長期化のうつ病  現実逃避

相談者名
夫のうつ病が発症してから8年程が経ちます。
その間に未遂やリスカや大量服薬などがあります。
私には妻という役目もありますが、
子供二人(小4と3才)を抱えながらの夫の見守りは
計り知れないものがあります。
病気だとは言え一進一退の繰り返しで変化のない夫の病状や
子育てに対するストレス、気を使いながらの生活に
自分自身がおかしくなってきてとうとう心療内科にお世話になっている
現状です。
今、夫は朝起こせば会社に行けるものの、生活のメリハリがない
状態です。
3年ほど前からネットゲームにのめり込み、家庭を顧みない
日々もありました。今も現状は続いてますが、本人いわく
現実逃避 ストレスの発散のため  といってますが
私には理解し難いです。
平日も夜中、1時2時頃まで、休日前だと朝方までネットに
のめりこんでる事もしばしばです。
あまりに頻度がひどいのでその度に注意をしてきて
もっと家族の絆やネット外の楽しいひとときをわかってほしくて
私なりに努力を試みてきたのですが、リバウンドしてまた
ネットにこもるような生活に戻ります。
こちらから話をしても自分の意見は内に秘めてしまう性格なので
話し合いもまともにできません。
子供も父親の姿を見てるのであまり近づきたがりません。
先の見えないトンネルの生活と子供への影響などから
距離を置いたほうがいいのではないかとこの頃考えています。
私はこの先、夫とこれからも気を使いながら生活を続けるべきか
距離を置いたほうが子供のためにもいいのか悩んでます。
一度、離婚をかけた話し合いをした時に
夫がネット上で遺書の書き方を検索してたのを見てしまって
それ以来、追い詰めるような喧嘩もできなくなりました。
夫の主治医はあまり家庭内の問題には関与しないたちらしく
途方にくれています。
カウンセラー
近藤あきとし
Iさん はじめまして。
近藤あきとしと申します。
今回はご相談をお寄せくださいましてありがとうございます。
どうぞよろしくお願いいたします。

うつ病のご主人を長い間支えてこられたんですね。
しかも二人のお子さんの面倒も同時に見ながら。
大変なご苦労と負担があったろうと思います。

私がなんとかしなくちゃ、と思ってお一人で頑張ってこられたのでは
ないでしょうか?

> 病気だとは言え一進一退の繰り返しで変化のない夫の病状や
> 子育てに対するストレス、気を使いながらの生活に
> 自分自身がおかしくなってきてとうとう心療内科にお世話になっている
> 現状です。

それは苦しかったですね。
生活の中のちょっとした不満も子育てのストレスも、病気のご主人の
前では言葉を飲み込んでやり過ごすしかないですものね。
Iさんが何気兼ねなく話せる相手や気を紛らわせるような機会も
あまり無かったのかもしれませんよね。
それだけずっと気持ちが張り詰めていたのでは、まいってしまうのも
無理もないことだと思いますよ。

> 今、夫は朝起こせば会社に行けるものの、生活のメリハリがない
> 状態です。
> 3年ほど前からネットゲームにのめり込み、家庭を顧みない
> 日々もありました。今も現状は続いてますが、本人いわく
> 現実逃避 ストレスの発散のため  といってますが
> 私には理解し難いです。

私自身もサラリーマンをしていた時期にうつ病になった経験があるのですが、
1年以上会社を休みまして、その時は生活リズムは破たんしてましたし、
完全に昼夜逆転した生活になっていました。

新聞を読んでも頭が痛くなるしテレビを見ても辛くなってくるので、
やれることといったらインターネットくらいしかなくて、夜中はずっと
パソコンの前にいるような状態でした。

何にも手に付かないし何も出来なかったんですけど、今考えると
何もしていない罪悪感を感じたくなくてとにかく何かしていられる事に
夢中になろうとしていたんだろうと思うんです。

ご主人もネットゲームがどうしてもやりたい訳ではないと思いますよ。
現実逃避と書かれていますが、それもご主人にとってなんとか自分の中で
バランスをとろうとしてやっている事だという気持ちから出た言葉かも
しれませんね。

> あまりに頻度がひどいのでその度に注意をしてきて
> もっと家族の絆やネット外の楽しいひとときをわかってほしくて
> 私なりに努力を試みてきたのですが、リバウンドしてまた
> ネットにこもるような生活に戻ります。
> こちらから話をしても自分の意見は内に秘めてしまう性格なので
> 話し合いもまともにできません。

Iさんなりに一生懸命ご主人に働きかけてこられたんでしょう。
リバウンドというのもきっと1度や2度ではなかったでしょうね。
それでもご主人がネットの方へ戻ってしまうと、やっぱり傷ついた
でしょうし、時には裏切られたような気持ちになったかもしれませんよね。

