妻が子供を欲しがりません

相談者名
カズ
初めまして。31歳会社員 結婚2年目 妻32歳会社員です。
私は子供が欲しいと思っています。しかし、妻は、元々マイナス思考な性格の上に、子供のことに関してはさらに不安感が強く、子供を持つことに対するポジティブなイメージが全くないという状態で、子供は欲しくないと言います(ネガティブなイメージしか浮かばないようです)。

不安の具体的な内容は以下のようなものがあります。
・子育てが自分に向いていないかもしれない
(虐待してしまうかも知れない)
・仕事と育児の両立が大変で辛い思いをするかもしれない
(今のままでも大変なのに、さらに夜泣き等で仕事に
弊害が出るかもしれない)
・保育時間が長い保育園や学童保育に入れないかもしれない
・出産で自分の体に生涯治らない後遺症を負うかもしれない。
そうなったら、その後の人生が辛そう
・出産、子育ては後戻りができない
等々きりがないほどです。

これまで傾聴型のカウンセリング(妻が話す不安に対して、大丈夫、心配いりませんと言ってもらっている感じです)を妻と一緒に5回ほど受けましたが、上述の不安が無くならず、堂々巡りの状態です。改善の傾向が見られていません。

そこで、下記の点についてアドバイスをお願いします。
①妻の不安をどうしたら軽減・取り除けるでしょうか?
②どのようにしたら子供を欲しいと思ってもらえるでしょうか?
③貴カウンセリングルームでは、どのようなカウンセリングを
行って頂けますでしょうか?
(傾聴型のカウンセリングでは上手くいっていないので、
少し具体的な方法を教えて頂けると幸いです)

私は、子供が可愛いと思っているので、妻には子供を産んでもらい、一緒に子育てをしたいと思っています。

長くなり申し訳ありませんが、アドバイスよろしくお願い申し上げます。

カウンセラー
池尾昌紀
カズさん
池尾昌紀と申します。
ご相談ありがとうございます。

カズさんのご相談内容は、僕自身が経験したことに近いものでしたので、とても共感を持って読ませていただきました。
ただ、立場が逆で、僕の場合は、妻が子どもが欲しいのに、僕が子どもが欲しくない、という状況でした。

今でこそ、僕はカウンセラーとしてお話を伺わせていただいていますが、以前はカウンセリングを受けていました。

僕の場合は、別の問題があってカウンセリングを受けていたので、子どもが欲しくないという内容で受けていたわけではありません。
ですが、その中で子どもが欲しくない理由に気がつくことができ、それを癒すことで、その後、子どもが欲しいと思うようになり、今では二人の子どもを授かることができました。

ですから、僕にとっては、カウンセリングを受けて得た財産は子どもを授かったことだと思っています。

そうした僕自身の経験をお話することが、カズさんのご質問にお答えすることにつながると思い、書かせていただきたいと思います。

カウンセリングを受ける前の僕の子どもが欲しくない理由というのは、以下のようなものでした。

・昔から子どもが苦手で、自分の子どもを育てる自信がなかった。
・子育てで、自分の時間が割かれるのがいやだった
・子育てに失敗したら、後戻りができない。
・どんな風に育てて、どんな学校に入れ、どんな就職をさせていくのかが心配。
・その子の人生を背負う事が自分にできると思えなかった。

等です。

こうした子育てに対するネガティブな思いを持っていたために、子どもが欲しくないと思い続けていたのです。

ところが、カウンセリングをしていく内に、出て来たのは、全く違う自分の気持ちでした。

心というのは、何層にもなっていると言われます。
一番表に出て来ている層が「子どもが欲しくない」であったとしても、その下の層を深く見つめていくと、全く違った気持ちの層にたどり着いていきます。

僕の場合は、子どもが欲しくないという気持ちの奥底にあったものは、「自分のことが大嫌い」という気持ちでした。
心理学では、自分のことが嫌い、価値がないという思いを無価値観と呼びますが、

この無価値観が、子どもを欲しくないと思う元になっていました。
先にいろんな理由で子どもが欲しくないことをのべましたが、どれも、正当化しようと作り出していたようなもので、本当のところは、無価値観にあったんです。

無価値観が「自分のように価値がない人間をこの世に送り出したくない」という思いを生み、だから、子どもは欲しくない、という気持ちを生み出していたのです。

子どもが欲しくない、ということだけでなく、自分が抱えているのあらゆる問題の元が、この心の奥底にあった「自分のことが大嫌い」つまり無価値観だったのです。

こうしたケースのカウンセリングには、いろんな手法があるのですが、まずはその原因を探ります。
これは、どの問題にも当てはまるのですが、今ある問題というのは親との関係にそのルーツがあることが多いのですね。
そのため、まずは、自分の生い立ちから今日までの自分の歴史をカウンセラーが丁寧に聞いてくれ、整理してくれました。

