新年度になりますと、就職したり部署を異動したりで人間関係が一新した、という方もいらっしゃるかもしれません。
心機一転、その人たちと気持ち良く仕事ができるといいですよね。
ところが毎日一緒に仕事をしていると、次第に同じ人に同じような怒りを感じ、とても気分が悪いと思うことが出てくるかもしれません。
あの同僚の言葉はいつもとげとげしい。どうして人の気分を害するような言い方をするんだろう。もう話をするのも嫌だ、とか。
あの上司は全く頼りにならない。部長ならもっとしっかりしてくれ、とか。
職場で愚痴を言い合う相手がいれば、仕事帰りの一杯・・などは、当然のように怒りのガス抜き大会のような時間になってしまうかもしれません。
でも本当はもっと前向きなことを考えたいのにな、とか、毎日同じ怒りの繰り返しは嫌だな、というときは、どうすれば良いのでしょうか。
●怒りは感情の蓋
同じような怒りを毎日のように感じるのは苦痛ですよね。そんなときは、怒りの下にある感情について考えてみると、何か別のやり方が見えて来るかもしれません。
心理学では、怒りとは感情の蓋であるという言い方をします。
私たちは、「ある感情」を感じたくないときに、その感情に蓋をするようにして、代わりに怒りを感じているのだというのです。
怒りの下にあるその「ある感情」とは、悲しさや寂しさなどであり、「分かって欲しい」、「助けて欲しい」、「愛して欲しい」、のいずれかであるともいいます。
もし誰かに怒りを感じているとしたら、あなたはこれらのうち、どの感情が下に隠れていると思いますか?
あんなに頭に来ていた同僚に対して「分かって欲しい」と思っていたんだ、とか、上司に対して、実は「助けて欲しい」と思っていたんだ、とか、怒りで隠れていた感情を理解するだけで、へぇ、なるほど、など少しほっとした気分になるかもしれません。
「そうか、自分にはそんな感情があったから怒りを感じていたのだな。」と自分の怒りを自分で理解してあげることがまずは大切なのかもしれませんね。
でも怒りの下にどのような感情が隠れているのかがわかっても、怒りがおさまらないというときは、どうすればいいのでしょうか。
●欲しいものを手に入れるには
私たちは、物理的に人に何かを与えると、当然のように自分の手持ちが減ってしまいます。例えばお金を人にあげれば、自分のお金は減ってしまいますね。
ところが心の法則は逆だと言います。与えれば与えるほど増えると言うのです。
例えばあなたが人に愛を与えれば与えるほど、あなたの中の愛が増える、と言います。
上の話の中で、怒りで蓋をした感情について考えましたが、「分かって欲しい」「助けて欲しい」「愛して欲しい」というのは、どれも「〇〇して欲しい」というものです。
そしてこの「〇〇して欲しい」というものを、「与えれば与えるほど増える」という心の法則に当てはめてみましょう。 私たちは「欲しいもの」を与えれば与えるほど増える、すなわち「欲しいものがあったら、自分から与えると手に入る」というように考えられます。
もしあなたが、「上司に助けて欲しい」と思ったとしたら、あなたが何か助けてあげられることがあるかもしれない、と考えてみると思い当たることがあるかもしれません。
そして、自ら助けることで、「助けて欲しい」という思いが減り、怒りも減っていくのではないでしょうか。
えーっ、今でさえ上司をこんなに助けているのに?
そう思うかもしれませんね。
でも、そう思いながらも、まだ上司を助けていないことがあるとしたら、何なのだろうと少し思いを巡らせてみると、意外なところで気づきがあるかもしれません。
●与えようとするときに気を付けたいこと
心の法則は、与えれば与えるだけ増える、ということですが、人に与えようとするときに気を付けたいことがあります。
まず、相手だけが得をすることを嫌々ながらもしてしまわない、ということです。これは自分を犠牲にすることです。ビジネスでもよく言うWin Winの関係は、心にも言えることだと思います。相手も自分も勝てる方法、嬉しく幸せを感じる方法を見つけてみませんか。
そして、これをやってあげたのだから、こう返してくれるべきだ、という相手からの見返りを期待することもお勧めできません。
心理学では期待は失望の母ともいいます。こうしてくれるべき、と思うことがあったとしたら、自分が期待をしてしまっているのだな、と気づいて、やめようと思うことが大切かもしれません。
自分を犠牲にせず、相手からの見返りを期待しない、ということは難しく聞こえるかもしれません。しかし相手に与えることで、相手も自分もハッピーになる方法が必ずあるはずだと信じ、その方法を探していくことが、より多くの気づきを得ること、そして日々の怒りからも解放されることに繋がるのではないでしょうか。