友達との係わりかた

相談者名
チカ
私には苦手としている女友達(Mさん)がいます。
2ヶ月前くらいから苦手と感じ始めました。きっかけは、Mさんが私に、彼女の男友達(Y君)を紹介してくれたことです。紹介されたときは、何も思わずY君とメールをしていました。しかし、もともとY君とMさんがメールをしていたのですが、MさんはY君が嫌いでメールをするのも嫌だからと私にY君を紹介したみたいです。しかもその頃、私は彼氏と別れて長く引きずっていたため、私に紹介するには丁度いいと思ったみたいです。このことは、Mさんが他の友達に話していたらしく、その友達が私に教えてくれました。それから、私はMさんに対して不信感や警戒心を抱くようになりました。
また、私とMさんと男の子2人で飲み会をやった時の事ですが、会計の時に私と男の子2人で払い、Mさんはお金を出さないのです。Mさんだけ払わずに不公平だと思い、Mさんに払ってほしいと伝えました。しかし、Mさんは納得できない様子で「何で?チカも払わなくてよかったんだよ。」と言われました。Mさんは普段「男が奢って当然」と言うような人です。しかし、私は「平等に割り勘」という考えなので、Mさんの言い分に納得できませんでした。しかも、その飲み会の後Mさんは1人暮らしの自分の家に男の子2人を泊めたそうなのです。私以外の3人は1人暮らしなのですが、私は実家暮らしなので親から「早く帰って来い」と連絡があり、3人より早く帰ったのです。その後Mさんに「みんなちゃんと家に帰れたかな?」とメールしたら「みんな終電で帰ったよ」と返ってきました。しかし、その数日後に男の子の1人と電話をしていたときにMさんの家に行ったということを知りました。彼が言うには、Mさんが酔ってテンションが高く、帰してくれなくてそのうちに終電を逃したそうです。しかもMさんに「チカには終電で帰ったと一緒に嘘つこう。」と言われたそうです。私は正直に言ってくれればよかったのにと思う反面「なんで最初から嘘をつくという考えしかないのか。」と頭にきました。
他には、大学の文化祭の片付けの時に「急用ができたから行けない。」と言いつつ、彼氏と遊びに行ってた事を他の友達を通じて知りました。
私は、今までの事からMさんに対して不信感しかありません。彼女と話していても「また嘘をつかれるのでは。」と構えてしまいます。
私は、これからMさんに対してどう接すればいいでしょうか。
カウンセラー
池尾昌紀
チカさん、こんにちは。
池尾昌紀と申します。ご相談ありがとうございます。

お友達のMさんは、チカさんに対して嘘をついたり意地悪をしたりと、チカさんを困らせることばかりされておられます。
こうしたことをやってしまうMさんの心理状態はどうなっているのでしょうか。

ちょっと想像していただきたいのですが、もし、Mさんがお金もたくさんあって、パートナーにも恵まれて、みんなから慕われて、将来の成功も約束されているような、「幸せいっぱい夢いっぱい」の状態だったとしたらどうでしょう。
チカさんに対して、そんな行動を取ったりするでしょうか。
たぶん、嫌なことをしたりはしないでしょう。
最高に気分がいい時、人は、誰かを攻撃したり、困らせたりするような気持ちにならないですよね。逆に、ちょっとくらい嫌なことをされても、笑顔で返すことができたりします。
ずっと大好きだった彼と初めてのデート!という時に、道で誰かにぶつかられても、気にならないですよね。でも、彼に振られたと落ち込んで帰っている時に、すれ違った誰かの肩がぶつかってきたら、ものすごく腹が立ったりします。
ということは、Mさんは「幸せいっぱい夢いっぱい」ではないということです。
逆に、とても辛い思いや心の傷などがあって、困らせる行動を取ってしまうといえるのではないでしょうか。
このように、誰かを困らせてしまう行動を取るという心の裏には「痛み」が隠されていると言われます。

この「痛み」にはいろいろな種類があるのですが、その中のひとつに「もう傷つきたくない」という思いがあります。
これは仮定の話ですが、もしかしたらMさんは、愛してもらえなかったという心の傷があり、そのために「もう傷つきたくない」という「痛み」を抱えている人なのかもしれません。
例えば、幼少の頃に両親から愛してもらえなかったという思いがある人は、自分には愛される価値がない、誰からも愛されないにちがいない、という思いを心の中に作ってしまいます。
こんな思いを持っていたとしたら、それを感じるのはとても辛いですよね。
これが「もう傷つきたくない」という「痛み」の元です。
心の奥底に作られたそうした思いは、成長しても、そのまま残ってしまいます。

