人との接し方がわからない

相談者名
ショパン
私は今26才、女性です。小さい頃から人見知りで、人と打ち解けるまですごく時間がかかる子でした。一度慣れると積極的に行動出来る事もあったのですが、思春期あたりからは内向的な性格がひどくなり、親や先生からももっと積極的に発言するようにと言われることがよくあり、私の為に言ってくれているんだろうなとは思っても、自分がすごく責められているようで、勝手に自信をなくし、ますます人の輪に入ることがおっくうになっていきました。学生時代までは本当に仲の良い人としかほとんど接してこなかったので、社会に出てから人間関係をうまくやっていくことが出来ません。ただ自然に自分の感情を相手に伝えて、自然に意思の疎通が出来るようになれれば良いのですが、それがなかなか出来ません。特に職場では自分の意見を言おうとすると、話している途中に声が震えたり、電話や処理をする要件の事で頭がいっぱいになるとすぐ焦り、人の話がすぐに理解できなかったり、質問したいのに言葉に詰まって何が言いたいのか相手に伝えられなかったり、あと周りを見て仕事が出来なくなります。仲の良い友達は私がどんくさくても、笑って許してくれたりするので、安心して普通に話せるのですが、職場ではそんな事は通用しないし、それで余計に変にかしこまってしまうのかもしれません。やっぱり私は対人恐怖症なのでしょうか。こんな風なので、職場では孤立してしまいます。もっと楽しみたいと思っているのに、自分の気持ちをうまく伝えられないせいでいつも周りの人と打ち解けられず、(私の態度では当たり前なのですが)理解が少なく、本当は寂しいです。
父親も無口で口下手なタイプで、よく母親に責められていました。私が小さい頃から母親は父親の悪口をよく言い、私は普通にしているつもりだったのに、母親の機嫌が悪いとあんたもお父さんに似ていると言われたり、変わった子だと言われすごく嫌でした。でもこの年になって自分の性格を親のせいにするのも情けなくなってきました。もっと人との会話を楽しめるようになりたいです。まず何から始めれば良いか考えながらずっと思考錯誤しています。何か解決するヒントをもらえればありがたいです。
カウンセラー
池尾昌紀
ショパンさん、こんにちは。
池尾昌紀と申します。
ご相談ありがとうございます。

自分を表現できないことの苦しみという、切実な思いに、胸を打た
れました。
そんな中で、今回、この相談を送っていただけたことをとてもうれ
しく思います。
ご自分の勇気を、まずは誉めてあげてくださいね。

さて、カウンセリングサービスには、たくさんのカウンセラーがお
りますが、
その中には、元々は、人と話すのが苦手だったというタイプの人が
結構いることを
ご存知ですか?

そうした人たちは、昔は、全くそんな自分になるとは想像もできな
かったと
語っています。

それでは、なぜ、そんな風に変わることができたのでしょう。
実は、それは「変わった」のではないのです。
「もともと持っていた」力を「出せるようになった」のです。

つまり、才能を隠していたわけですね。

では、もしそうであるとしたら、なぜ、隠してしまったのでしょう。

ショパンさんが書いてくださったように、原因のひとつは、幼少期
の家族にあるよう
に思います。
無口なお父さんを責めているお母さん。
そのうちに、ショパンさんも同じように責められていったようです。

でも、ここでちょっと考えていただきたいのです。

もし、ショパンさんが、ハキハキと元気に話ができる子どもだった
としたら、
お父さんはどうなっていたと思いますか?
恐らく、家族の中で、いつまでも無口であることを言われ続けてし
まったでしょう。
お父さんひとりが。

子どもは親を助けたいと純粋に思うものです。
もしそうだとしたら、ショパンさんが自分を表現することを抑える
ことで、
お父さんを救っていたのかもしれない。
そう考えることはできないでしょうか。

では、お母さんはどうでしょう。
心理学では、投影という言葉があります。
これは簡単に言えば、周りの人は自分自身の心の内を写し出してく
れる鏡だ、という
ものの見方です。

例えば、弱い人をみて、なんて弱い奴なんだ!、と怒りを感じる人
がいたとします。
その人は、目の前の人の弱さをみて怒っているのではありません。
自分自身の中に同じようにある「弱さ」を、その人を見ると感じて
しまうから、
それを感じるのが嫌で怒ってしまうのです。

そう考えてみれば、実は、お母さんもまた、自分を表現するのが苦
手な部分を持って
いて、お父さんを見るとそれを感じるのが嫌で責めていたことにな
ります。
普段は、自己表現の苦手さを必死に隠して、そのために、常に自分
を出していたの
かもしれません。

もうひとつ。
怒りは本当の感情を隠す蓋であるとも言われます。
そして、その感情とは、多くの場合「悲しさ」であると言われます。
もしそうだとしたら、お母さんは、お父さんに怒りをぶつける度に
悲しみを感じていたことになります。
恐らくそれは、お父さんを元気に応援してあげられない、自分自分
の非力さへの
悲しみだったのではないかと僕は思います。
そんなに自分を責め続けるなんて、本当はやさしい人だったのでは
ないかと
思うのです。

お父さんも、お母さんも、そしてショパンさんも、みんな同じなのです。
やさしさのあまり、自分を責め、それを表に出すか、内に向けるか
表現方法が違っただけなのです。

「この年になって自分の性格を親のせいにするのも情けなくなって
きました。」
そうショパンさんは書いておられますね。
今が、その思いを変える時です。

「親のせい」にするのではなく、
もしかしてそこには
「何か、しかたのない理由があるのかもしれない」

そう思いを変えるだけで、心がとても楽になります。
その楽な感じが、あなたを縛っている「自分を自然に表現すること
への怖れ」を
解くカギになると僕は思います。

本当に自分が持っている力というものを、一番知らないのは自分自
身です。
そして、それを開花させることは必ずできるのです。
同僚のカウンセラーや様々なクライアントさんの話を聞いていて、
僕はそれを確信
しています。

目の前の人どころか、講座や講演会等で、たくさんの人たちを前に
楽しく話ができる
カウンセラー達のことを、もう一度思い出してみてください。

「ショパン」という名前をつけられた、あなたは、その名前の通り
の方だと思い
ます。

心の底にある思いは、こんな形で自分を表現することだってあるのです。

機会があれば、もう少し深く、このお話をしていきましょう。
ショパンさんの幸せのお手伝いが少しでもできれば、うれしく思います。

ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。