結婚前の異性関係の嘘

相談者名
ぷれまま
現在臨月の妊婦です。私と夫(共に30代後半)はお互いバツイチ・子供なし、再婚して半年の夫婦です。私には前の結婚で主人の借金グセが原因で離婚前提に別居していた頃、不倫してしまったという最低な過去があります。離婚後もなかなかいい恋愛が出来ず、都合のいい女で終わったり、短いお付き合いで終わったりというような情けない状態が何回か続きました。出来るならこの頃の自分を消してしまいたいです。
そして今の主人と出会いようやく今までの自分から脱却して
心から愛せる人と出会えたことがとても嬉しく幸せでした。
一方主人は前の奥様から度重なる嘘や浮気で裏切られたという過去があり、
女性不信になっていた所に私と出会いました。
私は主人に安心してもらいたい気持ちから、マメに連絡したり、
男友達との連絡も絶ちました。
主人は「また信頼できる人が出来て本当に良かった」と言ってくれていたので、この関係を壊したくないという思いから過去の恋愛経験を聞かれても、
「恋愛経験は少ないよ」と適当にごまかしてしまいました。
別居していた頃の過ち・離婚後の不毛な恋愛の事は一生墓場へ持っていくつもりでした。しかし臨月に入って里帰り中のある日、また過去の恋愛の話になり、私が以前と辻褄の合わないことを話してしまったことから嘘がばれて
問い詰められ、これ以上嘘やごまかしは通用しないと思い離婚覚悟で過去の事を打ち明けました。
「そんな汚らわしい女だと分かっていたら付き合ってなかった」
「詐欺師だ」「俺の離婚原因分かっているよね?」などと責められ、
今までの信頼関係を一瞬でぶち壊してしまいました。
毎日電話で嘘をついていたことをひたすら謝り、過去の過ちを忘れず、
一生主人だけを愛していくとずっと伝えました。
主人は一旦は、「本当の事を言ってくれて逆にもう一度信じてみようという気持ちになった」「とにかく産まれてくる子供が可哀想だから」
ということで離婚は回避してくれていますが、理性で無理矢理納得させようとしても、裏切られたという本心が私を拒絶してしまうようです。
毎晩電話していますが、主人の冷たい応答を聞くたびに、
離れて暮らしているのもあって、とても不安です。
騙されたという主人の思いに対して、私はどう接すればいいでしょうか?
長々と失礼いたしました。
カウンセラー
池尾昌紀
ぷれままさん、こんにちは。
池尾昌紀と申します。
ご相談ありがとうございます。

ご相談の文中、ぷれままさんは何度も何度もご自身を責める言葉を
使ってらっしゃいます。
「最低な過去」「情けない状態」「自分を消してしまいたい」
最初の数行だけで、こんなにもご自身を責めておられるのです。
ぷれままさんは、責めらて当然だからと思われるでしょうか。
僕には必要以上にご自身を責めておられるように感じます。
思い出してみてください。
今まで生きてこられて、いったいどれだけご自身を責めてこられた
でしょうか。
今回の文章には出てこないけれど、それはそれは、たくさんたくさ
ん責めてこられたのだと推測します。
こんなにも辛い思いをしてきたのだから、もう十分ではありませんか?

まずはじめに感じていただきたいのはそのことです。

あなたは今まで本当に一生懸命がんばってこられました。
それを今日、褒めてあげてください。
「今までよくがんばってきたね」と。
ご自身を極限まで責め続けてこられました。
それを今日でやめにしましょう。こう言ってあげてください。
「もう十分だよ」と。

ご主人は「騙された」と語っておられますが、ぷれままさんが「決
して裏切らない」人だということを誰よりもわかっておられると思
います。

ご主人は「また信頼できる人が出来て本当に良かった」と言ってお
られたとのことでした。
ご主人が「信頼できる」とあなたに感じたのは、「決して裏切らな
い思い」があなたから滲み出ていることを感覚的にキャッチしてい
たからだと思うのです。
過去に辛い裏切りを受けたりすると、深い傷ゆえに、出会う人が信
頼できるかどうかの感覚が鋭くなります。
あなたが信頼できる人であると感じたものは、裏切られて傷ついて
きたご主人だからこそ身につけられた感覚です。

