ココロを自由にする許し
カウンセリングの現場や心理学において、“許し”の必要性・重要性はあらゆるところでお話しされています。許しが必要と感じるとき、“許せない誰か”が存在し、その“許せない誰か”に心が占領されてしまいます。そこに心が捕らわれるか否かで、皆さんの日々の心の自由度や過ごし方が変わっていきます。今回の心理学講座では、「許しが必要なのか」ということについて理解を深めることによって、許しのプロセスを進めやすくしましょう。
***
カウンセリングの現場や心理学において、“許し”の必要性・重要性は、あらゆるところでお話されています。どこかで“許し”が必要性を感じていても、許しを実践するのはなかなか難しいものです。今回の心理学講座では、「許しが必要なのか」ということについて理解を深め、許しのプロセスを取り組みやすくするためのサポートをしたいと思います。
**
日常生活の中で、どこかうまくいっていないと感じるとき、つつがなく過ごしてはいるけど幸せではないと感じるとき、どこかで“許せない誰か”の存在を感じることはありませんか?
許せないと感じるとき、私たち心の中には怒りや悔しさ、惨めさ、悲しみ、寂しさなど、多くのネガティブな感情が渦巻いています。
そして、許せない気持ちを持ち続けるということは、相手に対する怒りやネガティブな感情、責める気持ちなどを持ち続けることであり、怒りでエネルギーを消耗し、疲れてしまいますし、ネガティブな感情で心はいっぱいになってしまいます。
心がネガティブな感情でいっぱいになっているとき、私たちは他の良いものを受け入れたり、感じたりする余裕がありません。
自分の近くに人の優しさや温もり、心づかいや愛などがあったとしても、見落とししまいやすいのです。
それは、許せない気持ちがあればあるほど、その傾向が強くなります。
例えば、浮気をされて許せない元彼がいたとしましょう。
彼に浮気されたこと対して怒りを持ち続けている状態だと、近くにどれだけ誠実で素敵な人がいたとしても、その人の魅力を感じる余裕はありませんから、その存在に気づきにくいんです。
ですから、出会いがないと感じたり、出会いがあっても魅力的に感じる人がいないと感じたりしますから、魅力的な異性との出会いを受け取ることが出来ず、恋に発展することがないため、彼氏いないという状況が出来上がってしまいます。
そういった状態のとき、私たちは決して幸せではありませんし、自分の心が穏やかであること、自由であること、笑顔でいることができなくなってしまいます。
許せないことに着目しているとき、“許せない誰か”と“私”を見てしまいがちです。
しかし、私たちは“許せない誰か”と“私”だけで、生きているわけではありません。
“許せない誰か”の他にも私たちの大切な人がいるわけです。
もし、あなたが“許せない誰か”への感情に苦しんでいるとしたら、あなたを大切に思う家族、友人、パートナーは、どのように感じるのでしょうか?
あなたが苦しんでいる分だけ、あなたを大切に思う人たちはあなたが苦しんでいることに、同じように苦しみ、幸せでないのではないでしょうか。
逆に相手を“許す”ことで、多くのエネルギーを消耗する怒りからも解放されますから、怒りに使われていたエネルギーをパートナーや家族、友人などの周りの人に優しくしたり、愛情を注ぐことができたりというように他のことに使うこともできます。
さらに、許すことで得られた余裕から、人の優しさや温もり、心づかいや愛などが受け取りやすくなります。穏やかな心の状態やその柔らかな表情で、自分や周りの人に対して接することができます。そして、あなたの持つポジティブなエネルギーは、どんどん周りにつたわっていきます。そんなあなたを見ている、あなたの大切な人たちも、また穏やかで柔らかな表情になっているはずです。
“許す”ということは、一見許せない誰かを対象としたもののように感じます。
しかし、違った角度から見れば、“許せない誰か”を許すことが、“許せない誰か”の影響から解き放たれ、自分が楽であること、自由でいること、自分らしくいること、幸せでいることなどのポジティブな要素をもつことへの許しの道のりになります。
そして、持つことを許された自由、自分らしさ、楽しさ、嬉しさ、喜びなどのポジティブな要素は、あなたの影響を受けるあなたの周りにいる大切な人たち、あなたの日常で携わるすべての人たちに贈られるギフトになるのです。
そのギフトを受け取るにふさわしい自分を感じてみてくださいね。
(完)