自己嫌悪と人間関係

相談者名
kirin
私は子供の頃から集団で上手にやっていくことが出来ません。
そもそも人づきあいが大の苦手です。

一対一で波長の合う人となら何とか付き合えますが、三人以上になるとダメです。一人黙ってしまいます。お話上手な人がいて、それに上手く相槌を打って…という人がいると、気遅れしてただ何も言わずそれを眺めているような感じで、完全に浮いています。
輪の中に入れるように気にかけてくれる人がいるときもありますが、とても気を遣わせているようですし、そうしてもらっても輪の中には入れません。また、そういう人がいない時はひとりポツンとしています。

学校を卒業して数年は事情があってどこの組織・集団にも属さず一人の世界に入り込んでいたので、自分の人間関係の苦手さを感じないでいられました。
しかし、昨年から組織に入って仕事をし始め、自分のダメな所と日々向き合うようになりとても辛いです。人と上手くやっていけない自分が大嫌いです。

いつもHPやカウンセラーの方のブログを拝見しております。
それらを見ていて、完璧にならなくて良い・欠点こそ愛すべき魅力の一つで他の誰かが役に立てるポイント・欠点は長所にもなる(表裏一体である)という内容のことが書かれています。

しかし、人と上手くやっていけない事の長所なんてあるのかな?と思います。いつも人が集まる場所を避けています。仕方なく集まり(飲み会とか)に参加すれば浮いてしまい他人に気を遣わせている+自分も全然楽しくない。

仕事は今の場所で続けていきたいですし、これからは今まで避けていた恋愛や結婚を考えていきたいと思っているのですが、職場や出会いを求めるような場(合コン等)も苦手ですし、人と上手くやっていけない自分を嫌ってしまいます。それを誰かに知られるのもすごく怖いし嫌です。こんな自分の短所も、HP等に書いてあるように”愛される魅力・誰かが役に立てるポイント”や”長所”にもなりうるものになるのでしょうか?

カウンセラー
大塚亘
kirinさん、はじめまして。

今回担当させていただきます、大塚亘と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

まず気づいていただきたいのは、実は、kirinさんは、

「集団の中で、みんなと仲良くしたい」

と思っているということです。最終的には、これが長所になると思います。これを詳しく
説明いたしますね。

もし、人付き合いが苦手というか嫌いで、一人でいることが好きで、そして、一人で
いることに寂しさを感じるどころか、楽で一人が本当に大好き!という人は、そもそも、

私は集団が苦手だ!

というコンプレックスを持ちません。なぜなら、一人でいることがその人にとって自然で、
何の不満も自己否定もないので、一人でいることが問題にならないからです。

そして、この人は集団を避けますが、そんな自分を否定することもなく、嫌うことも
ありません。このような人が、本物の集団向きでない人になります。

しかし、kirinさんは、集団で上手くやっていけないご自身を、とても否定して
しまっています。ということは、裏を返せば、

私(kirinさん)は、集団でみんなと仲良くしたい!

と思っているということになりますよね。ということは、kirinさんは、本当は集団向きの
人であるということになります。

しかし、現状では、3人以上になると、なんか、ぎこちなくなってしまうようですね。
そのときの心理状態にはいろいろとあると思うのですが、kirinさんの中に、こんな
感覚はないでしょうか。

「こんなダメな自分をさらけ出してしまうと、みんなから馬鹿にされる、攻撃される、
ダメだしされる」

みたいな感覚です。

要するに、kirinさんが、なんらかの理由で、以前からご自身を強く自己攻撃、
自己否定しているために、そんな自分の本性がバレたら周りから攻撃される、
否定されると思ってしまうのです。

もしそうだとしたら、周りにご自身を表現しなくなるのは、ある意味自然な
行動だと思います。

我々人間は、自分はこのような人間だ、という「自己概念」というものを
持っています。そして、kirinさんの自己概念の中に、自分はダメな人間だ、
という思いが入ってしまっているようです。

そして、ご自身が自分はダメだと思っていると、心理学では「投影」といいまして、

「周りの人間も、私のことをダメだと思っているはずだ」

という感じで、自分はダメであるという「心のフィルター」を通して周りを
みるので、周りが自分をダメだと思っているはずだと、「オートマチック」に
感じてしまうのです。

