せっかく採用した新入社員が数ヶ月~数年の間に離職してしまう。
こんなお悩みを抱えていらっしゃる会社は、少なくないと思います。
以前の記事では、
離職する理由は「仕事の内容」よりも「職場にいるときに感じている感情」がポイントです、とお伝えし「挨拶のチカラ」をご提案しました。
今日も「職場にいるときに感じている感情」にフォーカスし、「離職率を下げるために、今日から出来ること」をお伝えしたいと思います。
新入社員時代はもちろんのこと、新しいプロジェクトや新しい部署、役職が上がる、関わる人が変わる、など「新しい環境」に身をおいたとき
私たちは必ず「学びのステージ」を通ることになります。
学びのステージの大切なことは「自力をつける」こと。
まずは失敗を怖れずにやってみること、チャレンジし続けることが大事になってきます。
当たり前、といわれれば当たり前なのですが・・・慣れない環境で、慣れない仕事をすることは、誰だってとても大変なこと。
特に、このステージでは失敗することが多いため「無力感」や「劣等感」を感じやすく、誰しも挫けやすいステージなのです。
「自力をつける」というと「誰にも頼らず、ひとりきりで頑張る」というイメージがある方も多いと思いますが、実はそうではありません。
誰しも挫けそうになる時期だからこそ、この時期に上司である立場の人間が「どう関わっていくか?」が、大切なのですね。
◆私たちがより幸せにいきていくためには「3種類の対人関係」に上手に依存していくことが大切
私たちは誰しも、自分の力だけで生きていけるほど、完璧な存在ではありません。
どんなに優れた人であっても、立場が上の人であっても、長所もあれば短所もあります。
だからこそ互いに協力し合い「いい依存関係」を構築することが大切だと心理学では考えます。
この「互いに支え合う」関係性を心理学用語で「相互依存」といいます。
この相互依存ですが、とくに「3種類の対人関係」に上手に依存できると、人は幸せに生きていけるのではないか?とある心理学者が提案しています。
1:自分のことを分かってくれてるなと感じる存在
2:この人といると自分まで強くなれるような、尊敬し、頼れる存在
3:「こんなことを感じているのは自分だけじゃないんだ」と感じる自分と良く似た存在。
この3種類を「意識して」職場に取り入れていくことで、離職率を下げることは可能なのではないかと私は考えています。
ただ、どれも「相手がそう感じられるような行動を自分が取れるか?」が重要であり、こちらの努力だけでは難しいところがあります。
たとえば2の「尊敬され、頼れる存在になる」のは上司側が「そうなろう」と思って出来ることでもなかったりしますし(いつの間にかそうなっていた、という場合が多いですね)
目下が遠慮してしまう場合も多いため、3は同期同士など「横のつながり」で取り組んだほうが、築きやすかったりします。
ですが1は、上司の立場だからこそ、取り組みやすいものではないかと思うんですね。
やり方としては「この人は、自分のことを認めてくれているな」と相手が感じるポイントをみつけ「言葉」で伝えること。
その際には、自分が伝えたいことよりも「相手が聞いて、嬉しいだろうな」と思うことを選んで伝えることが重要です。
これを心理学では「共感的理解」といいます。
とはいえ、思ってもない「お世辞」をいえとか、指導をするな、ということではありません。
部下が部下なりに考えていること、人知れず頑張っていること、何を大切にしているのか?などを「相手の立場に立って感じたうえで」認めてあげたり、愛ある指導を心がける、ということですね。
そうすることで部下は一番しんどい「学びの時期」を乗り越えることが出来、自分に部下が出来たとき同じことをしてあげられるようになります。
また、私たちは「自分のことをわかってもらえた存在」を好きになりますし、大切にしたいと感じるため、離職率を下げるだけでなく、部下からの多大な信頼を得ることが出来、結果、自分の仕事にもいい影響をもたらすことが期待できます。
相互依存という生き方は、双方にいい影響をもたらしてくれるのですね。
正直なところ、ここまで読まれた方の中には「本来なら、部下が上司に共感的理解をやるものではないか」と考える方も多いと思います。
「自分が新人時代には、そんな存在はいなかった」「いまの若者は甘いんだ!」と感じる方も多いでしょう。
ですがそんな風に、たくさんの試練を乗り越えてきた上司に「認めてもらえている」ということこそが、部下にとっては心底心強いわけです。
よろしければお試しくださいね。
参考になれば幸いです。