うつ状態になり易い人は、真面目で他人に気を使うことが多くて、
それでいて頑固で融通がきかないという人が多いように言われていますが
(私の場合は全て当てはまりますが・・・)ご主人もそのような面を
お持ちなのかもしれませんね。

カウンセリングをしていて、そのような方たちのお話を聞くことも良くある
のですがみなさんに対して感じるのが、どの方も何らかの罪悪感を抱えている
という事なんですね。

どんな罪悪感かというとそれはその方の生きてきた人生によって様々なので
これです、と言うのは難しいのですが共通して言えるのは「過去における
つまづいた愛情の欠片」のようなモノという事です。

誰だって大切な人には幸せでいて欲しいと思いますし、笑顔でいて欲しいと
願いますよね。でもそれが上手くいかなかった時、願いがかなえられなかった時
その挫折や失敗感が罪悪感になって人を苦しめるんですね。
「もしこの人がそんな事を感じていたのだとしたら・・・」と考えてご主人の事を
見てるみるだけでも、ご主人への見方が少し変わるかもしれませんからね。

また、その失敗感からご主人は自分を責めて追い込んでその反動で、
問題を繰り返して「こんなオレでも一緒にいてくれるのか?」と
(無意識的に)悪い子を演じているのかもしれません。

メールの文面からだけではご主人がどんな罪悪感から今の態度をとっているのか、
そもそも罪悪感を抱えているのかも確かなことではありませんが、私の感じる
可能性でお話をさせてもらいました。

> 先の見えないトンネルの生活と子供への影響などから
> 距離を置いたほうがいいのではないかとこの頃考えています。
> 私はこの先、夫とこれからも気を使いながら生活を続けるべきか
> 距離を置いたほうが子供のためにもいいのか悩んでます。

Iさんは本当に疲れてまいってしまったんだと思うんですよね。
それで、もう無理なんじゃないかな、という所まできてしまったのでは
と思うんですよ「もういっぱいいっぱいでこれ以上は支えきれない」
という所まで。

実際8年もの間病気のご主人を支え見守りながら、お子さんの面倒も見て
という生活の辛どさ我慢と感じてきたストレスはIさんにしか分からない
ものだと思います。

そしてその気持ちを受け止めくれる誰かもいなかったのではありませんか?
だからこそ辛い気持が積もり積もって限界を感じるようになってきたのでは
ないでしょうか?

一度詳しくお話を聞かせて下さいませんか?

Iさんの抱えてきた辛い気持ち、誰も分かってくれないんじゃないかと
思って心に閉じ込めてきた想いとご主人に気を使って飲み込んできた言葉を
私たちに打ち明けてみませんか?

溜め込んできた感情を吐き出すことが出来ると人間てホッとするんですよ。
それはいっぱいいっぱいだった心に隙間が出来て余裕を感じられるからなんです。
そしてその出来た余裕がご主人を受け入れてあげられるスペースになると思いますよ。

それともう一つ、Iさんがカウンセリングを通して共感してもらいながら
寄り添って話を聴いてもらいアドバイスを受けるという経験をしていくことで
今度はIさん自身がご主人の良き聴き手になれると思うんです。

ご主人は内に秘めてしまう性格とのことですから、おそらくたくさんの気持ちを
言えずにそのまま溜め込んでいると思います。そしてそれを言ってはいけないと
いう気持ちも同時に持ちながら。

どうして言ってはいけないと思っているかというと、話をしても途中で遮られたり
否定されると思っていると、どこかで感じているからだと思うんです。例え今までに
Iさんがそういった受け答えをしていなかったとしても、ご主人の中でそうなるに
違いないと感じてしまっているのだと思います。そしてその傾向は先ほどの罪悪感が
強いとより強くなるようです。

しかしIさんがご主人の話を共感しながら聴いてあげられたらどうでしょう?
どんな話をしても、否定しないで聴いてくれる安心感をご主人が感じてくれたら
どうでしょうか?
そういった環境があって初めて人は本音をしゃべれるようになると思います。
特に内に秘めてしまう性格の人ならなおさらだと思います。

まずはIさん自身が楽になるためにカウンセリングを体験してみて下さい。
何の準備もいりませんので、そのままのIさんでお話しして下さいね。

今回はご相談ありがとうございました。

近藤あきとし

この記事を書いたカウンセラー

About Author

超自立男性との恋愛・コミュニケーションに関わるお悩み・慢性的な生きづらさの解消などを得意とする。 理論的な“心理分析”と、感覚を使った“心理セラピー”を活用する多面的なサポートが好評。 問題の裏に隠れた「真実の物語」を読み解き「自分の本質を生きる」ことを目指すカウンセリングを提供している。