しかし、たいてい、周りの評価は、ご自身が思っているより高いことがほとんどです。

kirinさんの文章の中に、

>輪の中に入れるように気にかけてくれる人がいるときもありますが

とありました。もし、周りの人も、kirinさんはダメな人で話したくないと思っている
としたら、輪の中に入れるように気を使ってくれるでしょうか。また、

>一対一で波長の合う人となら何とか付き合えますが

ともありました。kirinさんは、とても謙虚な方で、相手の気持ちをくみ取ることが
上手な方だと思います。

その根拠は、kirinさんが書いてくださった、この部分です。

>一対一で波長の合う人となら何とか付き合えますが、三人以上になるとダメです。
>一人黙ってしまいます。お話上手な人がいて、それに上手く相槌を打って…という
>人がいると、気遅れしてただ何も言わずそれを眺めているような感じで、完全に
>浮いています。

この状況の時に、kirinさんは自分を表現することを迷ってしまうわけですが、
同時に、上手く話したり、上手く相槌を打つ人をみて、相手がどんな感じなのかを
みているはずです。

>一対一で波長の合う人となら何とか付き合えますが

一対一の時は、相手はkirinさんしかいませんので、逃げずに話すわけですが、
その中で、しっかりと、「波長が合う」ということをつかんでいらっしゃいます。

これは、相手をみていないとできないことです。

自分に自信がなくて自己否定が強いと、人と距離を取りがちになりますが、逆に、
そのような人が人と接するときは、自分に自信がないために、今度は、180度
ひっくり返る感じで、

「相手の状況を無視して、気持ちをくみ取ることなく、自分勝手に話してしまう」

ということが多いのです。これは、「玉砕」とか、「自爆」、「自暴自棄」という
感じの、相手を無視した話し方になります。

しかし、kirinさんはしっかりと、「波長が合う」ことをつかんでいます。
これが、kirinさんが相手の気持ちをしっかりとくみ取っている証拠です。

よって、相手の気持ちをくみ取れるkirinさんは、そもそも本来は、人づきあいが
上手いはずです。

そして、冒頭に述べさせていただいた通り、kirinさんは、集団でみんなと仲良く
したいという願望をお持ちなので、最終的には、集団でいることが楽しいという人に
なるかもしれません。

さて、それでは、これからどうしたらいいのでしょうか。今まで述べてきたとおり、
本当の問題は、集団での話し方というようなテクニック論ではなく、

kirinさんが、なぜかご自身のことをダメだと誤解

してしまっていることだと私は思います。念のために書きますが、本当の問題は、
kirinさんが客観的にダメであること、ではないですからね。

本当はダメではないのに、kirinさん自身が、自分はダメだと勘違いしてしまっている

ということなのです。つまり今の時点で、そして以前から、kirinさんは素晴らしかった
というイメージです。

ご自身がダメであるという誤解を解いていけば、ご自身を表現することに抵抗感が
少なくなっていき、もともと「波長の合う」人が現にいるわけですから、そのような
波長の合う人と、一対一でも集団でも、楽しく人間関係が築けると思います。

そして、ご自身を表現することに慣れてくると、周りにkirinさんの魅力が伝わりやすく
なります。kirinさんが包み隠さずにご自身を表現すると、こういう感じになります。

「kirinさんと波長の合う人が近づいてくる」

これは、友達関係でもそうですし、男女関係でも同じです。つまり、kirinさんが
ご自身を表現すると、kirinさんと波長の合うパートナーが現れやすくなるのです。

これは、とても素晴らしいことだと思いませんか?

なぜご自身が「ダメだと誤解し始めてしまったか」については記載がありませんので
分からないのですが、いずれにしても、本当の問題は集団が苦手なことではなく、
本当はダメではないのに、小さいころから、なぜか、ご自身をダメだと誤解して
しまったことにあると思います。

お母さんのお腹から出てきた瞬間に、

「私はダメな子でちゅ~」

と、自己攻撃する赤ちゃんはいません。ですから、誤解を生んでしまった何かが、
必ずあるはずです。

この誤解の部分を、もしよければ、カウンセリングを使っていただいて、解いて
いただければと思っています。

読んでくださり、ありがとうございました。

大塚亘

この記事を書いたカウンセラー