのでは無く、ジュピターさんご自身の望み、目標、将来の夢が何なのかをもっと具体的にして、それに向かって行こうと決意を固くする事ではないのかなと思います。

そんな事をして、それがご両親、ご祖母様の望みや期待と違っていたら、ひどくがっかりさせてしまうのではないか、喧嘩になってしまうのでは無いか、もう家にいられなくなってしまうのではないかなど、心配をされるかもしれません。

しかしながら、ご両親、ご祖母様の本当の望みというのは、ジュピターさんの心からの幸せなのだと思うのですね。

なので、もしかしたら一時的にはがっかりしたり、何かした誤解をされて怒らせたりしてしまう事になる可能性はあると思いますが、それが本当にジュピターさんにとっての幸せだと分れば、きっと考えを改めて、今まで以上に応援をしてくれるようになると思います。

例えば、これも私の友人のお話ですが、こんな話もあります。

中学生時代、彼はとても太っていたのですが、その時、彼のお母さんがこんな話をされていたのがとても印象に残っています。

「息子が本当にご飯を美味しそうに食べる姿を見ていると、お代わりを言われた時に、断れなくなってしまうんです。」

つまり、ご両親やご祖母様の心を動かし、ジュピターさんの望むような応援をしてもらえるのに必要なのは、ジュピターさんが本当に幸せだと思う気持ちだと思います。

ジュピターさんが心から幸せになれることはどんな事ですか?

それが今考えているアルバイトだったり、サークル活動であれば、それはそれでもちろんいいと思いますし、もしもっと幸せになれると思えることであれば、それでもいいと思います。

何にしろ、ジュピターさんが心から楽しんでやっている気持ちが伝われば、ご両親やご祖母様の気持ちも変わってくるのでは無いかと思いますよ。

ジュピターさんが、心からやってみたいこと、思い切り楽しめるようお祈りしていますね。
少しでも参考になりましたら幸いです。
今回は、ご相談ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー