穏やかな生活を送りたい

相談者名
くろみ
・人とすれ違うこと、多くの人がいるところが怖くて、困っています。
すれ違いざまなどににキモいとか言われるのではないかとビクビクしながら過ごしています。

状態には波があり、ひどい時は外出が困難になり、仕事にもいけなくなります。身だしなみには気をつけていますが、それでも自信はもてません。周りにいる人全員消えてなくなればいいのにと思いながら過ごしています。

・上記の事とは別に、階下の音に敏感になり困っています。子供の走り回ったり飛び跳ねたりする、体重のかかった足音や勢いよく引き戸を閉める音が聞こえると時々怒りが抑えられなくなります。殺意に近い強い怒りです。しかも強い怒りが沸く頻度が高くなりこのままだと犯罪者になりそうで怖いです。

ただ、自分の方が上の階にいるので、足音などはこちらも迷惑をかけているだろうと思うと文句も言えませんが、とにかくそういう音が耳につきます。
最近は今まで聞きとらなかったような音まで勝手に耳が拾ってしまい、余計にイライラして困っています。

これらのことで、精神科に行くようになりましたがまだ効果は薄いようで、外にいても家の中にいても気が休まらず本当に困っています。
犯罪者になりたくないです助けて下さい。

カウンセラー
三島桃子
くろみさん、初めまして。今回担当させていただく三島桃子と申します。どうぞよろ
しくお願いいたします。

くろみさんが書いておられるような状況ですと、日常生活がとてもつらいですよね。
その中でよく耐えておられると思います。耐えること自体も疲れることですから、ス
トレスが雪だるま式に増えてしまいますね。

どうしてこのような状況になってしまうのだろう、というところから考えてみたいと
思います。

人とすれ違うのが怖い、周りの人に自分のことを悪く言われるような気がする、など
の心理状態の背後にあるものとして、「自分への攻撃心」「他者への攻撃心」が考え
られます。

「自分への攻撃心」と「他者への攻撃心」は、一見反対のことのようですが、実は表
裏一体で、自己攻撃が強い人は、他者への攻撃心も強くなります。ただし、人によっ
て、自己攻撃は自覚があるけれど他者攻撃しているつもりはない(本当はあるけれど
自覚がない)ということはしばしばありますし、その逆のケースもあります。また、
抑圧が強い場合には、自己攻撃も他者攻撃も心の中にあるにも関わらず、自分ではよ
くわかっていない、ということもあります。

くろみさんはご自分はどうだと思われますか?

自覚できていてもいなくても、自己攻撃があるということは自分にダメ出しをしてい
るということです。自分に対して「あんたはダメ!」と言っているような状態です。

また、私たちは、人も自分と同じように思っているだろう、と判断しがちです。例え
ば、「このラーメンおいしくないな」と感じると、他の人もきっとおいしくないと思
うだろう、とまずは思うものです。「いや、私はおいしいよ」などという人の意見を
聞けば、「へえ~、不思議だけどそうなのね」と、後から思うことはありますが、人
間は基本、「自分が感じるように人も感じているだろう」と想定する生き物なので
す。これを「投影」といいます。

ですから、自分が自分にダメ出しをしていると、他の人も私にダメ出しするだろう、
と思ってしまうのが自然な反応なのです。自分に「あんたはダメ!」と言っている心
理があると、周りの人からも「あんたはダメ!」と言われているような気がするもの
なんですね。

くろみさんが「人とすれ違う時に『キモい』と言われるような気がする」としたら、
くろみさん自身が自分に対して嫌悪感を抱いていて、「こんな自分は気持ち悪い存在
だ」と、いつも無意識に自分に対して言っているということが考えられるわけです。

もしそうだとしたら、人の多いところに行くと、「みんなに嫌悪感を持たれている」
というような感覚を感じてしまいますので、人のいるところに行くことが怖くなって
しまうのは当たり前ですし、自己攻撃が強くなっている時は誰にも会いたくなくな
り、外へも出られなくなるのも不思議はありません。

また、階下の音などに敏感なのも、同じことが原因になっていると思われます。音も
声も耳がキャッチするという意味では同じもので、自分を攻撃する声が自分の内にあ
ると、外からの声や音も自分を攻撃しているように感じるのです。

ですから、音がするたびに「お前はダメ、嫌悪される存在だ」と言われているかのよ
うに潜在意識や無意識が感知し、殺意が湧いてくるのだと思います。

激しい自己攻撃を他者に投影し、他者から激しい攻撃をされているように感じる

そんな攻撃をされれば、当然こちらも激しい攻撃をしたくなる

殺意など、激しい怒りが起こる

というような心理状態だと推測できます。

では、この状態を改善していくためにはどうすればいいのでしょうか。

まずは、かなり度合いの強い自己攻撃があるんだな、ということを受容できるといい
と思います。自己攻撃自体は、いいも悪いもありません。人は誰でも、それなりの事
情があれば強い自己攻撃の心理を持ってしまう生き物です。

ですから、くろみさんにもそういった「事情」があるということです。生い立ちや、
持って生まれた敏感さ(これも「弱さ」と捉えないでください。むしろ、本来はくろ
みさんのいいところなのです)など、いくつかの要因が絡んだ事情だと思います。

そして、それがどんな事情なのかを理解していくことが次のステップになると思いま
す。本を読む、カウンセリングを受ける、など、ご自分で「理解してみよう」と意欲
を持つことが大切です。

自己攻撃の心理の小さな種のようなものを、実は人間はみんな持っています。それが
何らかの事情で大きく育ってしまうと日常生活に影響を与えてしまうのです。けれど
も、適切に対処していけばまた小さな種に戻していくことはできます。種の状態であ
れば日常生活にさほどの影響はありません。誰でも経験するような、落ち込んだ時に
はちょっと自己否定してしまう、でも一晩眠れば回復する、というような、よくある
出来事、ぐらいのことになります。

参考になりましたら幸いです。ご相談いただきありがとうございました。

三島桃子

この記事を書いたカウンセラー

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