コミュニケーション

相談者名
しょう
私の家庭は借金やギャンブルや愛人を繰り返す父親と親族や子供の為に借金返済したり問題を解決に明るく奔走する母親と異父合わせて五人兄弟です。
小さい頃から、何となく家庭の重圧を感じたり、頭ごなし我慢をさせられたりということもあり、大人しくも素直に明るく過ごしてました。
しかし、中学生になるころに周りの大人達の世間体の冷たさや、それに影響を受けた友人の態度の変化や成長に自分が対応できなくなり、登校拒否になりました。
それから、ほぼ1人で過ごした思春期でしたが、高校生になり心機一転して学校生活をはじめ、勉強や部活動に励んでましたが、認知症の祖母の介護をすることになり、膨らむ借金と転職を繰り返す父親に、家庭内が不安定が、続きます。
進学も諦めることになりました。
今まで父を慕う弟達には不安にさせないように家庭問題も母親と一緒に努めてました。
ですが、ついに父親と対峙することになります。
家出をして約7年間、体を張り、または汚ないこともして懸命に暮らしてきました。
大病も患いました。
そんななか、心の優しい相手とも廻り合いました。
離婚した母親の元に戻り、新たに進学を目指して頑張っています。
そこで、こんな経験をしている私は、一般社会との繋がりが少なかったために、仕事上では付き合いが良好でも仕事仲間との個人的なコミュニケーションが上手くないです。
どうしても相手に興味がもてないです。
繕う会話は虚しさを感じて嫌になります。
また、深く繋がろと思うとセックスに走ってしまいます。
年齢も重ねて考えることですが、周りの経験を積んだ社会人と同じように、今からコミュニケーションを学ぶには、どうしたらよいでしょうか。
カウンセラー
三島桃子
しょうさん、はじめまして。今回担当させていただく三島桃子と申します。どうぞよ
ろしくお願いいたします。

しょうさんはいろいろなことがある中で、その時その時自分にできる精一杯のことを
してこられたのだと思います。しょうさんの次の一歩のために役立つヒントを見つけ
たいですね!

今しょうさんは進学を目指して勉強中で、お仕事もされているんですね。出会った心
優しいお相手ともお付き合いをされているご様子です(ご相談文からそう推察したの
ですが、間違っていたらすみません)。これまでの人生の中では、一番落ち着いた
日々を送っておられるのではないでしょうか。

そんな今、しょうさんが気になっているのが、コミュニケーションの問題なんです
ね。仕事仲間との個人的なコミュニケーション、そして、おつきあいしているお相手
とのコミュニケーションに関しても考えるところがあるようです。

仕事上での付き合いは良好なのに個人的なコミュニケーションになると上手くいかな
いというのは、例えば仕事以外のプライベートな話をするのが苦手、とかそういった
感じでしょうか。相手に興味を持てなければ会話ははずみませんし、そこを無理して
取り繕って会話をつないでも、心はどこか虚しく、妙に気持ちが疲れてぐったりした
気分になったりするものです。

そんな感じだと、仕事の後で飲みに行ったり、休日一緒に遊びに行ったりしても、何
を話せばいいのか、また、どうふるまえばいいのかわからなかったりするかもしれま
せん。そうすると付き合いそのものが苦痛になってきますよね。

しょうさんは「一般社会とのつながりが少なかったため」にそうなっていると考えて
いるんですね。確かにそれも原因のひとつだと思います。人は経験の積み重ねの中で
いろいろなことを学んでいきますから、一般的なコミュニケーションの経験が少ない
ということは、「どうすればいいのかわからない」ということにつながると思いま
す。

同時に、経験以外の要因もあるのではないかと思います。それは「感覚」の問題で
す。

しょうさんのように苦労を重ねてきた人から見ると、今の日本社会で一般的に生きて
きた人たちというのは恵まれた苦労知らずに見え、そのことに複雑な感情を抱くこと
があります。それは例えて言えば、生まれた時から銃弾が飛び交うような紛争地域で
緊張と恐怖にさいなまれながら暮らしていた人が、ごくごく平和な国にやってきて、
平和に暮らしている人々を見た時に感じるような「違和感」です。

このあたりまえの平和こそ、自分が求めてやまなかったもの。それは頭ではわかって
いるのですが、心の中には複雑な気持ちが湧いてきます。

「君たちはずっと平和に暮らしてきていいよな、僕の味わってきたみじめさや苦し
み、恐怖など、君たちにはきっとわかってもらえないだろうな」

「僕は君たちとは別世界の人間だ。のんきに生きてきた君たちとは違う」

あえて表現するとこんな言葉になるかと思います。これは一言で言えば、「自分は他
の人たちとは違う」という感覚で、「特別意識」と呼ばれます。この感覚があると相
手と距離ができますし、距離ができれば遠い存在になるので興味も持てなくなりま
す。けれども表面上はその距離を相手に感じさせないようにと振る舞い、適当に相手
に合わせた会話をして取り繕う。自分のハートが動くような会話ではないですから、
虚しくなるのも自然なことです。

そして、誰ともつながれない寂しさが募ります。セックスは物理的に相手とつながる
という面があるので、「つながりたい気持ち」を束の間満たせるような気がするので
す。おそらく、恋人との間にも実はどこか距離があるのではないでしょうか。

仕事仲間や恋人と本当のつながりを持つことができると、自然に心地よいコミュニ
ケーションがとれるようになると思います。プラス、経験を重ねていくことで、コ
ミュニケーション力は磨かれていくことでしょう。

では、本当のつながりを持つためにはどうしたらいいのでしょうか。

大切なことは、「自分は人とは違う」という感覚を切り替えていくことです。自分は
子どもの頃から大変な経験をしてきた。みじめさも苦しみも嫌というほど味わった。
でもそれは、自分が人と違う人間だからではない。誰でも同じような状況に置かれれ
ば、同じような気持ちを味わうんだ。

そんなふうに考えることはできるでしょうか?

また、もしも子どもの頃から穏やかに暮らすことができていたら、自分も他の人たち
と同じような感覚でいたんだろうな、他愛ない話を楽しそうにして、自然に周りとつ
ながりながら人生を送っていたんだろうな、という感じで考えてみた時、幸せそうに
生きる自分をイメージできるでしょうか?

人はみんな、根っこのところは同じようなものです。しょうさんと他の人たちの間に
は、根本的なところでは何の違いもないのです。そのことがすっと納得できればぐっ
と気持ちがラクになりますし、何か抵抗感を感じる場合は、その抵抗感の中身を足が
かりにして心を解きほぐしていくことができます。

特別意識を手放し、対等感覚を持つようになること。それがしょうさんのコミュニ
ケーションの質を大きく変えることになると思います。

しょうさんのこれからを応援していますね!
ご相談ありがとうございました。

三島桃子

この記事を書いたカウンセラー

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