結婚を決意させるには

相談者名
かな
離婚して子供と3人暮らしです。2ヶ月前、交際3年半になる恋人が職場の仕事、人間関係が原因で「気分障害、抑鬱状態」と診断されました。服薬・カウンセリングをすすめられたものの遠い任地へ戻り、今月一時帰国したあと年末までは頑張るというのですが、心配です。彼の母親は結婚に反対。彼が年末に退職して資格の勉強をすると言っている現状、かつ相手が子供二人いる年上の女では無理もないかもしれません。
私は結婚して、彼は体調を戻しながら勉強し、子供もできれば作ればよいと思っていますが、彼は前夫の養育費が加算された私の収入で養われるのは男の沽券に関わると思っていて平行線です。
彼は子供はあまり積極的に欲しいと思っていないのに対し、私は再婚して子供を産みたいとずっと思ってきたので、「子供が成人するまで結婚はしないで恋人同士」という関係になりたいとは思えません。
また、彼は厳格だった亡き父親に愛憎半ばする思いを抱いていて、「自分は(私の子供たちの)父親にはなれない。お父さんはいるし、どんな父親であっても子供は絶対に邂逅していく」と持論を展開し始めると、もう全く聞く耳を持ちません。
これまで二回、妊娠を試みましたがだめでした。私はもう子供を産めるかわからない年齢になってしまったので、結婚を決断しない彼とつきあい続けるなら子供は諦めることになるでしょう。今ならまだ他の人との間に子供を持てる可能性もあります。気楽に考えるなら、次の相手が見つかるまで彼とつきあえばいいのかもしれません。彼はできたらできたできっかけになると、子供を作ることに反対はしていません。だったら、結婚してしまったって同じ気がするのですが、本当のところで結婚したくない何かがあるから結婚という決断をしないのだと思うと悲しいです。彼が結婚を決断するには、私が妊娠する以外に方法はないのでしょうか。カウンセリングで彼の頑なな考え方は変わるでしょうか。ネガティブで自信がなくいつもうまくいかないことばかり心配するクセがある気がします。彼は彼で私が楽観的すぎると思っています。彼の母親が寂しがったり、彼が私の子供たちを重荷に感じているなら、とりあえず私は別居婚か週末婚で良いと思っています。
カウンセラー
中山けんたろう
かなさん、はじめまして。カウンセラーの中山けんたろうです。
今回のご相談を担当させていただきます。よろしくお願いいたします。

ご相談内容を読ませていただいて、かなさんの彼に対する大きな思い、深い愛情がありありと伝わってくるようでした。
愛する彼と結婚をしたい。そして、彼との間に子供を持ちたいというお気持ち。
彼には資格の勉強に専念してもらって、自分の収入で一家を支えていってもよいという強い意志。

かなさんの中では、彼との結婚、そして妊娠については、十分すぎるほどの覚悟がすでにできていらっしゃるようです。
ですから余計に、かなさんとの結婚を決意しない彼に対して、「なんとか結婚を決意させたい」と思われるのも無理はないと思います。

一方、彼の状況を少し整理させていただければと思います。

まず、「気分障害、抑鬱状態」と診断されたとのこと。
さぞご心配なことと思います。
服薬やカウンセリングをせずに、遠い任地(外国でしょうか)に戻り、年末まで頑張って働かれるということでよろしいでしょうか。

彼は相当にがんばり屋さんで、責任感が強く、少々のことではへこたれない強い気持ちの持ち主とお見受けしました。
さらに、「男の沽券に関わる」という発言からは、昨今の草食系男子とは明らかに一線を画された、一本スジの通ったいわゆる「男らしさ」をお持ちの方のようです。
年末に退職をして、資格に挑戦されるということからも、現状に満足をせず向上心を持ち続け、自己成長をしたいという気持ちが強い方と思われました。

また、彼は厳格だった亡くなった父親に愛憎半ばする思いを抱いていらっしゃるとのことですね。
亡くなった父親のことを愛したいけど、憎い気持ちも持っている。愛したいのに素直に愛せない状況のようです。
自分が愛しているものを素直に愛せないのは、とても辛くて苦しいことだと思います。
そのような彼が思うことは、次のようなことではないでしょうか。

・自分が父親という立場になった時に、子供に対してうまく接することができるだろうか。
・自分の父親が厳格だったように、自分も子供に対して厳格に接してしまうのではないか。
・また反対に、自分の父親を反面教師にして、甘やかし過ぎてしまうようなことにはならないだろうか。
・そして何より、子供からきちんと愛してもらえるだろうか。
・自分はすでに亡くなった父親に対して、いまだに愛憎半ばする気持ちをもっているけれども、自分の子供も自分(彼)に対して同じように愛憎半ばする気持ちを持ち続けて苦しむのではないだろうか。

これらのことが心の中にあるとしたら、子供を授かって自分が父親になるということに対して、こころの中にとても大きな抵抗感が出てくるのではないかと思うのです。
一言で表現すると、「父親になるのが、怖い・・・」わけです。

ご相談内容の中でこのように書いていただいています。
>彼はできたらできたできっかけになると、子供を作ることに反対はしていません。

彼は、かなさんが彼との間に子供を持ちたいという気持ちを十分に理解し、受け止め、かなさんの気持ちを尊重し、かなさんを愛していらっしゃることがうかがえます。
最近は、「授かり婚」とか「できちゃった婚」などは一般的になり、子供を授かることを機会にして、男女が夫婦になることを決断することも珍しくなくなってきました。
でも、彼にとって、「結婚」と「妊娠」や「子供」がセットでくっついてくると、前述したように、「結婚」=「父親になる」ことになりますから、実は大きな抵抗を感じてしまっているように思われます。

