可愛そうな人が好きな人

相談者名
きく
はじめまして。HPを見て、勉強させていただいています。今日は、上記のことについてどうしても分からなくて、投稿させて頂きました。
相手の人は私より30歳近く年上です。十数年来のつきあいになりますが、私が弱っているときによく接したがります。かわいそうな状況から私が復帰すると、用なしとも言わんばかりに、そっけない態度に変わります。そして、次のかわいそうな人の所に行くのです。
助けてくれる間は、本当に定期的にメールがありますし、文章も優しいです。ただ、二人きりで会うと他人の文句ばかり聞かされることになり、本当に嫌です。いつかは、その人がいつも車に乗せてもらっている人について『ダメダメ!』と言っていたので本当に怖くなってしまいました。
私が目立った立場にいったときは、見るからに避けていて、本当に悲しかったです。今まで利用されていたような気がしました。
本当はもう会いたくないのですが、恩を仇で返すことになるのではないかと思い、悩んでいます。
私はアダルトチャイルドだと言われたことがあり、今は不安性障害を患っています。相手の女性は母親が二人いるという複雑な家庭に育ったようです。
ご指導よろしくお願いします
カウンセラー
大谷常緑
きくさん、こんにちは。初めまして。
ご相談を担当させていただく大谷です。
いつもHPをご覧いただきありがとうございます。

さて、先ずはその相手の方の心の動きからお話したいと思います。
その相手の方は、自分の存在価値に十分に自信がない方のように見受けられます。
気持ちの問題を抱えて弱っている人を見つけると、その人を一生懸命助ける事で
自分の存在価値を自分自信に認めさせようとされているようです。
そして、その人が元気を取り戻されると、自分がその人に関わっても自分の存在
価値を認める事が出来ない、場合によっては自分がこれ以上関わると相手に対し
て迷惑を掛けてしまうとさえ思ってしまい、離れていくのです。そしてまた、自
分の存在価値を感じられるような人を捜してその人に関わっていくのです。
このような心理パターンは、ほとんどの場合、その人が子供の頃体験した感情か
ら生まれてきます。
その方にはお母様が二人いらっしゃるとのこと、詳しい事情や状況がよくわかり
ませんので断言はできませんが、ひょっとするとどちらかのお母様を助けたかっ
たけれども助けられなかったと感じられた経験があって、自分は力不足で不十分
であり、存在価値がないと思ってしまわれたのかも知れません。
そうすると、誰かを助ける事でその失敗の経験を帳消しにし、自分は十分で存在
価値がある人間とご自身で認める事ができるはずなのですが、そこには自分は不
十分で存在価値がないという強い自己嫌悪が居座っているので、十分に自分の存
在価値を認める事ができない状態が継続して、また新たな人をターゲットに同じ
行動をとってしまうのです。
これは、そのお相手の方が必ずしも頭で考えてやっておられる事ばかりではあり
おません。
私達の中で大きな力を持つ無意識の世界がそうさせているのです。

心理パターンは、心の癖です。癖は変える事ができるのですが、一朝一夕には変
わりません。でも諦めることはありません。変えようと決意する事で少しずつか
も知れませんが変化が生まれてくるのです。

また、その相手の方が誰かを非難するという行動についてですが、一般的に、そ
の人が自分以外の外の世界(誰かや何か)にやっている事は、自分に対してやっ
ている事と理解されるとよいと思います。
例えば、自分に優しくしている人は、心に余裕があるので人にも優しくできます。
自分に厳しくしている人は、心に余裕が無くなって、人にも厳しくなります。
従って、その相手の方は、人の事を駄目だと言っておられたのですから、(同じ
内容ではないかもしれませんが)いつも自分に駄目出しをしているという事にな
ります。
不十分な自分を感じておられる方ですから、何かにつけ自分に駄目出しをしてお
られる事は理解いただけるのではないでしょうか。

このように、人は自分の意識・無意識の事情で様々な行動をとります。
その行動に対して、どう感じるかもまた、感じる人の意識・無意識の事情による
のです。

さて、次にきくさんが直面しておられる問題をみていきましょう。
先ずは相手の方が人を非難するのが嫌だと感じられていますが、これは、きくさ
んがご自身に同じような事をする事を禁止されている(「いい」「悪い」の判断
をされている)ところから出てきています。
一つの方法は、その相手の方にもそうする(そうせざるを得ない)事情がある事
を理解して、そんな状況から早く立ち直られればいいなぁと思ってあげる事です。
そうすると、きくさんの気持ちは楽になると思います。
次に、相手の方が元気になったきくさんから離れていってしまう問題ですが、確
かにきくさんはこの事によってとても切なく寂しい思いをされる事だと思います。
しかし、相手には相手の心の事情があるのです。そしてこれが実はその相手の方
がはまっている心の罠でもあるのです。
これも、早くこの罠から相手の方が抜けられるといいなぁと思ってください。
「利用されている」感覚も、この思いの中で解決される事と思います。
これは、自分の痛みをみるのではなく、相手を見るという事です。
私達は、とかく自分の痛みをみてそこにばかり神経を集中してしまいますが、そ
うすると痛みは余計に強くなります。
自分の痛みから目を上げて、人を見たり、周りを見たりすることで、実は自分の
痛みから解放されて人の事が理解できたり許すことが出来たりするのです。
もちろん、すぐに出来ないかも知れません。
でも、少しずつで結構ですので、そうしようと思ってください。

最後に、相手の方にもう会わない事が恩を仇で返す事になるのではないか、との
思いを抱かれている事についてですが、決してそんな事はありません。
ここはきくさんの今の気持ちを大切にしてください。
私達人間は人間ゆえに完璧ではありませんから、出来ないこともあるのです。
今、とても大切なことは、きくさんがご自身を大事にしてあげることです。
そうしないと、きくさん自身がまいってしまって、そのお相手の方がきくさんに
元気になって欲しいと思われた気持ちにも応えられない結果となってしまいます。
ここは、もともとお相手の方が望まれたように、きくさんが辛い状況に無理をし
て居続けないことです。
また、機会があれば、その方とも何らかのご縁ができると思います。

回答がお役に立てれば幸甚です。
ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。