では、どうしてご主人は今、あなたのことを「騙された」と責める
のでしょうか。

ひとつには、あなたに過去の傷を写し出してしまうのではないかと
思います。
あなた自身に憎しみを感じているのではなく、過去の相手を思い出
して責めてしまったり、あの時の苦しい自分を思い出すのが辛いのです。

もうひとつは、これが最も大切なポイントですが、自分が捨てられ
るのが怖いという強い気持ちが隠されていると思います。
「怒りは本当の気持ちを隠すフタである」という言葉があります。
怒りや攻撃をするのは、その下にある感情を感じたくないから行わ
れる行為で、多くの場合その感情は「悲しみ」や「寂しさ」である
という、ひとつのものの見方です。

今回の場合は、それに「怖れ」がついてきていますが、ご主人の心
の中の本当の気持ちは、ひとつめに書かせていただいた「誰かが自
分から去っていってしまう悲しみ」と「怖れ」であるように思います。
それを感じたくなくて、あなたを責める形で表現してしまうのでは
ないでしょうか。
それは本当に辛く悲しい思いであり、怖くて怖くてしかたがないほ
ど強いものです。どれほどの怖れか、ご主人の過去をご存知のぷれ
ままさんならお分かりになられると思うのです。
ご主人があなたを責める言動が、実はこうした気持ちの裏返しだっ
たとしたら。
こうした視点で見てあげられたら、状況は変わってくるのではない
でしょうか。

繰り返しになりますが、ご主人ほどあなたが裏切らないことをわ
かっておられる人はいません。傷ついた過去があるご主人だからこ
そ、わかることです。
ということは、裏を返せば、傷ついた過去があったから、あなたと
いう信頼できる相手をみつけることができたともいえます。

ということは、それはぷれままさん自身にも言える事ではないで
しょうか。

ぷれままさんは、ご自分の過去のことを「この頃の自分を消してし
まいたい」「墓場まで持っていくつもり」というほど後悔されておられ、
だから、ご主人との関係を壊したくないから過去の恋愛を語れな
かったと書かれておられますが、実は、その過去があったからこ
そ、今のご主人との結婚ができたと言う事はできないでしょうか。

なぜなら、人は自分が傷ついてきた度合いだけ、相手の痛みもわか
る人になっていくからです。
不倫や裏切り、そうした辛い出来事を身をもって実感してきたあな
ただからこそ、他の誰よりもご主人を愛し、決して裏切らないと言
えるのではないでしょうか。

そうです。ご主人と同じです。
傷つきあったもの同士だからこそ、お互いの傷がわかり合える。
だからこそ、今、相手の傷がわかりすぎて辛い思いをしているのです。

今日は、どうか、過去の自分をいたわってあげてください。
あなたが望んでした恋愛ではないのです。仕方がな事情もあったのです。
そして、あの頃の自分にお礼を言ってあげてください。
「あの頃は辛かったね。大変だったね。」
「今のわたしはあの頃のあなたがいるからいるんだよ。ありがとう」と。

さあ、今日からあなたはご自分を責める事をやめることになりました。
けれど、それでもまた、自分を責めてしまいたくなる時がやってく
るでしょう。
最後にもうひとつ、そんな時に考えてほしいことがあります。

それは、自分を責め続けるということは、
ご主人や生まれてくるお子さんを苦しめることになる、ということです。

赤ちゃんにとって、お母さんは愛の対象でしかありません。
そんな大切に愛している存在が苦しんでいたら、それを見ている赤
ちゃんはどう感じると思いますか?
間違いなく苦しみます。自分のせいで苦しんでいるとさえ思うかも
しれません。
そんな思いをさせたいですか?
これはご主人についても同じ事です。

人は自分を責める事に関しては天才的で、それをやめるのは難しい
ものです。
けれど、誰かのためにだったらやめる事ができます。

どうか、あなたの大切な人たちのために、ご自分を責めるのをやめ
てあげてください。

もしかしたら、赤ちゃんを授かったことが、お二人の「怖れ」を強
くしているのかもしれませんね。こんな自分で赤ちゃんに申し訳な
い、という思いから。
でも、もしそうなら、それは赤ちゃんからの贈り物です。
お二人がよりよい関係になっていくチャンスをくれたのかもしれません。

今回のご相談では語れなかったたくさんのことがあると思います。
機会があればお話できれば幸いです。
ぷれままさんが幸せになるお手伝いが少しでもできれば、こんなに
うれしいことはありません。

ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。