自分の生まれてから今までの話を誰かにきちんと話す機会というのは中々ないものです。
それだけでも、自分という人間がどんなものなのかを知り、あの時のあの出来事が、あの気持ちが今の自分を作ったのかもしれない、というような、今の問題につながるヒントが隠れていたりします。

次に、その中で特に心に引っかかっている出来事や思い出について、丁寧に分析し、必要な場合は心理療法(セラピー)等を使って、癒していきました。

僕の場合は、簡単に言いますと、親が自営業で大変忙しく、あまり面倒を見てもらった記憶がありませんでした。
この思いが、自分が愛されていないという思いを生み、そんな愛されていない自分は価値がない、というところに至っていたのです。

一番最初にやったのは、小さい頃に寂しい思いをしていた、そんな自分自身に会いに行き、自分を抱きしめていたわってあげるという、「インナーチャイルドワーク」と呼ばれるイメージワークでした。
目を閉じて、頭の中で小さいときの自分を想像し、イメージをふくらませて、その中で自分と向き合っていくという手法です。

最終的には、自分が愛されていないという思いは、自分の誤解だった、というところにいきつきました。
子どもを愛していない親はいません。
親には親の事情があり、実は愛していたのだ、というところが腑に落ちると、その時には僕の持っていた無価値観は随分癒され、愛されていた自分には価値があるのかも、という思いがでてきて、そんな自分にも子どもがいてもいいのかも、と思うようになったのです。

カウンセリングを受けていく中で、こうした無価値観を持った自分を助けて欲しいと願っていたこともわかりました。
全く気がついていなかったのですが、自分には価値がないと思いながら、一方で、自分を助けて欲しいと強く願っていたのですね。

この願いは、もうひとつの子どもが欲しくない理由になっていました。
それは、「自分と同じ苦しみを味わせたくない」というものでした。

癒しが進んでいき、自分の苦しみが減っていくと、自分も楽になれたのだから、子どもも苦労しなくてもいいのかも、という思いを生む事になったのも、子どもがいてもいいという思いにつながりました。

以上、僕自身の例を使って、どのようにカウンセリングを進めていくかを簡単に説明させていただきました。
この僕自身の体験についてもっと詳しく知りたいと思っていただけるのでしたら、その体験を書いた「カウンセリングの実際~幸せなパートナーシップへの道~」をご覧いただけたら幸いです。

ただ、実際のカウンセリングには、ケースバイケースですので、このような流れとは違うものになることも多いです。

カウンセリングサービスのカウンセリングは、提案型というスタイルで、最初にじっくりお話を伺い、心理分析を使って心の中を整理したり良くなるための提案をさせていただき、さらに必要に応じて心理療法(セラピー)を使って癒しを進めるというものです。
当社のカウンセリングについては「面談カウンセリングの詳しいご案内」ページを、また、実際にどのように面談カウンセリングが進行していくのかを具体的なケースを紹介しております「カウンセリングの実際」ページをご参照いただけたらと思います。

これはあくまで僕自身のケースですが、奥様も同じように「自分には価値がない」という思いを持っておられることが、子どもを欲しくないという理由なのかもしれません。

ということは、子どもが欲しくないという問題以外にも、ご自身の人生を生きていく上で、いろいろな辛い思いをされておられるのかもしれません。
当社のカウンセリングのスタイルについて簡単に説明させていただきましたが、もしご利用いただけるようでしたら、そうしたいろんな問題についても、解決していくヒントをご提供できたらと思います。

さて、最後に、是非、ご紹介させていただきたいことがございます。
再び、僕自身の話で恐縮ですが、子どもを僕たち夫婦が授かった後に、僕の奥さんが言っていた話です。
最初に書かせていただきましたように、僕の奥さんは子どもが欲しいと思っていたのですが、僕がカウンセリングを受け、カウンセラーになるために心理学を学び始めた後、奥さん自身もその学びを始めました。
その中で彼女自身が気がついたという話です。
それは、「私は子どもが欲しいと自分では思っていたけど、心の底では、子どもができないことを安心しているところがあった」ということでした。
彼女曰く、「実は、私も自分のことが嫌いで、無価値観に苦しんでいた。そのことを、あなたのせいにすることで、気がつかないようにしていた」と。

繰り返しになりますが、これはあくまで僕たち夫婦のケースです。

けれども、もしかしたら、カズさんご自身の中にも、奥様が持っておられる悩みと同じ悩みが、あるいは、奥様とは違う、別の気がつかない部分が眠っているかもしれません。
そうした視点でご自身の心の中を見て、自分の心の本当のところに光を当てた時に、今まで全く思っても見なかった部分が見えてくるかもしれません。
その時に気がついたことが、ご自身を、ご夫婦を変えていくことになるかもしれません。
僕たち夫婦がそうであったように。

もしよかったら、奥様だけでなく、ご自身の心にもご興味を持っていただけたら、そのことも問題を変えていくヒントになるかもしれないと思います。

ご相談ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。