彼が結婚を決断をしないことに対して、かなさんは悲しいお気持ちを抱かれていますね。
裏を返せば、それくらい彼のことを愛し、彼との結婚を望んでいらっしゃるということに他なりません。
そして、彼とのつながりの証として、お子さんを授かりたいと思っていらっしゃるのではないかと思います。
あるいは、もしかしたらのお話ですが・・・、お子さんという絆の象徴がいないと、これからの彼との関係に自信が持てないのかもしれない・・・と言ったら言い過ぎでしょうか。

たとえ、二人の間にお子さんができてもできなかったとしても、「夫婦」にはなれるわけですね。
交際期間が3年半ということですが、まず、お二人には、まず、きちんと「夫婦になる」ということが必要なのではないかと思います。
彼にとっては、そのような段階を踏んでいくことを通して、こころの準備ができてくるのではないかと思うからです。

また、彼が退職をしてまで資格を目指すということは、人生をやり直すくらいの覚悟を持っているのだと思います。
そのような時にはこころに余裕がなくなり、周りのことに気を回す気力がなかなか持てないものです。

そうであれば、妊娠できる期間があと少しの期間しかなく、かなさんが焦る気持ちはわかりますが、まずは、かなさんが主導権をとって、お互いのことを見つめ合い、お互いの愛情を深め、お互いのこれからのパートナーシップ(夫婦関係)をどのようにしていきたいのかを彼と十分に話し合っていく必要がありそうです。

相手のどこに魅かれているのか、相手といるとどのような気持ちを感じるのか、相手に分かって欲しいことは何かなど、お互いの気持ちを今一度確かめ合うことが必要でしょう。
また、経済的な面をどのようにするのかも大切ですね。彼の「男の沽券」を尊重するためにも、彼の言い分や気持ちをよく聴いてあげていただきたいと思います。
今はたとえ平行線でも構いません。
彼の気持ちをしっかり受け止めてあげることが大切なのです。
これが第1段階です。

その上で、彼の亡くなった父親に対する愛憎半ばする気持ち、言い換えれば、「葛藤」を解消していくことが必要です。
かなさんが彼との間に子供を授かった場合、彼は「あの」父親と同じ立場になる訳です。
彼の中に、不安感や怖れの気持ちがたくさん出てくると思います。例えば、「自分に父親が務まるのだろうか。。。」というような不安感です。
それらを、かなさんや、場合によってはカウンセラーが受け止めてあげて、彼が父親に対してもっている葛藤を解消していくことができれば、自然と不安感や怖れの気持ちは消えていきます。
これが第2段階です。

そして、かなさんと彼との間に子供を授かるにしても授からないにしても、前夫さんとの間にできたお子さん2人とどのような関係を築いていけばよいのか。
第2段階で、父親になることに対する不安がかなり消えたとしても、血のつながらない子供さんとどのように気持ちを通わせていけばよいのかについては、やはり彼の中に戸惑いや迷いが生じてくるものだと思います。
父親になったことがない彼に、最初から父親のように振る舞うことを期待するのは彼の負担感が増すばかりですね。
彼が、かあなさんとお子さん2人と一緒にいる時に寂しさや孤独感を感じなくて済むように、かなさんが彼とのパートナーシップをしっかり保ちつつ、二人のお子さんと彼との心の距離を自然に縮めていくことができたら、そこには新しい家族の絆が育まれていくものだと思います。
ご相談内容にも書いていただいていますが、選択肢として、別居婚や週末婚という形をとられることもケースバイケースで必要になってくると思いますので、柔軟に考えていかれたらよいと思います。
以上が、第3段階です。

以上お話させていただいたように、彼が結婚を決断するには、かなさんが妊娠する以外に、いろいろクリアしていくことがありそうですね。
結婚を決意してもらうには、彼のこころに寄り添って、彼の気持ちをほぐしていく必要がありそうです。

また、一般論的なことを申し上げて恐縮ですが、抑鬱状態の程度が重い時には、重大な決断(結婚、転職、転居など)はしない方がよいと言われています。
抑鬱状態の時には決断力が著しく低下していますので、決断をすること自体が本人にとって重荷になってしまい、抑鬱状態を悪化させることにつながりかねないからなのです。

しかし、彼は、彼の意思で遠い任地へ戻り、年末までは頑張ると決断されたわけですね。
ですので、今は、かなさんは彼のこころをしっかりと支えてあげて下さい。(但し、かなさん一人だけで支える必要はありませんよ。)
なぜなら、彼が自分の考え方を変えることは、「かなさんから言われたから」とか、いやいやでも「自分から」カウンセリングを受けようと思わない限り難しいと思うからです。
人は、自分自身で自分の考え方を変えたいものなのです。
人から言われてから自分の考え方を変えたいとはなかなか思えないものです。

彼は、「気分障害、抑鬱状態」が相当ひどくなり、それこそ、倒れるまで働き続けるタイプかもしれません。(そのようにならないことが一番ですが。)
もしかしたら病気で倒れたその時が、彼が自分自身の生き方を振り返り、これからどのように生きていくのが自分に相応しいのかについて真剣に向き合われる時なのかもしれません。
彼自身が「変わろう」と思ったとき、カウンセリングはきっと彼のお力になれると思います。

今回のご相談がかなさんと彼にとって、何かしらのよいきっかけになれば、こんなにうれしいことはありません。
またよろしければ、電話カウンセリングや面談カウンセリングも提供させていただいていますので、遠慮なくご利用いただければと思います。

ご相談いただきまして、ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

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