「もう傷つきたくない」という思いは、自分が愛されていると感じていないと不安になる、という思いを生むことがあります。
それは時に、自分の周りの人で、自分よりも魅力的な人を排除しようとする行動を取らせるケースがあります。
自分より魅力的な人が近くにいたら、その人のところにみんな行ってしまう、私のことを見てもらえない、愛してもらえない、と思ってしまうのですね。
だから、その魅力的な人に対して困らせたり意地悪をしたりしてしまう。
でも、それは、言い方を変えれば、その人みたいに魅力的になりたいと思っている、うらやましいと思っているということでもあります。つまり、その人に魅かれているんですね。

もしMさんが以上のように見てきたような心理状態であるとするならば、その魅力的な人、というのは、チカさん、あなたということになります。
その魅力は、外見的なものかもしれない、あるいは雰囲気が素敵とかいうことかもしれません。一番大きなものは、チカさんの心の中にあるもの、例えば、自信やきちんとした行動、周りからの信頼などを感じているのではないでしょうか。
チカさんは他の友人からあなたの魅力として、そんな価値を認めてもらったり、言われたことはありませんか?
Mさんは、それをとても魅力に感じていて、本当は欲しくてしょうがないのだけど、自分にはなくて手に入らない、と思っているのではないでしょうか。

でも、Mさんのやり方ではうまくいきませんよね。愛されたいと思っているのに、周りを落としてしまうようなやり方では、愛されるようになれないし、そういう人は魅力的になれません。
けれど、そういうやり方しかできないほどに、Mさんは傷ついていて、自分は愛されるはずがないと思っているのかもしれないのです。

Mさんには心の奥底に大きな痛みがある、そのことを頭の隅においておくこと、何かあれば、それを思い出すことは、Mさんの言動に対して、今よりも腹をたてるずにすむ役に立つと思います。

ところで、僕がチカさんのご相談を読んで、最初に気になったことを書かせていただきたいと思います。
それは、チカさんは、どうしてこんなに辛い思いをしてもMさんとつきあっていこうとするのだろう、ということでした。
学校のクラスやサークルが同じなど、状況的につきあっていかなければならない事情があるのかもしれません。
けれど、例えそうだとしても、Mさんはああいう人なんだから気にしないでおこうと決めて、形だけのつきあいをしていってもいいはずです。

実は、チカさんの中にも、Mさんが抱えているような、あるいは感じているような思いがあるから、気になってしまうのではないでしょうか。
Mさんのキャラクターは、言動は誉められたものではありませんが、魅力という視点でみたら、自由、天真爛漫、異性に対するオープンさ、と表現できそうな要素が見え隠れしているように思います。
もしかしたら、チカさんはMさんの中に自分にない魅力を感じているのかもしれません。
そうだとしたら、Mさんの心の中を見てきた視点で自分自身を見てみることで、今まで感じたことのなかった自身の心の中に隠された思いに気がつくことができるかもしれません。

苦手な相手との付き合いの中には、学ぶべきことがたくさんある。
また、それを乗り越えて、その人と真にわかりあえた時には、自分を助けてくれる存在になる。
そんな言葉があります。
Mさんとの出会いは、チカさんにとって大きな意味があるのかもしれません。

最後に、Mさんとの接し方を楽にする方法をもうひとつご提案させていただきたいと思います。
それは、周りの友達でチカさんの力になってくれる人の助けを借りる、ということです。
チカさんにとって苦手なMさんでも、お友達の中には、Mさんを苦手にしていない人、Mさんが頼りにしている人がいるかもしれません。こうした友人に相談したり、Mさんと行動する時には、そうした友達と一緒にいるようにしたりして、中に入ってもらうのです。
ひとりで悩みを抱えるのは大変なことです。
チカさんは、Mさんのことだけでなく、いろいろなことを一人でがんばろうとして苦労されておられませんか?
なんでも一人でやろうとすると大変です。そして、ひとりで解決する必要はないのです。
お友達の力を借りて、少しでも楽におつきあいできるようにしてはいかがでしょうか。

今回のご相談が少しでもチカさんのお役に立てたら、これほど幸せなことはありません。
ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。